W-SIM

読み:ウィルコム・シム
外語:W-SIM: WILLCOM SIM 英語
品詞:名詞

WILLCOMが開発した、PHSから無線通信部分を独立させたモジュール。

目次

携帯端末開発における、最も開発が困難な無線通信部分をモジュール化することで携帯端末開発のハードルを低くする狙いがある。

従来であれば、ハードウェア技術、ソフトウェア技術に加え、無線系技術を要した。W-SIMを使えば、この無線系技術が不要となり、新たな製品を作る上での敷居が低くなる。

更に、無線機を作るには通常、無線機として申請をする必要がある。しかしW-SIMは無線機能が完全に収められた製品であるため、これを使えば申請なども不要である。

W-SIM自体はPHSモジュールであり、従って理論上は単一ではなく複数のメーカーが製造できる。

現在までに確認された範囲内では、次のようなものがある。なお、各W-SIMのアンテナ部の色により、「○耳」の愛称で呼ばれている。

W-SIMは長くRX410INしか存在しなかったが、W-OAM対応にあわせRX420AL、次いでRX420INが登場した。

動作モード

W-SIMには、二つの動作モードがある。

  • アダプタモード (データ通信)
  • DTEモード (音声通話+データ通信)

アダプタモードの場合、ATコマンドにより制御可能で、モデムと同様に扱うことができる。

DTEモードでは、音声通話やデータ通信など様々な機能が使える。その代わり、アダプタモードよりも制御が複雑になる。

構造

W-SIMは、大きく次のような部位から成り立っている。

  • PHS無線機
  • LSI (CPUやCODEC ICなど)
  • メモリー (電話帳など用、約600Kバイト)
  • インターフェイス (端末と接続する18ピンコネクター)

通信部分はUART、更に音声と、状態表示用端子に別れている。

なお、W-SIMを接続する装置のことを「ジャケット」と呼ぶ。

コネクター

18ピンのコネクターは、次のようになっている。WをW-SIM、Jをジャケット(接続する装置)とする。

WILLCOMマークを上(表)として、右側が1番ピン、左側が18番ピンとなっている。

番号信号名方向機能
1TXDW←JUART送信シリアル・データ
2RXDW→JUART受信シリアル・データ
3RTSW←JUART送信データ・レディ (L:ON、H:OFF)
4CTSW→JUART送信レディ (L:ON、H:OFF)
5DTRW←JUART受信レディ (L:ON、H:OFF)
6DCDW→JUARTデータ・キャリア検出 (L:ON、H:OFF)
7RIW→JUARTリング・インジケーター (L:ON、H:OFF)
8INSW→JRSIM検出信号 (L:挿入、H:未挿入)
9Vcc 電源(3.3V〜5.5V)
10GND グラウンド
11PCMCLKW→JPCM CODECクロック
12PCMSYNCW→JPCM CODEC同期信号 (L:OFF、H:ON)
13PCMINW→JPCM CODECデータ入力
14PCMOUTW←JPCM CODECデータ出力
15IF_SELW←JL固定 (将来の拡張用)
16DISP1W→J状態表示1 (L:ON、H:OFF)
17DISP2W→J状態表示2 (L:ON、H:OFF)
18DISP3W→J状態表示3 (L:ON、H:OFF)

通信仕様

W-SIMは、基本的にはモデムとして動作する装置である。

信号レベルはTTLレベルであるが、UART16550相当、ITU-T V.24準拠のインターフェイスとして利用できる。

通信は非同期全二重で、スタートビット1、データ長8ビット、ストップビット1、通信速度は2400/4800/9600/19200/38400/57600/120000/240000bpsからの選択となっている。

音声仕様

PHSは、無線系ではADPCMが音声CODECに用いられている。

一方、W-SIMとジャケット間はPCM(μ-Law)が用いられている。

ADPCMとPCMの変換は、W-SIM内で行なわれている。

用途は多彩

W-SIM自体は、通信路を提供するのみで、その上位アプリケーションについては何も規定していない。何でも作ることができる。

これまでも、TTやnico.のように単機能なものから、W-ZERO3などのように超多機能なものまで、様々なものが作られた。

また、現在の仕様では最大で240kbpsという高速なDTE速度に対応している。

関連するリンク
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