FS-X

読み:エフエス・エックス
外語:FS-X
品詞:固有名詞

航空自衛隊のF-1の後継となる、次期支援戦闘機。後のF-2

FS-Xについての検討が開始されたのはまだ量産型のF-1が完成してから3年しか経っていない1981年のことであった。そして、56中業においてその期間(1983(昭和58)年〜1987(昭和62)年)内に24機が必要だとされていた。ただその後、F-1の機体寿命見直しや機体寿命を個別に管理する航空機構造保全プログラムASIPの導入により、F-1の退役開始が1994(平成6)年頃まで延ばされることとなり、必然的にFS-Xの装備開始もその頃でよくなり、計画スケジュールに余裕が出た。

このFS-X計画では、外国製航空機の輸入(ライセンス生産を含む)とともに、国内開発も考えられていた。要撃戦闘機はライセンス生産であるが、日本が独自の戦闘機開発技術を保有する必要性が唱えられたからである。防衛庁では1984(昭和59)年12月に自主開発の可能性についての調査を開始、1985(昭和60)年9月17日に「国内開発できる技術的可能性あり」との回答が出された。これにより具体的な検討対象として、アメリカのF-16およびF/A-18、ヨーロッパのトーネード、そして国内開発機がリストアップされた。

そしてその外国製3機種のメーカーに対して同年10月11日に機体の情報に関する質問状を送付した。日本側が求めていた性能としては公式発表はされていないが、1。空対艦ミサイル(ASM-1)を最大で4発携行できること。2。短射程空対空ミサイル(AIM-9サイドワインダーや後の90式空対空誘導弾(AAM-3))を2〜4発携行できること 3。中射程空対空ミサイル(AIM-7スパローや後の99式空対空誘導弾(AAM-4))を2〜4発携行できること 4。全天候運用能力を有すること 5。高度な電子戦能力を有すること 6。対艦攻撃ミッションの仕様で450nm(833km)以上の戦闘行動半径を有すること などがあったとされる。各メーカーからの回答をもとに防衛庁ではその検討に入ったが、F-16はASM4発携行が出来ない、F/A-18は十分な航続性能が得られない、トーネードは中射程空対空ミサイルの運用が出来ない(提示されたのは阻止・攻撃型IDS)とその要求項目の全てを充たす機体は無かった。このため一気に国内開発に傾くかに思われたのだが、海外各社からクレームが付いた。国内開発機はまだできてもおらず、これから作るのであれば要求に合わせることができるのは当然でこの審査は不平等だ、ということであった。これは当然の抗議で、ペーパー・プラン(国内開発)と既存機を比較すること自体が間違っていたと言える。さらにはこういった反発があった事実が公となったため、そもそもその質問状自体が外国機を落とし、国内開発を正当化するための理由付けに過ぎないのではないかとの疑いさえ持たれるようになってしまった。

このため、防衛庁は1986(昭和61)年5月に再度質問状を送ることにした。ジェネラル・ダイナミクスではクランクド・アロー翼装備のF-16XLをベースとするものを含んだり、パナビアでは防空型ADVにIDSの対艦攻撃能力を加えた機体をトーネードJとして提示するなど改良型能力向上案も回答の中に含んでいた。また、アメリカの2社は共同開発案も提示し、防衛庁ではその調査のために同年12月にアメリカに調査団を派遣した。そして同月、FS-X計画の検討状況について安全保障会議に「これまで検討の対象となっていた『国内開発』、『現有機の転用』および『外国機の導入』のうち、『国内開発』を『開発』とあらため、アメリカとの共同開発もふくめて引き続き検討をし、わが国の防衛上の観点から、もっとも適切な結論をできるだけ早期に得る」と報告した。

この頃からFS-Xは日米の政治マターへと変貌していた。まず、サッチャー英首相が親書を送るなど様々な対処を試みたものの、日本の安全保障政策上、共同開発の出来ないトーネードは採用の目が消えたも同然で、続いて国内開発もアメリカの貿易収支均衡化という切り札の前に、事実上アメリカとの共同開発に決まっていったのであった。

ところで、外国3機種のうちから採用されるとすれば、F/A-18が断然有利であった。というのもまず双発であり、海上飛行が多いFS-Xには有利に働き、その名前の通り、戦闘ミッションも攻撃ミッションも難無くこなすことが出来るからである。海軍機というデメリットはあったものの、単発のF-16やヨーロッパのトーネードに比べれば大した問題ではなかった。しかし、上記のとおり、既に話は機体案の優劣ではなく、どのように政治決着が図られるかに焦点が移っており、1987(昭和62)年6月28日のキャスパー・ワインバーガー国防長官が来日しての栗原防衛庁長官との会談。続いて10月2日の今度は栗原長官が渡米しての両者の会談の結果、10月21日、防衛庁はFS-XはF-16をベースに日米が共同で開発すると発表し、23日に安全保障会議で承認された。

これにより、漸くFS-X問題は決着するかに見えたが、この先その開発の過程でも問題が噴出するのであった。