読み:りん
外語:P: Phosphorus 学名 , Phosphorus 英語 , Phosphor ドイツ語 , Phosphore フランス語 , Fósforo スペイン語 , Фосфор ロシア語 , فوسفور アラビア語 , 磷 支那語(大陸・台湾) , fosfor/o エスペラント
品詞:名詞

ヒトの必須主要元素の一つとなる元素

「燐」の字が常用漢字から漏れたため、現在は「リン」とも書く。化合物の日本語名は日本化学会の化合物命名法委員会によるものが正式だが、そこでは前述の理由により「リン」となっている。

基本情報

一般情報

原子情報

  • 原子量: 30.973761(2)
  • 電子配置:
    • 1s2、2s2、2p6、3s2、3p3
    • [Ne]3s2、3p3
  • 原子価: 3、5
  • 酸化数: −3、0、+1、+3、+4、+5

分子情報

  • : 固体
  • 融点: 44.1℃(黄燐)、589.5℃(赤燐・43.1気圧)
  • 沸点: 280.5℃(黄燐)、430℃(赤燐・36気圧)
  • CAS番号: 12185-10-3(黄燐)、7723-14-0(赤燐)
  • ICSC番号: 0628(黄燐)

同位体

安定同位体は一つのみ。

  • 31P
同位体天然存在比半減期崩壊の種類崩壊後生成物
30P2.498分β+崩壊30Si
EC崩壊30Si
31P100.00%安定核種(中性子数16)
32P14.262日β崩壊32S
33P25.34日β崩壊33S

機能

生物に必須となる元素である。DNAなどの核酸は燐酸を含む化合物であり、その生成には燐を欠くことができない。

また、エネルギーの生成や貯蔵にも燐酸の反応が使われており(AMPADPATP)、非常に重要である。

農業用肥料などにも含有されている。

同素体

単体には白燐、紫燐、黒燐などの同素体が存在する。

このほか、混合物などとして黄燐、赤燐、紅燐などがある。

白燐・黄燐

基本情報

白燐は、正四面体構造。

  • 分子式: P4
  • 融点: 44.1℃(分解、融点以下)
  • 沸点: 280.5℃
  • 発火点: 34℃

発火点が低く、空気中で自然発火するため、水中で保管する。

白燐は有毒だが、他は殆どの同素体は無毒である。

「黄燐」は、白燐を赤燐の膜で覆ったもの。燐鉱石として得た時点では、不純物が混じり黄燐の状態となっている。

特徴

黄燐は黄白色半透明で蝋状の柔らかい固体であり、非水溶性。

猛毒(医薬用外毒物 危険物第三類)であり、殺鼠剤(さっそざい)に使用される。

人間の場合は0.11gで死ぬが、皮膚に付着するだけでも火傷や骨の壊疽を起こすので、決して直接触れてはならない。蒸気は喉や鼻の粘膜を腐食する。

自然発火して燃焼すると五酸化燐P4O10となるが、発火せずとも空気中で徐々に酸化されて十酸化四燐(P4+5O2→P4O10)を生じる。この際のエネルギーは熱ではなく光として放出される。これを燐光という。

赤燐

基本情報

紫燐を主成分とし、黄燐を混合したもの。

  • 融点: 589.5℃(43.1気圧)
  • 沸点: 430℃(36気圧)
  • 発火点: 260℃

赤燐の微細粉末が紅燐である。

特徴

赤燐は暗赤色の粉末であり、非水溶性。

無毒だが、危険物(危険物第二類)である。

黄燐と違って反応性が弱く、空気中では発火しない。マッチの先や花火の火薬として使われている。

安全性

危険性

  • 引火点: 20℃未満(黄燐)
  • 発火点: 30℃(黄燐)、260℃(赤燐)
  • 爆発限界: (該当資料なし)

有害性

  • 刺激
    • 腐食性: 眼、皮膚、気道に対し腐食性を示す。経口摂取で腐食性を示す。
    • 刺激性: (該当資料なし)
    • 感作性: (該当資料なし)
  • 毒性
    • 急性毒性: (該当資料なし)
    • 慢性毒性: (該当資料なし)
    • がん原性: (該当資料なし)
    • 変異原性: (該当資料なし)
    • 生殖毒性: (該当資料なし)
    • 催畸形性: (該当資料なし)
    • 神経毒性: (該当資料なし)

環境影響

  • 分解性: (該当資料なし)
  • 蓄積性: (該当資料なし)
  • 魚毒性: (該当資料なし)

1669(寛文9)年にドイツの錬金術師ヘニング・ブラント(Henning Brand)が発見したらしいが、彼は情報を公開しなかったため正確な事は分からない。

化学名Phosphorusは、黄燐が発光するため、ギリシャ語で「光を運ぶもの」を意味するφωσφόρος(phōsphóros)から付けられた。

生体内では様々な燐酸化合物が使われており、様々な機能を持っている。

DNAは、塩基が核酸によって結合された大分子である。人体においては体重の約1%が燐酸である。

また、農薬や化学兵器として有機燐化合物が広く使われている。

薬品類

生体内物質等や医薬品でよく知られるもの。

有機燐系殺虫剤等

よく使われている農薬類。

多くは、神経伝達に関する酵素アセチルコリンエステラーゼを阻害し、体中に過剰のアセチルコリンを蓄積させ毒性をもたらす。