電力線にディジタル信号を流してインターネットへの接続回線、あるいはLAN用の配線に使おうというもの。いわゆるラストワンマイルの一つ。
日本のエコーネット規格や、米国のHomePlug規格などがある。
交流電力を供給する電力線は、交流周波数として50Hzまたは60Hzの電流が流れている。
この周波数より遥かに高い周波数の信号を載せることが理論上可能であり、このようにして通信を実現するのが電力線搬送通信である。
この技術は新しいものではなく、かなり以前から実用化されている。歴史的経緯により、現在では使う周波数により大きく次の二種類に分けられる。
低速PLCはHomePlugなどとして実用化されているが、全く普及しなかった。但し、鉄道の車両間通信などとしては広く普及している。
高速PLCが話題になっている新技術であり、高周波を使うことで高速通信を行なう。
日本の場合、電波法上は、以前は10kHz〜450kHzまでに制限されていた。ここにその周波数範囲内で信号を混ぜると、HomePlug 1.0なら理論値で14Mbpsの速度が出せる。
現在は短波帯(1.7MHz〜30MHz)の周波数(HF帯)の搬送信号波を電力線に乗せるHF PLCが実用化され、理論値では最大200Mbps程度までが可能。
但し、屋外と通信するとなると、そもそも架空配線は元々短波帯の信号の伝送用線路としては設計されていないために搬送信号波の外部放射が問題となっていて、実用化への道は遠い。現在は、屋内のみでの使用という条件でのみ、解禁されている。
450kHz以下帯での実験では、九州電力と三菱電機が共同開発したモデムを使用し、信号伝送にOFDM、通称「マルチキャリア方式」と呼ばれる方法を採用した。
使用する波長域を細かく分割し、周波数の異なる複数の搬送波(キャリア)にデータを乗せて伝送するというもので、ノイズの多い波長域を避けてデータ伝送を行なえるという特徴がある。
使用する技術そのものはノイズに強く作られてはいるが、現実には10kHz〜450kHzはノイズが多い帯域で、100kHz以下は常に雑音が発生しているとあり、ネットワークには極めて不向きな帯域である。
また190kHz〜330kHzも冷蔵庫や掃除機、照明、エアコンなどのインバーター機器からのノイズがある。特に冷蔵庫などはネットワーク中だけ止めるという訳にもいかないので影響は大きい。
さらに、外と繋ぐ場合、電柱に設置される親機から最大5世帯に分配されるので、他の家からのノイズ混入も問題となった。
実際にノイズの問題を解消しても、今度は家電製品のインピーダンス(電気抵抗)の問題が出てくる。
信号はインピーダンスの低い方へと流れていくので、モデムより低インピーダンスのものが繋がっていれば、そこへ信号が吸い込まれてしまう。
そのため「インピーダンスアッパー」と呼ばれるアダプタを家電とアウトレットに挟んでおかねば、安定した通信は実現できない。これを使えばインピーダンスだけでなく、家電からのノイズもシャットアウトできる。