BFW(バイエルン航空機会社。後のメッサーシュミット社)が開発した、Fw190と共にナチスドイツ空軍を代表する戦闘機。主任設計者はウィリー・メッサーシュミット。メッサーシュミット社を代表する戦闘機であったので、「メッサーシュミット戦闘機」とも言われる。
また、本機シリーズの開発・生産中にBFW社は主任設計者のウィリー・メッサーシュミットが握り、メッサーシュミット社に変わり、割当の会社符号も "Bf" から "Me" に変更されているので、会社記号が変わるまでにリリースされていたモデルを "Bf109" と呼んだり、一括してそう呼んだりすることもある。日本ではよくどちらが正しいのかということが議論になるが、ドイツ人に言わせればどうでもいいことらしい。
まだドイツ空軍そのものが無い1934(昭和9)年2月、航空省技術局はハインケル、アラド、フォッケ・ウルフ、BFWの4社に対して次期新型戦闘機の競走試作を命じた。それらの機体は翌1935(昭和10)年3月の再軍備宣言の直後に相次いで完成した。1935(昭和10)年5月に初飛行したMe109の試作1号機であるMe109V1は全金属製のセミ・モノコック構造で、翼面荷重は極めて高かった。そのため、一撃離脱戦には向くが、格闘戦には全くの不向きな機体となった。これは時代の流れに沿うものであり、この事が以降10年間に渡ってMe109が第一線に立ち続けることが出来た要因と言える。しかし、本機には主脚が極めて脆弱で、離着陸時の事故率が高いという重大な欠点があった。競合の結果、アラドとフォッケ・ウルフの機体が最初に落ちた。ハインケルのHe112とBFWのMe109(当時はBf109)とが最後まで争った。この両機種は共に低翼単葉で、高速性能を追求し、480km/hを出せたが、エルンスト・ウーデットはヒトラーから命じられていた「必要な数を速やかに」というポイントから、大量生産に向いていたMe109に軍配をあげた。
正式採用されたMe109は直ちに空軍から量産発注がなされ、1937(昭和12)年初めには最初の生産型Me109B-1が部隊に配備されている。Me109B-1は折から勃発していたスペイン内戦に、それに先んじて投入されていた試作機Me109V3〜V5とともに投入され、実戦デビューを果たした。以降第二次世界大戦終了まで、ドイツ軍の全前線で活躍した。
序戦でこそ圧倒的勝利を上げたが、バトル・オブ・ブリテンではライバル格のスピットファイアにイギリス本土爆撃を阻まれ、その航続距離の短さも祟って、爆撃機擁護の任を全うすることはできなかった。ロシア戦線でもやはり序盤は圧勝だったものの、態勢を立て直し出したソ連空軍に押されるようになった。
しかし、いずれの戦線でもその生産のしやすさや、Fw190(A)の高空性能の低さなどから最後まで主力戦闘機として君臨し、D,E,F,G,Kなど全シリーズ合計して、ソ連のIl-2に次ぐ史上第二位となる3万573機も生産された。また外国への輸出も行なわれ、トルコではスピットファイアと同居し、スペインではエンジンをスピットファイアが搭載しているロールス・ロイス・マリーン系装備機が生まれ、イスラエル機では中東戦争でエジプト空軍のスピットファイアと戦火を交えている。
- Me109V:原型機(正式にはMe109V1のように製造(計画)順に番号が付与されている)。
- Me109A:原型1号機の当初の呼称。PR社製ケストレルVエンジン搭載。
- Me109B-0:生産前機。Jumo210Bエンジン(610馬力)搭載。
- Me109B-1:最初の生産型。Jumo210Dエンジン(645馬力)搭載。
- Me109B-2:Jumo210Eエンジン(640馬力)、可変ピッチプロペラ搭載。
- Me109C-1:Jumo210Gエンジン(640馬力)搭載。7.92mm機銃4挺(機首2挺+翼内2挺)。
- Me109C-2:7.92mm機銃6挺。
- Me109D-1:DB600Aaエンジン(960馬力)搭載。20mm機関砲1挺、7.92mm機銃2挺。
- Me109D-2:武装強化型。D-1型の主翼に7.92mm機銃2挺を追加。
- Me109D-3:武装強化型。D-1型の主翼に20mm機関砲2挺を追加。
- Me109E-1:DB601Aエンジン(1,100馬力)搭載。7.92mm機銃4挺。
- Me109E-1/B:戦闘爆撃機型。E-1型に爆弾搭載能力付与。
- Me109E-2:武装強化型。20mm機関砲2挺、7.92mm機銃2挺。
- Me109E-3:武装強化型。20mm機関砲1挺、7.92mm機銃4挺。
- Me109E-4:20mm機関砲1挺を撤去、20mm機関砲(MG-FF/M)2挺追加。風防形状変更。
- Me109E-4/N:DB601Nエンジン(1,200馬力)搭載モデル。
- Me109E-4/Trop:熱帯型。防砂フィルター等を装備。
- Me109E-5:偵察戦闘機型。武装は7.92mm機銃2挺。
- Me109E-6:偵察戦闘機型。エンジンをDB601Nにした以外はE-5に準じる。
- Me109E-7:長距離戦闘機型。300L落下増槽懸吊装置装備。
- Me109E-7/B:戦闘爆撃機型。爆弾懸吊装置装備。
- Me109E-7/N:DB601Nエンジン(1,200馬力)搭載モデル。
- Me109E-7/Trop:熱帯型。
- Me109E-7/U2:地上攻撃型。
- Me109E-7/Z:E-7型にGM-1増力装置を搭載したモデル。
- Me109E-8:長距離戦闘機型。DB601Eエンジン(1,300馬力)搭載。武装等はE-1型に準拠。落下増槽懸吊装置装備。
- Me109E-9:長距離偵察戦闘機型。E-8型から武装を減じている。
- Me109F-1:DB601Nエンジン搭載。20mm機関砲1挺(MG-FF/M)、7.92mm機銃2挺。
- Me109F-2:20mm機関砲の換わりに15mm機銃(MG151)1挺を搭載。
- Me109F-3:DB601Eエンジンを搭載した他はF-1型と同様の機体。
- Me109F-4:20mm機関砲を改良。初速・携行弾数増加。
- Me109F-4/Trop:熱帯型。
- Me109F-4/Z:F-4型にGM-1増力装置を搭載したモデル。
- Me109G-1:DB605A-1エンジン(1,475馬力)搭載。20mm機関砲1挺、7.92mm機銃2挺。
- Me109G-1/Trop:7.92mm機銃を15mm機銃に変更。機首部のふくらみが目立つ。
- Me109G-2:G-1型の非与圧型。武装等に変更無し。1,586機生産。
- Me109G-3:G-1型の無線装置を改良した機体。50機生産。
- Me109G-4:G-3型の非与圧型。1,242機生産。
- Me109G-5:水噴射装置付きDB605Dエンジン(1,800馬力)搭載。方向舵改設計。
- Me109G-6:DB605AM(1,475馬力)エンジン搭載。30mm機関砲1挺、20mm機関砲2挺、13mm機銃2挺。
- Me109G-8:偵察戦闘機型。906機生産。
- Me109G-10:水噴射装置付きDB605Gエンジン(2,000馬力)搭載。
- Me109G-12:タンデム式複座練習機型。100機程度生産。
- Me109G-14:20mm機関砲1挺、15mm機銃2挺の他に翼下にロケット弾搭載可能。
- Me109G-16:地上攻撃機型。
- Me109H-1:DB601Eエンジン搭載の高高度戦闘機型。操縦席与圧。
- Me109H-2:Jumo213エンジン搭載の高高度戦闘機型。計画のみ。
- Me109H-5:DB605エンジン搭載の高高度戦闘機型。計画のみ。
- Me109J:スペインでのライセンス生産計画案。実現せず。
- Me109K-0:G型改修の高高度戦闘機型生産前機。DB605Dエンジン搭載。
- Me109K-2:DB605ASCM/DCMエンジン(2,000馬力)搭載。30mm機関砲1挺、15mm機銃2挺。
- Me109K-4:K-2型に与圧操縦席を装備した機体。
- Me109K-6:K-2型に翼下装備の30mm機関砲(MK108)2挺を追加した機体。
- Me109K-14:DB605Lエンジン搭載。最高時速725km。
- Me109L:Jumo213Eエンジン搭載の速度向上型提案。計画のみ
- Me109S:吹き出しフラップ搭載の提案型。計画のみ
- Me109T-0:艦上運用装備を搭載した艦上機型生産前機。E型の改修型。
- Me109T-1:DB601Nエンジンを搭載した他はT-0型と同様の機体。
- Me109T-2:T-1型から甲板運用装備を撤去した改修型。
- Me109TL:翼下に補助用ターボジェットエンジン搭載の計画案。計画のみ。
- Me109Z-1:2機を結合した双子機。30mm機関砲6挺。
- Me109Z-2:戦闘爆撃機型。30mm機関砲2挺、爆弾1,000kg。
- Me109Z-3:Z-1型のエンジンをJumo213に変更する計画。
- Me109Z-4:Z-2型のエンジンをJumo213に変更する計画。