装甲車

読み:そうこうしゃ
外語:armoured vehicles 英語
品詞:名詞

一般的に戦車以外の装甲を持つ戦闘車輌一般のこと。進撃に先だって敵情を偵察偵察することによって部隊の目となったり、歩兵部隊に機甲部隊に随伴できる機動力を与え、移動時には警護を行なう。装甲偵察車や歩兵戦闘車、装甲兵員輸送車などがある。

装甲はあるものの戦車に比べるとかなり弱い。また足回りも装輪式が多く、装軌式であっても不整地突破能力は戦車に比べると弱い。回転砲塔はあっても大口径砲ではなく、機関砲程度である。あくまでも武装は精々歩兵支援程度のものでしかなく、敵の装甲車輌との交戦に耐えれるものではないのである。そのため、その外観の類似から軍事素人な日本人によく戦車と間違われるが別物である。

装甲車は普通の車輌に装甲と武装さえ持たせれば出来るため、その歴史は戦車より古い。装甲車の前身はイギリスで最初に誕生した。イギリスは世界で最初に産業革命が起こっただけに当時世界一の技術先進国であった。それはシムスが1902(明治35)年に個人的に造ったもので、ボート型の四輪車に軽機関銃3挺を取り付けたものだった。彼はそれをボーア戦争に悩むイギリス陸軍に購入して欲しかったのだが、全く注目されずに終わる。

続いて、同年フランスではジラルド・エ・ボワ自動車会社がオープンカー式の装甲車を造った。これは新聞紙上をにぎわし、フランス陸軍の採用するところとなっている。

1904(明治37)年の春、日露戦争中のロシアにおいて東シベリア軍の士官であったナカシッゼは日本軍を打ち負かす新兵器、装甲車の設計図を上層部に提出。この案に興味を示した満州方面軍司令官リネビッチ大将はこれを陸軍省に送った。陸軍省では日露戦争に忙しくそれどころではなかったが、技術部が興味を示し、希望は36両であったが、1両だけ試作することとなった。陸軍省では前述のジラルド・エ・ボワ自動車会社に試作を依頼し、翌1905(明治38)年、列車でロシアに送られて来た。この装甲車は重量3トン、時速50kmで走ることが出来、翌年に行なわれた走行テストも機関銃のテストも良好な結果が得られた。そのため、自国での生産の気運が高まったが、既に日露戦争は終了、それもロシアの敗北という形で終了したため見送られてしまった。

ただ、皇帝ニコライ二世は第二のピョートル大帝を夢見、強力なロシア軍を構築しようとしていたため、軍用車輌の導入に熱心であり、6ヶ国から19種54台も集めた。しかし、当時ロシアは工業が未発達であり、セルゲイ・ヴィッテが1908(明治41)年にリガに設立させたロシア・バルチック自動車会社でも1913(大正2)年からバルチック型と呼ばれるマキシム機銃3挺を備えた装甲車を製造したが、同社は1914(大正3)年の第一次世界大戦がはじまるまでにトータルで450台しか自動車を製造しなかったため、装甲車の生産数も極僅かでしかなかった。結局、開戦時ロシアには全土に1万1000台の自動車しかなかったのである。第一次世界大戦でロシア軍の装甲車は1914(大正3)年10月18日にはじめて実戦で銃火を交え、ドイツ軍に死傷者の山を築いた。それ以外にもロズの戦闘で活躍したが、戦車のような不整地突破能力は持ち合わせていなかったので、ドイツ軍が障害物を構築すればたちまち進撃はストップされるし、台数も少なかったのでその活躍は限定されたものに留まった。

第一次世界大戦が勃発すると各国は装甲車を製造したが、1914(大正3)年にベルギーのミネルバ車がドイツ騎兵隊に対し投入したのが実戦で相当数が使用された最初であるとされる。イギリスでは1914年型ロールス・ロイスをベースとした装甲車を生産し、飛行場警備に投入した。またアラビアのロレンスも中東戦線にてこの装甲車を有効に使用している。

第二次世界大戦で装甲車を一番重視していたのはイギリス軍で、それまで軽戦車が担当していた偵察任務に使用した。また、北アフリカ戦線にてSASがドイツ軍の兵站部隊の襲撃に用いている。アメリカ軍やドイツ軍では偵察任務には従来通り軽戦車を用い、歩兵の機動用にはハーフトラックを用いたため、装甲車は重要視されなかった。ソ連では生産は戦車に重点が置かれていたため、装甲車は英米から供与された兵器を当てていた。

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