F-16

読み:エフ・じゅうろく
外語:F-16 英語
品詞:固有名詞

米ジェネラルダイナミックス(現ロッキード・マーチン)社製の単座単発の軽量多目的戦闘機。元々は制空用であったが、戦術用途も加えられたため、生産数が増え、高性能な割に機体が安価なことから多くの国で採用されている。愛称の "Fighting Falcon" は「戦う隼」の意。

1960年代半ば以降、ベトナム戦争で旧式だが軽快なMiG-17/-21に米戦闘機が意外な苦戦を強いられ、一方の自軍戦闘機はF-4からF-15に主力が移りつつあったが、F-15が高価であるため機数を揃えるには膨大な費用が必要であった。そこで、1965(昭和40)年に低価格な新型昼間戦闘機(ADF)の検討が始められたが、ハイ・ロー・ミックスという考え方に基づき、1969(昭和44)年に新たにF-15を補完する軽量戦闘機F-XX採用の勧告が出された。この勧告には米空軍、米海軍共に反対したが、同年に着任したパッカード国防副長官がシンプルな戦闘機に関心を持ちプロトタイピングによる開発を支持する人物であったため、彼の指揮により、1972(昭和47)年2月18日、米空軍でLWF(軽量戦闘機。後にACF/空戦戦闘機)計画が立てられた。

LWF計画では大きな推力重量比、荷重制限6.5G、総重量9,072kg、高機動性が要求され、これに対し1972(昭和47)年3月に候補としてボーイングの908-909、ゼネラルダイナミクスのモデル401、ノースロップのモデルP-600双発型コブラを選定し、4月13日に、ジェネラルダイナミックスとノースロップに各々YF-16、YF-17の試作戦闘機名を与え、各2機の試作を指示した。そして、フライオフの結果、価格の安さ、運用経費の安さ、航続距離の長さ、運動性能などの理由により1975(昭和50)年1月13日、YF-16の採用が決った。米空軍としては久々の単発戦闘機の選定となったが、その理由としては高加速度率、高上昇率、抜群の運動性という重要な要求を満たすにはより軽量な機体の方が優れているということが挙げられる。一方、負けたYF-17はその後、F/A-18として米海軍に採用されている。

当初、LWF計画としてスタートした本機であるが、ACF(空戦戦闘機)に変更され、それに伴いレーダーを使用しての対地攻撃能力、全天候航法装置などが追加され、多目的戦闘機として実用化された。そのため、当初はF-15を補完する戦闘機であることが求められていただけであったのが、F-4に代わる戦術機の位置を占めることとなり、米空軍においてもF-15よりも装備機数が多くなってしまっている。

F-16の試作機であるYF-16は初号機が1974(昭和49)年2月2日に、2号機が1974(昭和49)年5月9日にそれぞれ初飛行し(初号機のテストは1974(昭和49)年1月20日から開始されているが、高速地上走行試験でトラブルが多発し、中々初飛行にこぎつけれなかった)、選定に伴い15機の前量産型製造契約が与えられたが、1975(昭和50)年4月9日に8機(単座型のF-16A 6機、複座型のF-16B 2機)に削減されている。この前量産型初号機は、1976(昭和51)年12月8日に初飛行している。

F-16は完全なフライ・バイ・ワイヤ(FBW)操縦装置を採用し、メカニカルのバックアップを持たない、コンピューターだけで飛行操縦を制御した初めての航空機となった。それ以外にも、操縦桿をコクピット左コンソールに配置するサイド・スティック、座席の背を大きく後に傾けることによってパイロットがより大きなGに耐え、且つ機体を操縦できるような配慮や、機体の方も主翼を胴体に溶け込むように配置したブレンデッド・ボディにより構造重量低減、機内容量増大、抗力減少を達成し、空気取り入れ口を胴体下面に配置して、どの様な姿勢でもエンジンへの安定した空気流入を確保し、前翼前縁には空戦フラップを設けることによって高い機動性を得、また、機体各所に複合素材を組み込むなど当時の先進技術が多数採用されている。

また同時に既成品の多用、部品共通化や機体各部のモジュラー化、F-15と同じP&W F100を単発装備したことなどによるコスト削減が徹底して行なわれた結果、小型軽量低価格で高性能な戦闘機が誕生した。

全長15.03m, 全幅9.45m, 全高5.09m, 自重8,580kg, 総重量12,331kg(制
空)/19,187kg(機外装備最大), GE製F110-GE-129 1基, 実用上昇限界15,24
0m+,, 戦闘半径1,250km(増槽*3, 爆弾900kg, AIM-9*2, hi-lo-lo-hi), 武
装20mm M61A1*1(511発), AAM*6, HARM*2, 最大兵装搭載量7,000kg, 乗員1
名, 初飛行1974.1.20.
・F-16A       単座型
・F-16B       複座型
   A/B Block 1     黒色レドーム/RWRアンテナカバー採用
       Block 5     グレーレドーム/RWRアンテナカバー採用
       Block10     GPU-5/Aガンポッド装備型
       Block15     水平安定板拡大/大仰角飛行可能
       Block15OCU  運用能力向上. 機体補強/大型HUD/電子妨害ポッド
       Block15MLU  寿命中近代化. コクピット改装/広視野HUD/HMD装備
       Block20     台湾向け(Block15MLUベース)
・F-16C       F-16A能力向上型
・F-16D       F-16B能力向上型
   C/D Block30/32  AGM-45シュライク搭載可能
       Block40/42  LANTIRNポッド搭載可能/夜間攻撃能力
       Block50/52  AMRAAM空対空ミサイル/対空制圧 "Wild Weasel" 能
                   力
・F-16XL      ATF計画による発展試作型. 2機のみ試作.

1998(平成10)年5月末現在

  • バーレーン空軍:12機(F-16C*8, F-16D*4)
  • ベルギー空軍:160機(F-16A*96, F-16A OCU*40, F-16B*20, F16B OCU*4)
  • デンマーク空軍:70機(F-16A*46, F-16A OCU*8, F-16B*12, F-16B OCU*4)
  • エジプト空軍:175機(F-16A*34, F-16B*8, F-16C*103, F-16D*30)
  • ギリシャ空軍:80機(F-16C*66, F-16D*14)
  • インドネシア空軍:12機(F-16A OCU*8, F-16B OCU*4)
  • イスラエル空軍:210機(F-16A*67, F-16B*8, F-16C*81, F-16D*54)
  • 韓国空軍:160機(F-16C*110, F-16D*50)
  • オランダ空軍:213機(F-16A*130, F-16A OCU*47, F-16B*31, F-16B OCU*5)
  • ノルウェー空軍:74機(F-16A*60, F-16B*12, F-16B OCU*2)
  • パキスタン空軍:68機(F-16A*28, F-16A OCU*13, F-16B*12, F-16B OCU*15)
  • ポルトガル空軍:20機(F-16A OCU*4, F-16B OCU*3)
  • シンガポール空軍:22機(F-16A OCU*4, F-16B OCU*4, F-16C*8, F-16D*10)
  • 台湾空軍:150機(F-16A*120, F-16B*30)
  • タイ空軍:36機(F-16A OCU*26, F-16B OCU*10)
  • トルコ空軍:240機(F-16C*204, F-16D*36)
  • アラブ首長国連邦:80機(F-16C/D-60*80(予定))
  • アメリカ空軍:1,470機(F-16A*118, F-16B*58, F-16C*1,100, F-16D*194)
  • アメリカ海軍:26機(F-16N*22, TF-16N*4)
  • ベネズエラ空軍:24機(F-16A*18, F-16B*6)