「燐」の字が常用漢字から漏れたため、現在は「リン」とも書く。化合物の日本語名は日本化学会の化合物命名法委員会によるものが正式だが、そこでは前述の理由により「リン」となっている。
安定同位体は一つのみ。
| 同位体 | 天然存在比 | 半減期 | 崩壊の種類 | 崩壊後生成物 |
|---|---|---|---|---|
| 30P | ‐ | 2.498分 | β+崩壊 | 30Si |
| EC崩壊 | 30Si | |||
| 31P | 100.00% | 安定核種(中性子数16) | ||
| 32P | ‐ | 14.262日 | β−崩壊 | 32S |
| 33P | ‐ | 25.34日 | β−崩壊 | 33S |
単体には白燐、紫燐、黒燐などの同素体が存在する。
このほか、混合物などとして黄燐、赤燐、紅燐などがある。
黄燐は黄白色半透明で蝋状の柔らかい固体であり、非水溶性。
猛毒(医薬用外毒物 危険物第三類)であり、殺鼠剤(さっそざい)に使用される。
人間の場合は0.11gで死ぬが、皮膚に付着するだけでも火傷や骨の壊疽を起こすので、決して直接触れてはならない。蒸気は喉や鼻の粘膜を腐食する。
自然発火して燃焼すると五酸化燐P4O10となるが、発火せずとも空気中で徐々に酸化されて十酸化四燐(P4+5O2→P4O10)を生じる。この際のエネルギーは熱ではなく光として放出される。これを燐光という。
紫燐を主成分とし、黄燐を混合したもの。
赤燐の微細粉末が紅燐である。
赤燐は暗赤色の粉末であり、非水溶性。
無毒だが、危険物(危険物第二類)である。
黄燐と違って反応性が弱く、空気中では発火しない。マッチの先や花火の火薬として使われている。
1669(寛文9)年にドイツの錬金術師ヘニング・ブラント(Henning Brand)が発見したらしいが、彼は情報を公開しなかったため正確な事は分からない。
名前の由来は、黄燐が発光するため、ギリシャ語で「光を運ぶもの」を意味するphosphoros(φωσφορος = fōsforos)から命名された。
生体内では様々な燐酸化合物が使われており、様々な機能を持っている。
DNAは、塩基が核酸によって結合された大分子である。人体においては体重の約1%が燐酸である。
また、農薬や化学兵器として有機燐化合物が広く使われている。
生体内物質等や医薬品でよく知られるもの。