カドミウム

読み:カドミウム
外語:Cd: Cadmium 学名 , Cadmium 英語 , Kadmium ドイツ語 , Cadmium フランス語 , Cadmio スペイン語 , Кадмий ロシア語 , كادميوم アラビア語 , 大陸簡体 , 台灣正體 , kadmi/o エスペラント
品詞:名詞

銀白色の金属元素の一つ。

目次

基本情報

一般情報

原子情報

  • 原子量: 112.411(8)
  • 電子配置:
    • 1s2、2s2、2p6、3s2、3p6、3d10、4s2、4p6、4d10、5s2
    • [Kr]4d10、5s2
  • 原子価: 2
  • 酸化数: 0、+2

物理特性

同位体

質量数は、95から133までが確認されており、その中に核異性体も存在する。安定同位体は三つある。

  • (106Cd)
  • (108Cd)
  • 110Cd
  • 111Cd
  • 112Cd
  • (114Cd)

3つの安定同位体のほかに、三つの長寿命放射性同位体がある。

同位体核種天然存在比半減期崩壊崩壊後生成物
95Cd  β+崩壊95Ag
96Cd  β+崩壊96Ag
97Cd  β+崩壊97Ag
98Cd  β+崩壊98Ag
99Cd  β+崩壊99Ag
100Cd  β+崩壊100Ag
101Cd  β+崩壊101Ag
102Cd  β+崩壊102Ag
103Cd  β+崩壊103Ag
104Cd  β+崩壊104Ag
105Cd  β+崩壊105Ag
106Cd1.25%>6.6×1018(2β+崩壊)106Pd
107Cd 6.5時EC崩壊107mAg
β+崩壊107mAg
108Cd0.89%>4.1×1017(2β+崩壊)108Pd
109Cd1.267年EC崩壊109Ag
110Cd12.51%安定核種(中性子数62)
111Cd12.81%安定核種(中性子数63)
111mCd  IT崩壊111Cd
112Cd24.13%安定核種(中性子数64)
113Cd12.22%9.3×1015β崩壊113In
113mCd    
114Cd28.72%>9.2×1016(2β崩壊)114Sn
115Cd β崩壊115In
115mCd44.6日  
116Cd7.47%3.4×1019崩壊116Sn
117Cd2.4時β崩壊117In
117mCd    
118Cd  β崩壊118In
119Cd  β崩壊119mIn
120Cd  β崩壊120In
121Cd  β崩壊121mIn
122Cd  β崩壊122In
123Cd  β崩壊123mIn
124Cd  β崩壊124In
125Cd  β崩壊125mIn
126Cd  β崩壊126In
127Cd  β崩壊127mIn
128Cd  β崩壊128In
129Cd  β崩壊129In
130Cd  β崩壊130In
131Cd  β崩壊131In
132Cd  β崩壊132In
133Cd  β崩壊133In

安定核種に対し、質量数が大きすぎるまたは小さすぎる場合は複雑な崩壊となり、質量数が小さいと陽子放射、大きいと中性子放射が同時に起こることがある。

性質

有毒だが、展性が大きく加工しやすいという特徴を利用してメッキや電池の電極に使われる。

カドミウムは中性子をよく吸収する性質があり、原子炉制御棒材料としても使われている。

硫化カドミウムは黄色顔料として使われるほか、半導体の性質を示し、光の強度によって抵抗が変わることから光センサーなどに使われる。

イタイイタイ病

イタイイタイ病は、富山県の神通川流域で発生した、日本初の公害病として認定された疾患である。これはカドミウムによって引き起こされる、骨が軟化する病気である。

重金属であるカドミウムの慢性中毒により腎機能障害を起こし、カルシウムの吸収ができなくなり、もって骨が脱灰状態になり骨軟化症を招く。このため、僅かな身体の動きでも骨折してしまい、患者が「痛い痛い」と泣き叫んだことから、地元の開業医、萩野昇により「イタイイタイ病」と命名された。

まず、18世紀頃から、神通川流域上流の神岡鉱山で銅や鉛、亜鉛などが採掘されるようになった。しかし、当時はカドミウムが良く知られておらず、その検出方法も知られていなかったこともあり、亜鉛製錬後に発生したカドミウム含有排水などが、そのまま神通川へと流されていた。

神通川の中流域では、潅漑用水や飲料用水として使われていたため、このカドミウム汚染水が農作物や水道水を通じて周辺住民の体内に蓄積され、やがてイタイイタイ病を引き起こしたのである。

支那米

支那は土壌の汚染が深刻なレベルにまで進んでおり、支那で栽培される米は、大半がカドミウムで汚染されている。

報道では、広東省広州市圏で販売されている米の半分近くがカドミウムに汚染されている、などと報じられた。共産党政府の許容限度は1kgあたり0.2mgだが、倍以上を含む米が普通に市販されており、規制も困難な状況になっているという。

こういった米は、日本国内にもかなりの量が流入しているとされる。

食品中のカドミウム

食品に含まれるカドミウムの毒性については、農林水産省が「食品安全に関するリスクプロファイルシート」と題してまとめていた。

適用法令

  • RoHS指令(使用禁止物質)
  • 労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令
    • 特定化学物質障害予防規則(別表第一)
      • カドミウム、化合物、含有する製剤(含有量が重量の1%以下のものを除く)
  • 化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

毒物及び劇物取締法には非該当。

危険性

  • 引火点: (該当資料なし)
  • 発火点: 250℃(カドミウム金属粉塵)
  • 爆発限界: (該当資料なし)

有害性

  • 刺激
    • 腐食性: (該当資料なし)
    • 刺激性: 気道を刺激する。肺を冒す。
    • 感作性: (該当資料なし)
  • 毒性
    • 急性毒性: 100〜300mg/kg体重 (齧歯類)
    • 慢性毒性:
      • 2mg/kg体重/日 (実験動物、骨への影響)
      • PTWI 7µg/kg体重/週 (JECFA)
    • がん原性: 陽性
      • 吸入暴露: CLASS I (IARC)
    • 変異原性: 陽性
    • 生殖毒性: 陽性
    • 催畸形性: (該当資料なし)
    • 神経毒性: (該当資料なし)

環境影響

  • 分解性: (該当資料なし)
  • 蓄積性: (該当資料なし)
  • 魚毒性: (該当資料なし)

1817(文化14)年にドイツの科学者シュトロマイヤーにより、菱亜鉛鉱の中の不純物として発見された。

化学名Cadmiumは、ギリシャ語で「菱亜鉛鉱」を意味するκαδμεία(kadmeía)から付けられた。

  • アラキジン酸カドミウム
  • 塩化カドミウム (10108-64-2)
  • カドミウムイエロー (8048-07-5)
  • 酸化カドミウム (1306-19-0)
  • ジエチルカドミウム (592-02-9)
  • ジメチルカドミウム (506-82-1)
  • 臭化カドミウム (CdBr2) (7789-42-6)
  • 硝酸カドミウム (10325-94-7)
  • ステアリン酸カドミウム (2223-93-0)
  • 炭酸カドミウム (513-78-0)
  • 弗化カドミウム (CdF2) (7790-79-6)
  • 硫化カドミウム (1306-23-6)
  • 硫酸カドミウム (10124-36-4)

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