xDSLで使われる物理層の規定の一つ。従来の電話回線で使用している4kHz以上の帯域を利用してMbps級の通信を可能にするもの。ITU標準であり、北米仕様のCAPの対抗ともいえる。日本のADSLの殆どはDMTを用いている。
具体的には、電話回線用の銅線は1MHz程度までの高周波を流すことができる(距離が5.5km以内の場合)。しかし通常(アナログ)の電話は0〜4kHzまでしか使っていない。言い替えれば、4kHzから1MHz付近までの帯域が空いているので、ここを別の用途に利用することが可能ということである。これがDMTの基本的な発想である。
ADSLのG.992.2(G.Lite)では、0Hz〜552kHzまでの周波数帯域を利用し、これ128個に分割して使う。この分割されたそれぞれは "トーン" と呼ばれる。トーンの間隔は552÷128=4.3125kHzである。またG.992.1(G.dmt)では0Hz〜1104kHz(1.104MHz)を4.3125kHz間隔で256個に分割して使う。
最初の4kHzは通常(アナログ)の電話が使用する。この通常の電話のことをPOTS(Plain Old Telephone Service)といい、DMTでは、念のため最初の6トーン分(0〜25kHz)をPOTSに割り当てている。DMTによる信号がノイズとなって通常の電話に影響を与えないためである。そして7〜31トーン(25〜138kHz)までをアップリンク用に使い、31から128トーン(138〜550kHz)まで(G.992.2の場合)、または31から256トーン(138〜1104kHz)まで(G.992.1の場合)をダウンリンク用に使用している。
実際に利用するには、周波数によって信号を分離するスプリッタを利用すれば良いことになる。但し、回線がISDNである場合はDMTの信号帯域と重なってしまうため、ノイズの問題などが生じる。
複数の帯域に分割して伝送するため、特定の周波数にノイズがあっても他の帯域は利用できるという特徴があるが、処理が複雑になるため、回路の複雑化、延いては装置価格の向上や消費電力の増加などの問題がある。