F-15

読み:エフ・じゅうご
外語:F-15
品詞:固有名詞

1975(昭和50)年から部隊配備が開始された、アメリカ空軍の主力戦闘機。登場から四半世紀以上が経ち、また後継となるF-22が登場しているが、現在も西側最強戦闘機との呼び声が高い。「イーグル」の愛称を持つ。

アメリカ空軍はF-86セイバー(1947(昭和22)年初飛行)以降長らく誇れる主力戦闘機という物を持たなかった。センチュリーシリーズは一芸一能で主力とはなり得ず、F-4は元来海軍の戦闘機であり、誇れるはずも無かった。そのため、空軍は1965(昭和40)年4月にF-86以来の本格的な制空戦闘機であり、F-4の後継機となる長距離戦術制空戦闘機FXの検討を開始、1966(昭和41)年3月にノースアメリカン・ロックウェル、ロッキード、ボーイングの3社に概念研究の契約を与えた。ところが、翌1967(昭和42)年のモスクワ航空ショーでMiG-23、MiG-25、Su-15といった旧ソ連の新戦闘機が姿を現わしたため、FXはそれらに対抗できる本格的な戦闘機とすることとなり、改めてマクドネル・ダグラスとジェネラル・ダイナミクスに概念研究の契約を与えた。

FXの提案要求書(RFP)は8社に出され、そのうちからマクドネル・ダグラス、ノースアメリカン・ロックウェル、フェアチャイルド・リパブリックの3社案が選定さた。最終的に1969(昭和44)年12月にマクドネル・ダグラスが開発担当会社に選定され、続いて1970(昭和45)年3月にエンジンにプラット&ホイットニーのF100ターボファンが選定された。海軍ではF-4に続いてF-14を空軍にも採用させ、単価を下げようと目論んだが、失敗に終わった。

試作初号機のYF-15は1972(昭和47)年6月に完成し、同年7月27日に初飛行した。そのスタイルからテスト開始前にも関わらず、既にマスコミをわかしはじめていた。続いて複座型機(TF-15A。生産機ではF-15B)も1973(昭和48)年7月7日に初飛行した。そして1974(昭和49)年11月14日から訓練部隊であるアメリカ空軍戦術航空団への引渡しが開始され、実戦部隊へも1975(昭和50)年1月9日から配備が始められた。

F-15は仮想敵機であるMiG-25と同様の主翼の肩翼配置や双垂直尾翼、矩形の二次元空気取り入れ口といった外観上の特徴を持っている。最高速度はそのMiG-25のマッハ2.7を超えるマッハ3.0が当初要求されたが、それを実現するためには視認性抜群の涙滴キャノピーを廃止せねばならず、MiG-25よりも劣るマッハ2.5で我慢せざるを得なかった。しかし、F-4に比べて後退角は小さく(前縁後退角45度)、薄翼な主翼(NASA64Aタイプ。翼厚比は付け根部で6.6%、翼端部で3%)にすることで、亜音速から遷音速域での高い機動性能を生み出し、格闘戦に強い機体となった。また、大推力のF100エンジンを2基積んだことによって、優れた高速度性能や加速(高度1万mでのマッハ0.9からの加速ならマッハ1.1まで10秒、マッハ1.2まで20秒、マッハ1.6にも1分かからない)・上昇性能(2万mまで2分3秒、3万mまで3分18秒)を持っている。さらに構造重量の26.6%にチタニウム合金を使用したことで、軽量に仕上げることに成功。そこからもたらされる低翼面荷重(約310kg/m^2)と1.4にもなる大推力重量比により、最大で9Gの高荷重に耐えることが出来、海面高度であれば毎秒22度という高い旋回率を得ることが出来るという、高い運動性能を獲得している。こうした十分なパワーと優れた機体構造のために、登場から25年を経ているにもかかわらず、F-15の運動性能はいまだに第一級の水準にあるのである。

飛行操縦システムには油圧機構と電気式の操縦増強システム(CAS)とを組み合わしている。このCASは後のフライ・バイ・ワイヤと同様、パイロットの操縦桿やラダーペダルへの操作を電気信号に変えて各動翼に伝えるのだが、フライ・バイ・ワイヤがその全てをコンピューターの電気信号だけで行なっているのに対し、舵面の操作は油圧機構であり、その分原始的である。

FCS面では機首にコヒーレント型のパルス・ドップラー・レーダーであるAN/APG-63火器管制レーダーを装備。戦闘機程度の小型目標であっても80nm(約150km)に達する遠距離捜索能力、多目標追跡能力、ルックダウン能力を実現している。その他、各種の操作も自動化されたことで、単座化が可能となっているのである。電子戦用の機材としてはAN/ALR-56レーダー警戒装置、AN/ALQ-128電子戦警戒装置などからなる戦術電子戦システム(TEWS)を搭載している。

搭載兵装としては固定武装のM61A1 20mmバルカン砲1挺(弾数945発)の他、機体下に4発のAIM-7スパローと主翼下に片側2発ずつ計4発のAIM-9サイドワインダーを装備できる。それ以外にも用途に応じて爆弾類の搭載も可能である。

F-15A/Bでは機内搭載可能燃料が少なく、これを改善するためにPEP2000計画が立てられ、それに基づいてF-15C/Dが造られた。F-15C/Dでは機内の空きスペースを利用して燃料タンクを追加、燃料搭載量を約910kg追加した。搭載燃料増加策はそれだけではなく、胴体側面にFASTパックと呼ばれるコンフォーマル燃料タンク(CFT)の装着も可能となり、このCFTには片側で2,737Lもの燃料を収めることが出来、これによってフェリーでは途中無給油での大西洋横断が可能となった。それ以外にこの重量増加に対応するために降着装置の強化も行なわれている。また後期型ではエンジンがF-100-PW-220に変更され、デジタル式のエンジン制御装置(DEEC)の装備が行なわれている。1979(昭和54)年2月から生産はこのF-15C/Dに移され、同年9月に沖縄県嘉手納基地に構える第18戦術戦闘航空団第67戦術戦闘飛行隊に初配備された。

また、1983(昭和58)年からは多段階改良計画(MSIP)が始まり、レーダーFCSは後期の生産型から、F-15Eと同じ地上のレーダー画像が得られる合成開口型のAN/APG-70に換装、機上コンピューターIBM CP-1075も処理速度が3倍に記憶容量が1MBytesになったC型に換装、プログラミング可能な兵装コントロールシステムAWG-20の導入によってAIM-120 AMRAAMの運用が可能となり、TEWSもレーダー警戒装置がAN/ALR-56Cに、ECMもAN/ALQ-135となった他、AN/ALE-45チャフ/フレア・ディスペンサーが追加されている。

F-15は極めて優れた戦闘機であったため、米空軍では全てのF-4をF-15に置き換えるつもりであったが、なにぶんにもF-15は大型で高性能すぎ、かかる費用も莫大であり、平時の限られた予算内で必要数を用意することは出来なかった。こうしてハイローミックスと言う思想が登場し、F-15を補うF-16が登場することとなった。ためにF-15の生産機数は当初計画を下回り、F-15A 355機、F-15B 57機、F-15C 420機、F-15D 61機の計893機で生産を完了している。F-15とF-16の価格の差はその装備国数にもあらわれており、F-15が日本、イスラエル、サウジアラビアの3ヶ国のみなのに対し、F-16は18ヶ国にも及んでいる。また、F-15Dをもとに戦闘爆撃機化したF-15Eはアメリカ空軍に227機製造された他、イスラエル、サウジアラビアに加えて韓国にも納入されることになっている。

実績としては、1979(昭和54)年にイスラエル空軍機がMiG-21を撃墜して以降、湾岸戦争での総撃墜機39機のうち36機を挙げたのをはじめ、101機を撃墜しているが、被撃墜は1機も無いという驚くべき戦果を挙げている。

全長                    19.43m
全高                    5.63m
全幅                    13.05m
翼面積                  56.5平方m
空虚重量                12,790kg(増槽無し, AIM-7F*4)
離陸重量                20,245kg
最大離陸重量            31,057kg
エンジン                P&W F100-PW-220
                        (ドライ 64.9kN, A/B 105.7kN) 2基
最高速度                マッハ2.5
海面上昇率              15,200m/min
実用上昇限度            19,500m
最小離陸滑走距離        274m
最小着陸滑走距離        1,067m
燃料容量                7,836L(機内)+2,737L(CFT)*2+2,309L(増槽)*3
航続距離                4,820km(CFT付)
武装                    M61A1 20mmバルカン砲 1挺(弾数 940発), 
                        AIM-7またはAIM-120*4, AIM-9*4, 
                        爆弾等10,750kg
乗員                    1名
初飛行                  1972年7月27日(F-15A)

1998(平成10)年5月末現在

  • アメリカ空軍:543機(F-15A*108, F-15B*26, F-15C*354, F-15D*55)
  • イスラエル空軍:66機以下(F-15A*35-, F-15B*5, F-15C*18-, F-15D*8-)
  • 航空自衛隊:213機(F-15J*163, F-15DJ*50)
  • サウジアラビア空軍:92機以下(F-15C*70-, F-15D*22-)