高度150km〜220kmという非常に低い高度を飛び、通過地点の地上の様子を写真に収める衛星。アメリカとロシア以外では、フランスが1995(平成7)年に第一号を打ち上げており、他にも中国やイスラエルが試験的に打ち上げているようである。
写真偵察衛星の地上解像度は大気の揺らぎなどによって10〜15cmが限界と言われている。これで判別できるのは自動車のナンバープレートまでで、「フセインが読んでいる新聞の記事まで読める」などというのはいささかオーバーである。
写真偵察衛星は目標上空に移動するため頻繁に姿勢制御を行なわねばならない上に大気による速度減少と本体へのダメージも大きく、寿命は極めて短い。そのため、頻繁に更新用の衛星を打ち上げねばならない。また、特定の地域を特に偵察したいと思っても衛星が目標上空を通過するのは1日に一度か二度である。姿勢制御用のエンジンを使って軌道をシフトすればもう少し頻度はあげられるが、それでもしれている上に、これを頻繁に行なうとたちまち燃料が無くなってしまうので、非常時の切り札としてしか使えない。これは多数の写真偵察衛星を保有している米軍でもってしても湾岸戦争でスカッドミサイル発射機の捜索に限定された効果しか上げられなかったことからも分かる。スカッド発射機は移動式のため、アメリカの衛星が上空を通過するときはどこかに姿を潜め、通過後直ちに行動に移っていたのである。このため、ある程度の数を打ち上げておかねばその情報収集能力は限定されたものとなってしまうことが分かる。しかし、運用している衛星の数が多くなるとそれだけ故障等の事態が発生する確率も大きくなるので、それに備えて地上に予備衛星を待機させておくとともに、直ぐ様それを打ち上げれる体制を保持しておく必要がある。これには莫大なお金がかかることは言うまでもない。更に衛星が撮影したものはただの写真である。予め怪しいと思う場所を撮影しているのならまだしも、無数にある画像の中から怪しそうなものを発見して、更にそれを特定する能力が伴っていないと豚に真珠になりかねない。アメリカ軍ではこの分析のために判読班だけで千人もの人員を擁している。この分析作業にもかなりな費用がかかることは言うまでもないが、長年に渡っての情報の蓄積とそのスペシャリストの養成が必要であるので、一朝一夕に高い分析能力を得られるわけではない。