long long
読み:ロング-ロング
外語:long long

 ISO/IEC 9899:1999(いわゆるC99、日本語規格はJIS X 3010:2003)で採用された、Cの変数型の一つ。long intよりも更にlongな整数を宣言する。
 C++ではISO/IEC 14882:2011(C++11)で仕様化されたが、それ以前から一部の実装(GCCやMicrosoft C++など)で対応していた。
目次

概要
 正式にはlong long intと書いて長い長いintを表わす。但しlongの後のintは省略可能であり、long longとだけ記述した場合はlong long intであるとして処理される。
 GCCでは、符号付きで、概ね64ビット以上の処理系依存のサイズを持つ。
 但し、言語仕様上はビット長は保証されておらず、次のように扱われる。
 charshortintlonglong long
 一般的な実装では、データ型モデルに応じて、次の長さとなることが多い。
 Microsoft C/C++では厳密に長さを保証した__int64という変数型を用意している。

特徴

32ビット環境でも利用可
 概ね64ビット長の変数であるが、32ビット環境でもコンパイラーが対応しているなら使用できる。
 64ビット環境ならレジスター1本で済むが32ビットではそうはいかないので、メモリーを介した演算として内部で処理されている。従って、演算の手間が多いことから処理速度は遅いと考えられる。
 実際に、long longに対応したGCCでの32ビット環境での出力を例に挙げる。
 long long num;
 num = 0x1122334455667788ll;
 上の、long long変数への代入は、下のように出力される。
 movl $1432778632, -16(%ebp)
 movl $287454020, -12(%ebp)
 次に、この変数のインクリメントを例とする。
 num++;
 上の、インクリメントは、下のように出力される。
 addl $1, -16(%ebp)
 adcl $0, -12(%ebp)
 このように、内部では32ビット×2で処理されていることが分かる。
 なお、clang/LLVMやVisual C++でも同様であるが、GCCと比較すると若干効率の悪いコードを出力しているようである。

サフィックス
 数値の型を表わすサフィックスは、次のものが使われる。

printf
 printfのフォーマット文字列は、標準的には%lldなどを用いる。
 但し、Microsoft Visual C++ 2003等では、%lld等では値を正常に表示できない。代わりに次のようにする。

符号
 long long intは、標準ではsignedである。
 unsigned long longとして使用すると、符号無しの変数となる。

マクロ定数
 対応する実装では、limits.hにおいて以下の3個のマクロ定数が定義される。これを利用すると、その環境での長さを得ることができる。
LLONG_MIN
long long型の最小値 (例えば0x8000000000000000)
LLONG_MAX
long long型の最大値 (例えば0x7fffffffffffffff)
ULLONG_MAX
unsigned long long型の最大値 (例えば0xffffffffffffffff)

関連
 Visual Studio 6.0(Microsoft Visual C++ 6.0)の時代だと、独自の__int64には対応するがlong longは未対応だった。

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