第一宇宙速度

読み:だいいち・うちゅうそくど
外語:first astrnomical velocity 英語
品詞:名詞

宇宙速度のうち、地球から水平に打ち上げたとき、地表に近い円軌道に乗せることができる速度のこと。衛星速度、円軌道速度ともいう。

目次

地球の周りを円軌道で周回させる場合、打ち上げの速度は高度だけで決まる。

この時、高度0kmにおける周回速度のことを第一宇宙速度と呼び、これを理論上、地球を周回することができる最低速度とする。

現実には地球大気が存在し空気抵抗があるため高度0kmで周回させることは不可能なので、高度200km程度の円軌道(地球周回軌道)を想定し、この速度を地球周回軌道速度と呼び人工衛星を打ち上げるために最低限必要な速度と考える。

定義

v1:第一宇宙速度、G:万有引力定数、Me:地球の質量、m:人工衛星の質量、R:地球の半径、とする。

遠心力と引力の釣合いから、次のようになる。

m×v12/R(遠心力) = GMem/R2(引力)

これをv1について解くと、次のようになる。

v1=√(GMe/R)

これが、第一宇宙速度である。

証明

F:万有引力、G:万有引力定数、Me:地球の質量、m:人工衛星の質量、r:物体間の距離、とすると、万有引力Fは、次のようになる。

F=G×(Mem/r2) … (式1)

次に、ニュートンの運動方程式を考える。式は次の通り。

ma=F … (式2)

さて、簡単にするために人工衛星は地球の周りを円運動するものとする。その軌道高度は充分に低いと仮定し、仮に地球の半径Rと同じとする。

この時、人工衛星の速度をvとすると、上の運動方程式の加速度aは、次のようになる。

a=v2/r … (式3)

等速円運動の加速度は、このように半径と速度のみで定義できる。

式3を式2に代入すると、次のようになる。

m×(v2/r)=F … (式4)

更に式1を代入すると、次のようになる。

m×(v2/r)=G×(Mem/r2)

これをvについて解くと、次のようになる。

v=√(GMe/r)

つまり、この速度vは最低限であり、この速度を超えたとき、人工衛星は速度に応じた高度で円運動できる。

求められた式に、以下の値を代入して式を解くこととする。

  • 万有引力定数: G=6.67×10−11[N⋅m2/kg2]
  • 地球の質量: Me=5.97×1024[kg]
  • 地球の半径: R=6.36×106[m]

結果は、次の通りである。

v1=約7.91×103[m/s]

この値はつまり約7.91km/s(6.8km/cBeat)であるが、これを時速に直すと約28,486km/h(68Mm/hBeat)となる。

乗用車などの速度とは比較にならないが、ロケットは実際にこの程度の速度を実現させているわけである。

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