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あかり
辞書:科学用語の基礎知識 天文学人工衛星編 (USATE)
読み:あかり
外語:AKARI
品詞:固有名詞

第21号科学衛星。JAXAが宇宙科学研究所(ISAS))だった頃から開発していた国産赤外線天文衛星。別名、IRIS(Infrared Imaging Surveyor)。

目次
情報
基本情報
仕様
その他仕様
沿革
特徴
名称

日本初の赤外線天文衛星であり、打ち上げ成功後「あかり」と命名された。

「あかり」の名は、遠い暗黒中に認められる光、という所から付けられたとされ、また「未来を照らすあかり」となる事も期待された。

事前の検討では名称案「あかつき」、「ひとみ」、「みらい」、「せいら」(星羅)、「ゆりかご」、「いにしえ」などがあった。

他には赤外線だからと「こたつ」などがあったが、命名委員会において、「報道で『赤外線天文衛星こたつを乗せたΜ-Vロケットは』などと言うと、本当にあのこたつを載せてあるように聞こえる」などの発言が飛び出し大爆笑となり、結果不採用となった。

計画

日本初の本格的な赤外線天文衛星で、米英蘭が打ち上げ1980年代に活躍した世界初の赤外線天文衛星IRASと同様の全天サーベイ観測を、より広波長域で、かつより高い検出能力で実行しようとする計画である。

100万個以上の天体のデータベースを作成する計画が立てられた。

装備

口径68.5cmの冷却型天体望遠鏡で、1.7μmの近赤外線から波長180μmの遠赤外線までをカバーする。

赤外線観測には装置自体の温度を下げることが重要であるので冷却型望遠鏡であり、極低温の液体ヘリウムを170L搭載して竏267℃に冷却する。

液体ヘリウムでの冷却はX線天文衛星すざくでも行なわれたが、すざくは打ち上げ後1ヶ月でヘリウムを全て喪失するトラブルに見舞われた。すざくでは、機体内部を還流するよう作られていた事が原因であったが、あかりはヘリウムを宇宙空間に直接排気する機構にされたため、同じトラブルは起こらない。

成果

要求寿命1年、目標寿命3年を超えての運用により、観測データに基づいて約130万天体に及ぶ赤外線天体カタログの作成に成功した。

撮影され蓄積されたデータは今後も解析が続けられ、更に多くの情報が得られる見込みである。

状況
打ち上げまで

当初は、2004(平成16)年初頭にJAXA宇宙科学研究本部(ISAS)のΜ-Vロケット6号機(Μ-V-6)で打ち上げ予定だったが延期された。

衛星は2005(平成17)年12月24日に相模原キャンパスでの総合試験を完了し、完成となった。その後衛星は鹿児島県肝属郡肝付町(旧・内之浦町)のJAXA内之浦宇宙空間観測所に運ばれ、27日よりフライトオペレーションを開始、29日にクリーンルームで電源が投入された。

2006(平成18)年1月11日に衛星の報道公開、13日より冷凍機を使って冷却しての本格的なフライトオペレーションが始まった。

2006(平成18)年2月21日に打ち上げ予定だったが悪天候のため翌日に延期された。

観測性能

2006(平成18)年2月22日に打ち上げられ、4月13日に望遠鏡の蓋を開けて観測機器への電源投入、機能・性能確認、望遠鏡の焦点調整、姿勢制御系の調整等が行なわれ、軌道上で期待通りの性能が発揮されていることが確認され、本観測が開始された。

観測成功は同年5月22日に発表され、試験観測で撮影された画像が公開された。

その画像の品質は大変優れており、従来宇宙の赤外線地図を提供してきた1983(昭和58)年の米・英・蘭の赤外線天文衛星IRASとは比較にならない高解像度、高感度の赤外線画像が提供可能であることを示した。

電源故障

設計寿命1年、目標寿命3年を大幅に突破して運用していたが、打ち上げから5年以上経った2011(平成23)年5月24日05:30(23日@895)頃に観測機器の電源がオフになった。これはバッテリーの蓄電機能が経年劣化により低下したためで、太陽電池パネルに光が当たらない時間帯は電源が落ちる状態だと発表された。

「あかり」は地球周回軌道を約100分で一周するが、そのうち20分程度は日陰に入るため、電源が落ちてしまうという。なお、8月頃には日陰の無い軌道に移動できる予定とする。

また、これ以外のトラブルはこの時点で報告されていない。

リンク
関連するリンク
あかり (ASTRO-F) 赤外線天文衛星
赤外線天文衛星「あかり」ASTRO-F - 科学衛星
用語の所属
宇宙望遠鏡
関連する用語
赤外線
ISAS
Μ-Vロケット

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