海軍所属の陸上戦闘部隊、水陸両用戦部隊、緊急展開部隊または特殊作戦部隊のこと。国によっては以上の複数の位置付けがある場合もある。また、国によっては「海軍歩兵」や「海軍陸戦隊」とも言う。
その歴史は古く、1664(寛文4)年にイギリスが、続いて翌1665(寛文5)年にオランダが設けたのを最初とし、それをきっかけとしてその後フランス、スペイン、ポルトガルなど、ある程度の規模の海軍を保有する国々で設立されていった。その後も1705(宝永2)年にオランダ海軍を見習ったロシアに、1775(安永4)年にはイギリスに対抗してアメリカに設立された。日本海軍にも明治初期には「海兵隊」という組織が存在したが、陸軍との兼ね合いから1978(昭和53)年に「海軍陸戦隊」へと改編された。
当初の任務は、艦船に乗り組んで、艦内警備、敵艦への切り込み隊、上陸戦要員、そして陸上にかまえての港湾・要地警備などを担当していた。しかし、時代の変化と共に接弦斬り込み戦は行なわれなくなり、水兵の叛乱も無くなった。その分上陸戦や陸上の要地警護に重きが置かれるようになっていったのである。それを一番活用したのは最遅参のアメリカだった。第二次世界大戦で欧州に目を奪われている陸軍に太平洋の島々への大部隊の投入を期待できないと判断したキング合衆国艦隊司令長官は、急速に海兵隊の戦力を強化。ガタルカナル島上陸戦をはじめとしてアメリカ海兵隊は各地で活躍を見せる。第二次世界大戦後も主要な戦いには全て参加し、最初に戦場に投じられていったが、冷戦が崩潰して後は、生起するのが大規模戦ではなく、突発的に発生する地域紛争であるため、その少数精鋭で迅速に前線に展開できるという特性から海兵隊が脚光を浴びている。
このようにしてアメリカの海兵隊が有名であり、他の国には存在しないように思われている人も多いが、アメリカに海兵隊が設立されたのは遅い方であり、他にもイギリス、ロシア、韓国、フランス、中国、台湾、スペイン、アルゼンチンなどが規模の大きな海兵隊を有している。
有名なのがアメリカ海兵隊であるため、一般的にはまとめて「海兵隊」といわれるが、国によっては「海軍歩兵」(独(Marineinfanterie)、露(Morskaya Pekhoda)、仏(Infanterie de Marine))や「海軍陸戦隊」(日本、中国、台湾)と言う国もある。
逆に日本語訳では同じ「海兵隊」であっても、アメリカ海兵隊は "Marine Corps" であるが、イギリス海兵隊は "Marines" と異なる。逆にしったかで "Marine" と聞くと「海兵隊」と直訳してしまう人がいるが、フランス語やドイツ語では "Marine" とは「海軍」のことである。また、野球選手の鈴木一郎(イチロー)選手がアメリカ大リーグのマリナーズ(Mariners)に移籍して活躍したときに、チーム名を日本語に訳して「海兵隊」としてはしゃいでる日本人が多くいたが、"Mariners" の適訳は「水兵」である。マリーンズ(Marines)というチームもあるので、その人々は軍事にも英語にも大リーグ事情にも疎い、おのぼり日本人であるということを自らアピールしていたわけである。
陸海空軍と対等の独立した軍種としているのはアメリカのみで、他の国ではあくまでも海軍傘下の一部隊という位置づけであり、ギリシャ海兵隊にいたっては陸軍の指揮下にある。その規模も10万以上にも及ぶアメリカ海兵隊がダントツに大きく、規模の大きな国でも数万であり、中には数百という国もある。
また、その位置付けは国によってかなり異なる。単なる海軍の陸上戦闘部隊であったり、水陸両用戦部隊であったり、緊急展開部隊であったり、特殊作戦部隊であったり、その複数を任務としていたりもする。また、同じ国の同じ部隊であっても、時代とともに役割が変化していることも多い。