滑腔砲

読み:かっこうほう
品詞:名詞

ライフリングが刻まれていない砲のこと。

通常銃砲には発射した砲弾の弾道を安定させるために、砲弾に回転運動を与えるライフリングを刻む。ところで、現在の戦車砲弾は自身の持つ運動エネルギーでもって強引に装甲板を撃ち抜くという徹甲弾が主流であるが、同じ運動エネルギーを持っていた場合、貫徹力を上げる、すなわち圧力を上げるためには衝突面積を減らすことであり、つまり細長い弾の方が有利である。それ以外にも細長い方が飛翔時の空気抵抗による速度低下を少なくでき、運動エネルギーの損失を減らせるというメリットもある。しかし、細長い砲弾に回転を与えるとかえって弾道は不安定になる。また、回転運動に発射時の装薬燃焼エネルギーがそがれる上にもとは何も無い金属に溝を切り込んでいくのでその抵抗も馬鹿にならない。その様なことから現在の戦車には滑腔砲が用いられているのである。なお、その細長い弾を安定させるためには砲弾の胴体に取り付けられた翼で確保し、その様な砲弾のことをAPDFSDS弾(翼安定型装弾筒付徹甲弾)という。

それ以外にも、ライフリングがあるとその抵抗によって消耗されたエネルギーは砲身を損傷させることに用いられるため、それの無い分、滑腔砲の砲身の方がライフル砲の砲身より砲身寿命は長くなるというメリットもある。

ソ連のT-62に初めて採用され、以降西側でもイギリスのチャレンジャー以外の第3世代戦車の主砲に用いられている。