強い酸性を示す無機酸の一つ。塩化水素の水溶液。無色透明で強い刺激臭がある。劇物指定。
胃液の胃酸の主成分である。
化学式HCl(あるいは「HCl in H2O」や「HClaq」(aqは添え字でaquaの略)とも書かれる)。分子量36.46。CAS番号7647-01-0。
塩酸は還元性の酸なので、イオン化傾向でH(水素)よりイオン化しにくい物質を溶かせない。酸化性の強い濃硝酸と濃塩酸を1∶3で混合した液体は王水と呼ばれ、イオン化傾向が低い金や白金も溶かす。
法的には、次のような規制になっている。
工業的には金属の精製から医薬品の製造まで、極めて多目的に利用される。
また、実験器具の洗浄など、様々な目的で利用される。
食品添加物のうち加工助剤としても指定されている。
加工助剤とは、食品の加工に使って良いが、最終食品には残留してはならない、というものである。その目的で使うなら、食品用のグレードのものを使わなければならない。
缶詰用の果物(蜜柑など)の皮むきも塩酸に浸して行なわれる。
蜜柑の缶詰を作るとき、塩酸などの薬品で処理をしているというと多くの人が不快感を露わにするが、案ずることはない。塩酸など、酔っぱらったときにいつも吐いている筈だからである。
尤も、前述のように加工助剤なので、最終の食品には残留していない。
目に入ればめちゃくちゃ痛く、高濃度のものが目に入れば失明する可能性がある。
万一目に入ったときはまず、多量の水で目を洗い、その後速やかに病院へ。これは殆どの化学薬品に共通の処理であり、化学実験をするときの心構えである。それでも濃硫酸や濃アルカリならまず確実に失明するので、それと比べれば幾らかマシではあるらしい。
吸引すれば気道や肺を冒す。濃度の高い塩酸が皮膚につくと火傷の症状を呈する。
現在使われている医薬品には塩酸塩が多くあり、その数は枚挙に暇がない。ここでは、その一例を紹介する。