ソ連で弾道ミサイル潜水艦として設計された最初の艦型。NATOコード ゴルフ型。
ソ連初の実用弾道ミサイル、R-13(SS-N-4)搭載のために1960年前後にあいついで23隻が建造された。しかし、肝心のR-13ミサイルの方の製造が順調に進まなかったため、当初はR-13の前に実験用に作られたR-11FMを搭載し、R-13が出来てきてからそれに換装した。
艦首は当初鋭いクリッパー型であったが、後に水中航行に有利な丸い形状に改められている。また、ミサイル発射筒は艦橋に収められたため、艦橋の大きさは馬鹿デカくなってしまい、水中運動性を著しく低下させると共に放射雑音レベルも大きくなる要因となってしまっている。
R-13は浮上発射式で、速力15ノット以下、海面状態4ないし6以下で発射可能だった。浮上後4分で最初のミサイルを発射可能、2発目以降の発射間隔も4分、すなわち浮上から全弾の発射終了までの所要時間は12分だった。これは極めて短時間かのように見えるが、潜水艦にとって、浮上状態を保ち、急速潜航が出来ない時間がほんの少しでもあるというのは極めて問題であった。これはソ連軍首脳も理解しており、水中発射が可能な後継のR-21(SS-N-5)が実用化されると1964(昭和39)年〜1968(昭和43)年に629A号計画によって14隻が改装された。これをNATOコードではゴルフII型といい、改装前のものを類別のためにゴルフI型という。したがって、ゴルフII型はゴルフI型の準姉妹艦というわけでなく、最初は全ての艦がゴルフI型だったのである。
1968(昭和43)年、1隻が605号計画によりミサイル・システムをD-6に換装し、R-27K(SS-NX-13)対艦弾道ミサイル発射筒4基の試験に従事した。これをNATOコードでゴルフIV型という。
1973(昭和48)年、3隻が629R計画によりミサイル・システムと艦尾発射管を撤去し、代わりに大型の通信装置を取り付け、通信艦に改装される。これをNATOコードでゴルフ SSQ型という。
1976(昭和51)年、1隻が601号計画によりミサイル・システムをD-9に換装し、R-29(SS-N-8)ミサイル発射筒6基を装備した。またこのために全長を117.6mに延長している。これをNATOコードでゴルフIII型という。
1978(昭和53)年、1隻が619号計画によりミサイル・システムをD-19に換装し、R-39(SS-N-20)ミサイル発射筒1基を装備した。これをNATOコードでゴルフV型という。
また、R-11FMミサイルを搭載した2隻が中国に輸出され、1隻がライセンス生産されている。
コラム(629号計画艦の主なスペック)
種別 弾道ミサイル潜水艦(第2級大型潜水艦)
全長 98.9m
全幅 8.2m
水上排水量 2,820トン
水中排水量 3,553トン
予備浮力 26.0%
機関 ディーゼル電気推進 5翼3軸
出力 水上6,000BHP、水中5,400BHP
電池 120-ST 112個4群
速力 水上15.5ノット、水中12.5ノット
潜航深度 250m(最大 300m)
兵装 魚雷 533mm空気圧式 4門(艦首)、2門(艦尾)
ミサイル R-13(SS-N-4)弾道ミサイル発射筒SM-60 3基(システムD-2)
乗員 59名(士官10名、准士官・下士官兵49名)