北海道の原住民族であるアイヌの用いている言語。なお、アイヌとはアイヌ語で人間のこと。
日本語と同様に、言語学上はウラル・アルタイ語族に属する言語とされるが、現時点ではまだ確立した理論はない。つまり言語学上の系統は不明扱いである。語順などは日本語に近い。
文法上の類似点だけで見れば日本語などに近縁関係を見るが、単語レベルとなると類似性に乏しい。一部に日本語と同じ単語は存在するが、起源を同じくする語なのか、アイヌ語→日本語と伝わったものかは、良くわかっていない。
助詞などに違いはあるが、語順は日本語とほぼ同じである。
文字を持たない、口で話すだけの古典的な言語であるとされている。
信憑性は不明だが、近年では、実は文字が存在したという研究結果もある。
もともと独自の文字は持っていないとされていたため、現在はこれをカタカナを用いて表記している。
また子音だけの発音を表現するために小書きのㇻㇼㇽㇾㇿなどもあり、これらの文字はJIS X 0213(JIS第3水準)で規格化され、UnicodeではUnicode 3.2より対応された。
発音は、日本語と幾つか顕著な違いがある。
大きな違いとして挙げられるのは、タ行の発音、閉音節の存在、濁音と清音の区別がない、などである。
日本語では、ta chi tsu te to、とタ行は発音される。ti(ティ)ではなくchi(チ)、tu(トゥ)ではなくtsu(ツ)である。他の言語と比較して、chiおよびtsuの発音に特徴がある。
アイヌ語では、ta chi tu te to、とタ行は発音される。chiは日本語と同様だが、ツ音は無く、トゥ音がある。トゥは日本語に無い音なので、アイヌ語をカナ書きする時には、これは「ト゚」または「ツ゚」と書く。
日本語は、常に開音節である。つまり、常に母音で終わる。
アイヌ語では、閉音節つまり子音で終わる単語も少なからず存在する。例えば、shir=島、pet=川、など。
/k/、/s/、/t/、/m/、/p/は、それぞれ小書きで「ㇰ」「ㇱ」「ッ」「ㇺ」「ㇷ゚」と書かれるが、/s/音は発音によっては「ㇲ」とも記述する。
/r/は、直前の母音に応じた発音ごとに小書きで「ㇻ」「ㇼ」「ㇽ」「ㇾ」「ㇿ」と書かれる。
アイヌ語では、清音と濁音の区別が無い。ハ行とバ行は同一視される。
但し、半濁音はあり、ハ行とパ行は区別される。
ウラル・アルタイ語族の特徴として、r音から始まる語がない、母音調和がある、等がある。
現行日本語のr音で始まる単語は全て外来語由来で、本来のやまとことばには存在しないものである。しかし、アイヌ語にはr音から始まる語が存在する。
また、母音調和については、存在するのかどうかは良くわかっていない。
北海道の日本語的に意味不明な地名は大抵アイヌ語が語源となっている。
例えば石狩(いしかり)は「イ」(それ)+「シカリ」(迂回する)、稚内(わっかない)は「ワッカ」(水)+「ナイ」(谷川・沢)、と言った具合である。
現在は絶滅寸前の言語であるが、アイヌの有志などが集まりテレビでアイヌ語講座を放送したり、アイヌ語新聞を発行したり等、文化の存続のため様々な活動を行なっているらしい。