ビタミンの一つで、脂溶性ビタミン。トコフェロール/トコトリエノール。
ビタミンEは8種類あり、トコフェロール(tocopherol)とトコトリエノール(tocotrienol)に、それぞれα/β/γ/δの4種類の同族体がある。そしてまた、それぞれに光学異性体が存在する。
環部分の5、7、8に接合するものがHかメチル基(CH3)かで名称を決める。
それぞれR1、R2、R3とすると、次のようになる。
| R1 | R2 | R3 | 名称 |
|---|---|---|---|
| H | H | H | トコール(tocol) (基本型) |
| CH3 | CH3 | CH3 | α |
| CH3 | H | CH3 | β |
| H | CH3 | CH3 | γ |
| H | H | CH3 | δ |
つまり基本型トコールに対し、8番炭素(R3)がメチル基(CH3)に置換したものをトコフェロール(tocopherol)と言い、5番と7番で計4種類の組み合わせがある。
トコトリエノールは不飽和であるもので、途中に二重結合が三つ存在するものである。
トコトリエノール(tocotrienol)はα/β/γ/δについて全てCAS番号不明。
なお、「天然ビタミンE」としてのCAS番号は1406-18-4である。
動物の体細胞は燐脂質と蛋白質から構成されるが、燐脂質の脂肪酸が酸化され過酸化脂質となるのを防ぐために細胞膜内にビタミンEが含まれていて、細胞の身代わりに酸化されることで細胞を守っている。
欠乏すると、過酸化脂質が増え、動脈硬化や癌、老人性シミなどを発症する。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、許容上限摂取量は成人男子で600mgα-TE (α-TE=α-トコフェロール当量)。
ただ経口摂取の場合、α-トコフェロールの吸収経路は特殊であり、腸管にあるα-TTP(α-Tocopherol Transfer Protein)によって吸収されるため、必要以上の吸収は行なわれない。
ちなみに、マウスの腹腔内投与などでの摂取過多は、不足と似た症状を示すようである。
トコフェロールは、少量では抗酸化剤であるが、多量になると今度は酸化を促進する作用があることが分かっている。またα-トコフェロール以外は、実はあまり吸収されないらしい。
もともとは1922(大正11)年にラットの妊娠に必要な因子として発見され、1924(大正13)年にビタミンEと名付けられた。
トコフェロールの名の語源はギリシャ語で、Tocosは「子供を産む」、Pheroは「力を与える」という意味がある。
抗酸化作用があるので、酸化防止のため、主に油脂用の食品添加物(酸化防止剤)として利用されている。