第一次世界大戦後、フランスが初めて建造した戦艦のクラス。「フランス」代艦として1931(昭和6)年度計画によって建造された「ダンケルク」と、「ジャン・バール」代艦として1934(昭和9)年度計画によって建造された「ストラスブール」とがある。また、「ダンケルク」はドイツの所謂ポケット戦艦、「ストラスブール」はイタリアの新戦艦(ヴィットリオ・ヴェネット級)対抗として建造が承認されている。
主砲は33cm砲とこの時期の戦艦に装備するにしては小ぶりであるが、52口径であり、45口径であったキングジョージ5世級の35.6cm砲よりも威力があった。本級の最大の特徴はその主砲の配置であり、連装砲塔2基分を一つにまとめ、四連装としている。これはノルマンディー級に倣ったものであるが、同級が未成に終わったため、世界初の四連装砲搭載艦となった。加えて、イギリス海軍のネルソン級を参考にして、その四連装砲塔全2基を前部にまとめて配置している。しかし、主砲の一箇所集中は被弾時の急激なる戦闘能力低下を招く恐れがあるため、被害を極限化するために内部に隔壁を設け、かつ砲塔間の間隔を長めにとった。なお、その影響で艦橋、上部構造物は中央付近よりも後方に位置している。
一方の副砲の配置もかなり独特で、主砲砲塔とは逆に全部後方に集中し、首尾線上に四連装砲塔1基、その両舷側に連装砲塔を1基ずつを配置した。
主砲砲塔重量が大幅に軽減し(連装砲塔4基に対して27.6%の重量が節約できたという)、その浮いた分を装甲に充てたため、装甲重量は全排水量の42%にも及んだ。また、ダンケルク級では集中防御方式がとられていたが、その独特な主砲砲塔配置のため、ヴァイタル・パートが短くて済んでいる。また舷側装甲は21度傾斜した最大厚さ241mmのインターナル・アーマーをフランス戦艦として初めて採用している。このようにして、フランス戦艦は従来から防御力の不足を指摘されていたが、本級によって面目を一新した。
主機はダントン級以降フランス戦艦の伝統ともなっているパーソンズ式蒸気タービン4基を搭載し、130,000馬力の出力を得て、4軸推進で、31ノットの快速を発揮した。元々ドイツのポケット戦艦対抗で建造とされているので当たり前なのだが、これによってポケット戦艦の28cm砲、26ノットを大幅に凌駕し、却ってドイツ側に危機感を抱かせ、シャルンホルスト級の建造へと繋がることになった。また、この快速故「巡洋戦艦」と呼ばれることもあるが、フランス海軍の正式艦種としては、終始「戦艦」を意味する "B^atiments de ligne" であった。
また、主砲を全部に集中したため、広大な艦尾のスペースを航空艤装に充当した。しかし、この航空艤装にスペースを割きすぎたため、副砲の射撃時に邪魔になり、不満の声も大きかった。
「ダンケルク」「ストラスブール」の大きな違いは艦橋にあり、前者は1層なのに対し後者は2層になっていた。
コラム(要目(新造時))
基準排水量 26,500トン
常備排水量 30,750トン
全長 215.1m
全幅 31.1m
吃水 9.6m
主機 パーソンズ式蒸気タービン 4軸
出力 130,000馬力
速力 31ノット
航続距離 16,400カイリ/17ノット
兵装 52口径33cm四連装砲 2基8門、45口径13cm四連装砲 3基、
同連装砲2基 計16門、37mm連装機銃 4基8挺、
13.2mm四連装機銃 8基32門
艦載機 水上機3機、カタパルト1基
装甲 舷側 225mm、甲板 140mm、主砲 330mm
乗員 1,381名(士官66名、水兵1,315名)