NOP
読み:ノップ
外語:NOP: No OPeration

 マイクロプロセッサーの命令の一つ。何も行なわない命令。
目次

概要
 どのようなマイクロプロセッサーにも、必ず実装されている命令である。
 Z80H8の00hのように専用に用意される場合のほか、x86の90hのようにXCHG AX, AXという実質なんの変化もない命令で代用する場合などがある。
 RISCでは、ゼロレジスターへの書き込みをNOPとする実装が多い。

特徴

用途
 アラインメントのためのパディングや、タイミング調整など、幾つかの目的のために使われる。
 CISCの場合、数クロックのCPU時間を消費するものが多く、タイミング調整に使われる。
 RISCの場合、プロセッサーによっては実行ステージに到達する前にパイプラインから削除され、CPU時間を消費しないこともあり、主としてパディング用として使われる。

主要MPUでの実装
 主な実装方法は次の通り。詳細があるものは後述。

x86(IA-32)
 Pentium以降では、メモリーアクセス付きのマルチバイトNOP命令が追加されている。
 レジスター間接の場合は、不正メモリーアクセスにならないようレジスターの種類または内容に配慮する必要があることは言うまでもない。
長さアセンブリバイト列
1NOP90H
266 NOP66 90H
3NOP DWORD ptr [EAX]0F 1F 00H
4NOP DWORD ptr [EAX + 00H]0F 1F 40 00H
5NOP DWORD ptr [EAX + EAX*1 + 00H]0F 1F 44 00 00H
666 NOP DWORD ptr [EAX + EAX*1 + 00H]66 0F 1F 44 00 00H
7NOP DWORD ptr [EAX + 00000000H]0F 1F 80 00 00 00 00H
8NOP DWORD ptr [EAX + EAX*1 + 00000000H]0F 1F 84 00 00 00 00 00H
966 NOP DWORD ptr [EAX + EAX*1 + 00000000H]66 0F 1F 84 00 00 00 00 00H
 AMD64/Intel64以降は、REXプリフィックスを使うと更に長くできる気がする。
 未確認だが、次のような符号が可能なのではないか?
1066 REX.W NOP DWORD ptr [RAX + RAX*1 + 00000000H]66 48 0F 1F 84 00 00 00 00 00H

ARM
 ARMの命令セットでは、従来はNOPを専用に用意していなかった。そのため、従来のアセンブラーではNOPを疑似命令として扱い、通常は「MOV r0, r0」、Thumb命令なら「MOV r8, r8」という、何もしない命令に置き換える。これは、XCHG AX, AXという何もしない命令をNOPに使うx86(IA-32)と同様。
 NOP命令が専用に用意されたのは、ARM命令はARMv6K以降、Thumb命令はARMv6T2以降である。
 ARM命令は、データ処理グループの一つとして用意された。
 16ビットThumb命令は、IT命令と同じオペコードだが、mask=='0000'かつfirstcond=='0000'の時にNOPであるとして定義された。
 32ビットThumb命令は、分岐命令と同じオペコードだが、その隙間に様々な命令が詰め込まれ、その一つがNOPであった。

再検索