放射性物質を武器とするテロのこと。
一般的には「核テロ」と言うと核弾頭を搭載したミサイルやそこまで行かずとも放射性物質を用いてのものだと解されているが、化学兵器や生物兵器と違って核兵器を開発するのに必要な技術力と資金は並大抵のものではなく、また核物質の入手も困難である。したがってテロリストは闇のシンジケートを経由してロシアなどからの流失物を獲得するか、自身の手で武力でもって獲得しなければならない。この後者の場合、そもそもその核関連設備への侵入がテロ行為にもなりうるのである。
一番手短な核関連設備は原子力発電所である。原子力発電所は軍事施設ではないため、警備も手薄なのである。しかし、国家の側もそれを重々承知しており、アメリカではNESTというエネルギー省に所属する対核テロ用の部隊が存在するし、ロシアには旧KGB傘下にヴィンペル・グループという部隊が存在する。
翻って日本を見ると、アメリカのエネルギー省に相当する科学技術庁にはその様な特殊部隊は存在せず、原発を管理している電力会社が民間企業だからということで警備も民間の警備会社の手に委ねられている。警棒と拳銃で、対戦車ロケットやマシンガンを装備したテロリストに対抗できるとは思えない。911テロ事件を受けて、警察庁は「原発周辺施設警戒警備強化事業」として2003(平成15)年度に特殊装甲車を導入することにしているが、全国でたったの19台、そしてその装甲が鉄砲玉を食い止めれる程度とあってはその効果は限られたものに留まろう。更には原子力発電への国民の理解を得るということで誰でも簡単に発電所内に立ち入れる。つまり盗まれる可能性も否定できない。そして日本国内の核関連設備は原子力発電所だけではない。先日事故を起こした、JCOの様な核燃料加工施設もある。こちらの警備体制は一般の知名度・意識が少ない性もあって原子力発電所よりも更に杜撰である。さらにはそれら施設に出入りする核物質はトラックによって輸送されている。運搬ルートは安全上の理由から伏せられているが、プロにかかってはそんな事で騙せるわけもない。非装甲のトラックに対戦車ミサイルが撃ち込まれたらどうするのか。日本は原子力発電所による発電量も発電所の数もアメリカ、フランスに次いで第三位にランクインする核大国である。核テロが遠い世界の国での出来事などと考えるのはやめた方がよいであろう。