小脳

読み:しょう・のう
外語:cerebellum 英語 , cerebel/o エスペラント
品詞:名詞

発生学的には後脳に属するの一つで、大脳よりも後ろにあり、知覚や運動機能などを司る。

目次

位置

大脳の後ろ部分(後頭葉)と、延髄脊髄の間に挟まれた位置にある。

小脳からみて前方には、下に延髄があり、小脳と橋の間には第四脳室と呼ばれる脳室がある。

神経細胞

重さは脳全体の10%程度であるが、しかしここに脳細胞の大部分、約1000億個以上が集まっている。

機能

運動の制御を司る。運動をするために、手足の動かし方、つまり各筋肉の筋収縮のタイミングなどを制御する機能を持っている。

無くてもすぐに生命に別状はないが、動物実験では運動機能が害され正常な歩行ができなくなり、筋力低下をもたらした。ここから、小脳は運動機能において重要な役割を果たしていることが判明している。

例えば、人間のように二本足でバランスよく歩くことができるのは小脳によって運動が調整されているためだが、もし小脳が機能しなければ歩くこともままならなくなり、車椅子での生活は避けられない。

あらゆる運動に支障が生じるので、次の述べるような、ちょっとしたことも出来なくなる。こういった小脳障害の代表的なものが脊髄小脳変性症である。

  • 物を取る、掴むという運動も、腕を目的の位置まで運び、適当な強さで指を動かしたり等の作業があるが、小脳が機能しなければ不可能となる
  • 喋る場合も筋肉を使う。舌も、また顎を動かすのも筋肉である。呂律が回らなくなるため、正常に喋ることが困難になる
  • 眼球が不随意に振動する「眼振」が生じる
  • 排尿排便障害が生じる。膀胱機能の低下による泌尿系の問題に加え、排便にも支障が生じる

構造

大脳と同様に、灰白質(小脳皮質)と白質(小脳髄質)を持つ。うち白質は、樹木のような分岐構造をもち、「小脳活樹」(Arbor vitae)と呼ばれている。

小脳は、解剖学(肉眼的な見地)、または発生系統的で、それぞれ三つの部位に分けられる。

解剖学(肉眼的な見地)では、小脳には9つの大きな溝があり、これを境として次の三つに分けられる。

  • 前葉 (第一裂より前方)
  • 後葉 (第一裂と後外側裂の間)
  • 片葉小節葉 (後外側裂より後方)

発生系統的には次の三つに分けられる。

  • 前庭小脳(古小脳) ‐ 体の平衡感覚や眼球運動の調節
  • 脊髄小脳(旧小脳) ‐ 体幹と四肢の運動の制御
  • 大脳小脳(新小脳) ‐ 運動に関する技術の記憶や、運動の計画

小脳皮質

大脳と同様、小脳も小脳皮質と呼ばれる灰白質により小脳核を覆っている。

小脳皮質は三層構造があり、表層から順に分子層、プルキンエ細胞層、顆粒層となる。

小脳脚

脳脚と呼ばれる束状神経線維で他の脳と接続され、情報の伝達を行なっている。

小脳は上中下の三種類の小脳脚により、中脳延髄と結ばれている。

上小脳脚
中脳赤核を経由して大脳皮質と接続されている経路。小脳における、主要な出力経路である。
中小脳脚
脳幹(きょう)を経由し大脳半球と接続されている経路。
下小脳脚
延髄と接続されている経路。
用語の所属

後脳
関連する用語
大脳皮質

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