天然痘を引き起こす病原菌で、代表的な生物兵器に使用されるウイルスの一つ。
強靭なウィルスで極めて伝播しやすく、また空気中で長時間生存することが出来、特に爆発散布でも生存率が高いため、攻撃的生物兵器として理想的である。
研究用としてアメリカの防疫センターと旧ソ連のウイルス研究所のみが保有を許されているが、ソ連は生物兵器禁止条約の裏で、極秘にバイオプレパラトのシベリアのノヴォシビルスク近郊にあるヴェクター研究所で生物兵器として製造・開発してきていることが1991(平成3)年1月、同地を極秘査察した米英の科学査察団によって西側に明らかとなり、バイオプレパラトの副長官で1992(平成4)年10月にアメリカに亡命してきたカナジァン・アリベコフの証言によって裏付けられている。その後の模様はよく分かっていないが、現在も製造・開発は続いていると思われる。さらには天然痘ウイルスとエボラウイルスとのキメラウイルスも開発されているという。
こうしたことを受けて、1994(平成6)年の第49回世界保健会議で1999(平成11)年6月30日に天然痘ウイルスのサンプルを破棄することになっていたが、その直前の1999(平成11)年4月22日にアメリカはWHOに同措置の見直しを求めると共に今後も天然痘ウイルス株の保管を続けることを宣言した。ロシアあるいはロシアから流失した天然痘ウイルスを使って第三国あるいはテロリストが自国・自軍に対して使用してきた際に自らの側にサンプルが無いと有効な対策が立てれないからである。