地上と宇宙を物理的に結ぼうとする構想。宇宙エレベータやスカイフックなどとも称される。
極めて引っ張りに強い材質で作った帯状「軌道エレベータ」を、上は衛星、下は地上に固定する。これをひとたび作れば、ロケットを乱射せずとも、軌道エレベータを運搬装置がたどるだけで宇宙に物が運べる、というもの。運搬コストの大幅な削減が見込まれる。
また、上端は静止軌道よりも高い軌道に設置する必要がある。上下端の間に引張力が作用するので、上端を素直に静止軌道に設置した場合、対地角速度0では引張力と重力の合力に対し軌道を維持できないからである。どの程度上に設置すべきかは、最上部の質量とそこに作用する引張力とのバランスによる。
現在はまだSFの世界だけのものだが、実現に向ける議論でも、様々な疑問が噴出している。
まず使用する材質である。引っ張りに強いのみならず、宇宙の強烈な放射線やプラズマなどに耐えるものでなければ使うことができない。
これはカーボンナノチューブが本命視されているが、トリノ工科大学Nicola Pugnoの計算結果によると、強度が充分ではない、とのことである。カーボンナノチューブは蜂の巣格子状の二次元グラファイトからなる円筒だが、この所々に穴が開いている構造が問題となっているようだ。
カーボンナノチューブを使うとして、続く疑問はその製造である。地球の場合、静止軌道高度は地表から36,000kmである。
充分な幅、充分な厚さを持ったこの長さのカーボンナノチューブの帯を作り出すのは、並み大抵のことではないだろう。
そして実際の建造である。どうやって静止衛星と地上をそれぞれ固定するのであろうか。上から帯を垂らすといっても、そこは無風ではないのだから簡単には実現できそうもない。
無闇に引っ張っぱれば切れてしまいかねず、場合によっては静止衛星が大気圏に落下ということもありうる。
そして最後に維持方法である。そこは宇宙、宇宙線やスペースデブリの衝突は避けられず、定期的に新しいものに変えてゆかねばならないだろう。
また人工衛星の衝突、地表付近では飛行機等の衝突も考えられる。これをどう避けるかも重要な課題である。