核融合

読み:かくゆうごう
外語:nuclear fusion 英語 , fuzi/o エスペラント
品詞:さ変名詞

原子核と別の原子核がくっついて、より重い別の原子核になること。この際大きなエネルギーが放出される。

一般的には軽い原子(水素ヘリウムリチウム等)同士の融合をいう。

宇宙の核融合

宇宙が誕生し、ビッグバンが起こった直後には、宇宙には最も軽い水素、ヘリウム、リチウムの3種類の元素しかなく、元素の大半は後に恒星の核融合反応によって作られたものである。

しかし原子番号が大きくなるにつれ原子核同士のクーロン斥力(同じ電荷を持つ粒子同士の反発力)が大きくなるため、核融合で生成できる元素は原子番号26のが限界である。

恒星の核融合

太陽などの恒星で行なわれている現象である。

通常は水素が融合しヘリウムが作られているが、やがて星が老いてくると、

  • 4He+4He+4He→12C
  • 12C+4He→16O

のように続き、途中α崩壊したりγ線による分解などを経て、56Niとなる。

56Niはその後β崩壊し、陽子2個が中性子に変わって鉄(56Fe)となる。鉄はエネルギーが低いので、これ以上の核融合は起きない。こうして進化した恒星の中心には鉄の核ができることになる。

この反応をCNOサイクルといい、式を単純化すると、概ね次のようになると説明されている。

  • 1H→4He
  • 4He→8Be+4He→12C
  • 12C+4He→16O
  • 12C→4He+20Ne
  • 20Ne+4He→23Mg+e
  • 16O→4He+28Si
  • 16O→2·4He+24Mg
  • 28Si→56Fe

ちなみに鉄より原子番号の大きな原子は、中性子の吸収とβ崩壊によって作られる。

研究と利用

核融合は、現在使われている核分裂に代わる核エネルギーの利用方法として研究されている。

太陽内と同様の反応を実現させるため「人工太陽」とも呼ばれている。

概要

D-T核融合
D-T核融合

核融合実験で実現の目標とされているのは、

重水素+三重水素→ヘリウム+中性子

というD-T核融合反応である。

これは衝突時に核融合反応がおこる確率が高く、また放出されるエネルギーが17.6MeVと大きい。

この重水素+三重水素1gで、石油8トン(タンクローリー1台分)のエネルギーを生む。しかし地上で核融合を行なうのは大変なことで、1億℃以上のプラズマが必要になる。それだけの温度・高速な粒子容器に閉じ込め、膨大なエネルギーを与えて燃料を加熱し、かつ一定以上の密度を保たねば核融合は継続しない。

安全性

しかしこの困難さは、核融合が核分裂と違い、安全であることの裏返しでもある。

核融合でも結果中性子が作られるが、この中性子はウランの核分裂とは違い核融合の連鎖反応を起こさない。

また核融合炉では炉中にある燃料は僅かで、継続的に燃料を中に補給する。そのため燃料の補給を止めれば反応もすぐに停止する。

常に温度、密度、放熱の阻止の三条件の全てを満たさねばならず、何れか一つでも欠ければやはり反応は停止してしまう。核分裂反応のような暴走は、原理的に起こり得ないわけである。

つまり現在の核分裂反応は必死に反応を抑えようとしているのに対し、核融合反応は必死に反応を継続させようとする点が大きく異なる。

技術開発

実用化はまだ問題も多く困難だが、この分野では日本が世界をリードしている。

日欧米露の4極で研究が進み、日欧露と米中が共同でITER(国際熱核融合実験炉)の建設計画もある。ITERはフランスに2013(平成25)年頃完成予定で、本体の建設費約5700億円を含めて総事業費は1兆3000億円と見積もられている。誘致国のフランスがこの半額を負担することとなった。

完成後は順次発電所が建設され、2020〜2030年頃には実験炉で発電が可能になり、2050(平成62)年頃には実用炉が完成するのではないか、と言われている。