毒性が強いとされる物質の名で、常温では無色無臭の固体。ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)やポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、コプラナーPCBをまとめてダイオキシン類と呼んでいる。
ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン・1-4,6-9に1〜8個のClが付く
ポリ塩化ジベンゾフラン・1-4,6-9に1〜8個のClが付く
ダイオキシン中、最も毒性の強いのは2,3,7,8-TCDD(四塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン)である。
ラットの経口LD50(半数致死量)は20μg/kg。ダイオキシンに最も弱いとされるモルモットのLD50が0.6〜20μg/kgである。
これが人間にも当てはまるとすると、猛毒サリンの数倍の急性毒性があることになる。
ダイオキシン問題という言葉がある。しかし、世間に流布されている事柄は、時に事実から乖離している。
ダイオキシンは主として食物から摂取される。
ダイオキシンは脂肪に溶けやすいため肉や魚、卵、乳製品などに含まれやすい。また水に溶けないので根から水を吸い上げる野菜にダイオキシンが濃縮される可能性は低い。
かつて、テレビで埼玉県所沢市の野菜にダイオキシンが多いなどと事実無根の報道をされ、農家は風評被害で大損害を被るなど大問題となった。
ダイオキシンは、発がん性、胎児畸形、甲状腺機能低下、生殖器官の退化や精子数減少、免疫機能の低下、揚げ句の果てには新生児をアトピーにするなど、全く根拠のない嫌疑を次々と掛けられている、恐らく日本で最も有名な有毒物である。
そして、これが事実であることが前提となって、現在日本では対策が進んでいる。
塩化ビニール(以下塩ビ)を燃やすと発生するとされ、1990年代には学校の焼却炉の閉鎖や、塩ビ排斥運動などが各地で起こり、社会問題にもなった。
しかし、このダイオキシンの毒性も被害も、実際には悲観する程のものではなかった。
ダイオキシンの発生源とされる焼却炉だが、発生するダイオキシン量は調査により塩ビとは無関係と判明している。
なぜなら、一般家庭ゴミにも充分量の塩素が含まれるため、ダイオキシン生成量はほぼ全て炉の燃焼条件のみで決まるのである。加えて焼却炉周辺と遠方とで摂取量・体内量を調査しても、有意な差は存在しなかった。
現在も焼却炉に特化して対策が進められてはいるが、元々問題の無いレベルを、さらに問題の無いレベルに下げるために莫大なコストを掛けようということになり、資産配分から考えても問題といえる。
つまり、塩ビを規制したところでダイオキシンは減らない。ダイオキシンの摂取量や体内量が最も多かったのは1970年代だが、その諸元は牧草地に多く撒かれた有機塩素系農薬であると考えられている。
次に内分泌撹乱作用(環境ホルモン作用)である。精子数減少や胎児畸形問題が増加したのはここ30年程度の話であるが、一方、ダイオキシン摂取量や体内量はここ30年で順調に減少してきている。
つまり両者に相関は見られず、ダイオキシンが直接の原因であるという根拠は実は存在しない。
例えば有機水銀や鉛などには、きちんとした有害の証拠が存在するが、一方でダイオキシンには疫学的にすら、人体に有害だという証拠が全くないのである。
環境から減らすに越したことはないが、過剰な排斥運動も問題である。これは、医薬品も飲み方を誤れば毒なので絶対に飲んではならないと言ってるのと同じくらいナンセンスなことだからである。
結論を述べれば、日常摂取量で急性毒性を発揮する事はありえず、今の水準なら慢性毒性に陥る可能性も低い、ということになる。
草木を焼べて焚き火をする程度でもダイオキシン類は発生する。つまり原始地球の頃からこれは存在し、それこそ人類が生まれた時には既に触れ始めている物質である。よって測定限界ギリギリ程度の微量のダイオキシン類の検出結果に目くじらを立てて、まるで明日にでもガンで死ぬかのような恐怖心を煽るのは、無知な者を扇動するような何らかの意図があるのだと思われる。
しかし全く無害というわけでもない。そもそもこの世に、全く無害の物質など存在はしないのである。