R800
読み:アーはっぴゃく
外語:R800: RISC 800

 当時アスキーに在籍していた岸岡和也により開発されたZ80ソフトウェア上位互換の8ビットマイクロプロセッサー(事実上の16ビットマイクロプロセッサー)。パッケージはQFP100。
目次

仕様

特徴

速度
 クロック周波数7.15909MHzで動作するが、これはZ80換算で28.63636MHzに相当する。平均でZ80の10倍(同クロック比で4倍)の速度が出る。
 これは、MSXturboRで正式に採用されたが、元々MSX専用に開発されたものではなく、作者である岸岡和也の趣味から生まれたと言われている。しかし軍事用のZ80であるZ80Hよりも高速駆動が可能な、隠れた銘プロセッサーであった。

命令
 ソフトウェアレベルでは、Z80に対する追加命令は掛け算命令のみである。
 その他にIXとIYを8ビットで使うZ80の未定義命令が正式にサポートされている。
 ちなみに、掛け算命令のオペコードZ280に合わされている。

DRAMコントローラー
 ハードウェア的には、DRAM専用バスの存在が最も特徴的といえる。
 他のプロセッサーならば、RAS/CAS出力程度が関の山で、アドレスの重畳まではしないものだが、R800はDRAM用アドレスバスを持ちDRAMを直接ドライブできる。
 しかも高速ページモード(FPM)に対応し、メモリーノーウェイトでアクセスできる。敢えて専用バスを用意したのは、MSX独特のメモリーマッパー機能とZ80互換モードのためである。
 R800のDRAMコントローラーはCPUとは独立して動作し、CPUコアが停止していてもDRAMコントロール機能は生きている。CPU停止時にはアドレスバスが通常の逆のCPU入力方向に向き、R800が単なるDRAMコントローラーとして機能するように設計されている。

現状
 このプロセッサー自体はアスキー三井物産セミコンダクターが出していた汎用CPUであり、MSX以外でも利用できた。しかし既に社名も変わり生産も終了、セカンドソースもないため、残念ながら現在では入手はできない。
 DRAMコントローラーが無く、バンクメモリーコントローラーが違うタイプでも良いなら、川崎マイクロエレクトロニクス(川崎製鉄から分社)のKC80KC160がコンセプト的に類似していたと思われるが、こちらも既に入手は不可能である。

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