アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬

読み:アンジオテンシントゥーじゅようたいきっこうやく
外語:ARB: Angiotension II Receptor Blocker 英語
品詞:名詞

高血圧症治療薬。

目次

降圧剤を作用機序別に分けた分類のうちの中の一つ。比較的新しい。

ACE阻害薬の副作用である咳は、このアンジオテンシンⅡ受容体ブロッカー(以下、ARB)では起きないとされる。

高血圧治療で処方する薬の最有力候補は、これを記している2011(平成23)年現在、ARBであることが多い。ARBが登場するまでは、主にCa拮抗薬が第一選択薬であった。

ARBやACE阻害薬、Ca拮抗薬以外の降圧剤として、利尿薬・α遮断薬・β遮断薬がある。すべてに得手不得手とクセがあるため、持病や他の加療状況等によっては、必ずしも新しい本剤が処方されるとは限らない。

今のところ、ARBは成分の異なる5種類のバリエーションがある。

薬効薬理

適応

主要な用途は次のとおり。

  • ARB全般
    • 高血圧症
  • ロサルタンのみ
    • 2型糖尿病性腎症
  • カンデサルタンのみ

薬効

  • 降圧作用
  • 臓器保護効果
  • 片頭痛発作予防効果
  • 抗動脈硬化作用

作用機序

血管内の「AⅡ受容体」に、昇圧物質(蛋白質)であるアンジオテンシンⅡ(AⅡ)が結合することを阻止する。

「AⅡ受容体」にはAT1受容体・AT2受容体の2種類があるが、ARBは血圧上昇の原因となる血管収縮を司るAT1受容体に作用する。AⅡをブロックすることは、血管の収縮を防ぐことになり、血圧の降下作用が現われる。

血管収縮作用を阻害するほか、血管壁肥厚作用や動脈硬化作用、さらには心筋肥大作用までも阻害するため、抗動脈硬化薬としての側面ももつ。

通常、服用していきなり血圧が降下することはなく、十分な効果が現われるまでは数日から二週間程度かかる。

種類と用法用量

ARBの種類により、用法用量は異なる。以下は、代表的なARBについて、高血圧症適応の場合の用法用量である。

成分(一般名)に、薬品例とそのメーカーを併記する。

  • イルベサルタン (アバプロ ‐ 大日本住友製薬)
    • 成人はイルベサルタンとして50mg〜100mgを1日1回、通常朝に経口服用する。増量する場合、最大用量を1日200mgまでとする。
  • オルメサルタン (オルメテック ‐ 第一三共)
    • 成人はオルメサルタンとして5mg〜20mgを1日1回、経口服用する。増量する場合、最大用量を1日40mgまでとする。
  • ロサルタン カリウム (ニューロタン ‐ MSD)
    • 成人はロサルタンとして25mg〜50mgを1日1回、経口服用する。増量する場合、最大用量を1日100mgまでとする。
  • バルサルタン (ディオバン ‐ ノバルティスファーマ)
    • 成人はディオバンとして40mg〜80mgを1日1回、経口服用する。増量する場合、最大用量を1日160mgまでとする。
  • カンデサルタン シレキセチル (ブロプレス ‐ 武田薬品工業)
    • 成人はカンデサルタンとして4mg〜8mgを1日1回、経口服用する。増量する場合、最大用量を1日12mgまでとする。
  • テルミサルタン (ミカルディス ‐ アステラス製薬)
    • 成人はカンデサルタンとして20mg〜40mgを1日1回、経口服用する。増量する場合、最大用量を1日80mgまでとする。

いずれのARBも、最低24時間は作用が持続するとされる。

禁忌

  • 妊婦
  • 妊娠の可能性がある女性
  • 肝障害のある患者

服用に注意が必要な場合

  • 血液透析を受けている患者
  • 利尿薬を服用中の患者
  • 高齢者

副作用

  • 血管浮腫 (頻度不明)
  • 高カリウム血症 (0.1%未満)
  • 間質性肺炎 (頻度不明)
  • 腎不全 (頻度不明)
  • 発疹 (頻度不明)
  • 咳 (頻度不明)
  • 肝炎(頻度不明)
  • めまい・立ちくらみ・失神(頻度不明)

留意点

まれに肝機能低下・腎機能低下・高カリウム血症を起こすことが報告されており、血液検査を定期的に受ける必要性がある。

万が一、血管浮腫や血圧が下がりすぎたりなどの重い副作用が起きた場合、できるだけ早く医療機関に連絡・受診し、医師や薬剤師の判断を仰ぐこと。

規制区分

処方せん医薬品

例としてディオバンは次の通り。

ディオバン錠40mg
ディオバン錠40mg

白色の片面割線入りのフィルムコート錠。ほぼ無味。

関連する用語
高血圧

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