ベクトル演算、行列演算を行なうことを前提に設計されたプロセッサのこと。
まずメインメモリ上にベクトル、行列などのデータを展開しておく。次にプロセッサにそのデータをどのように処理するか(例:和・差を求める、内積を求める、外積を求めるなど)について指示を与える。そうした上で、プロセッサにデータ処理の指示を与えるとメインメモリ上に展開されたデータを大量に演算するというもの。この演算を効率よく行なうために非常に大きなメモリ帯域幅と多数のベクトルレジスタを用意していることを特徴とする。
その仕組み上、同じような計算を大量に行なう科学技術計算を特に得意とする。たとえば3行3列の行列同士の和・差の演算を例に取るとスカラー型プロセッサでは必ず9演算命令(メモリからのデータの取得格納を含めると実際の命令数は更に多い)であるのに対し、ベクトル型では前処理をしておけば1命令で処理可能にもなる。これは大きな行列の積の計算になるとより顕著に差が現われる。
近年ではスカラー型プロセッサの並列処理技術が上がったため、スカラー型でも十分ベクトル型プロセッサの処理能力を出せるという意見もある。ただし、ベクトル型スーパーコンピュータの雄であるNECは科学技術計算ではベクトル型プロセッサの方が優位であるという姿勢を崩していない。
実際にはベクトル型プロセッサとスカラー型プロセッサでは得意とする分野がはっきりと分かれているため、どちらがより優位であるとかいう議論はあまり参考にならないようだ。