宇宙開発事業団(NASDA)により開発された、衛星打ち上げ用のロケットで、一部で軍用に転用できるとささやかれたロケット。
確かに民間ロケットと軍事ロケットは基本技術は全く同一で、初期に使用された人工衛星打ち上げロケットはIRBM、ICBMを基にしており、搭載物を地球を回る弾道に乗せるか、弧を描いて再び地表に落下させるかの違いしかない。
H-Ⅱロケットでは最も高い比推力を生み出す燃料と酸化剤の組み合わせである液体水素・液体酸素を使用しているが、両者の沸点は各々−253℃、−183℃である。これが燃焼室に入った途端に数千度になるのであるから非常に構造が複雑になり、故障率が極めて高く、メンテナンスが非常に難しい。また、即応態勢に置くことも不可能である。したがって、H-Ⅱロケットを核弾頭打ち上げに用いることは可能であるが実用性は極めて低く、H-Ⅱロケットの軍用転換を話題にするものは自らの知識の浅はかさを示しているだけである。
ただし、それだけ複雑なロケットを実用化できたということは、常温貯蔵可能な固体燃料を用いた液体燃料ロケットや、固体燃料ロケットを作り出すことは雑作なことであり、事実J-Ⅰロケットというフル固体燃料ロケットを実用化している。軍用転換を口にするならこちらをすべきであろう。