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R-17

読み:アーじゅうなな
外語:R-17
品詞:固有名詞


ソ連の短距離弾道ミサイル。米軍名称 SS-1C。NATOコード スカッドB。

ナチス・ドイツのA-4(V2)ロケットをベースとして最初に開発されたR-11(スカッドA)はCEP(半数必中界)が非常に悪かった。このため、その改良型として開発されたのがこのR-17である。R-17(スカッドB)は1962(昭和37)年に実戦配備を開始した。R-17はR-11と同様液体燃料を使用していたが、R-11がケロシン+硝酸だったのに対し、R-17はUDMH+IRFNAとなっている。また、全長も少し延長され、射程が180kmから300kmと倍近くに延びている。問題の命中精度も誘導装置の改良により、CEPは900mにまで向上している。弾頭はR-11が核弾頭のみだったのに対し、R-17(スカッドB)はそれ以外に高性能炸薬(HE)弾頭や化学弾頭も搭載できた。このように様々な弾頭を搭載することが出来たことが後々大きな問題となるのである。

また、R-17でも当初はR-11と同様JS-3重戦車のシャーシを搭載車輌に使用していたが、当のJS-3が1960年代に生産中止となったため、新たに搭載車輌を開発することが決定。1965(昭和40)年にMAZ-543P TEL(Transporter Erector Launcher。輸送車兼用起立式発射機)が導入され、これが以降の同ミサイルの標準車となった。

このR-17に対し、射程延長型が開発された。これがNATOコードで言うスカッドCである(ソ連側での呼び分けは不明)。スカッドCで取られた射程延長法は極めて簡単で、ペイロードを減らしてその分を燃料にまわしたのである。この手法は他国のスカッド改造ミサイルでも用いられ、北朝鮮火星6やイラクのアル・フセインがこれにあたる。

スカッドDは命中精度を飛躍的に向上させたタイプで、誘導方式がそれまでの慣性誘導から終末誘導がついたデジタルシーン照合付慣性となり、CEPは50mと大幅に向上した。しかし、そのため開発が遅れ1989(平成元)年になるまで実戦配備されなかった。そのため、スカッドDはスカッドB/Cの用に諸国に出回ることが無く、模倣品の開発にともされることはなく、それらのミサイルのCEPが低いままであり、日本を含めた西側先進諸国にとっての脅威が低レベルに留まっていることを考えると良かったのかもしれない。また、射程を900kmに延長した改良型(スカッドE?)が開発されているとの噂もあるが、詳細は不明である。

R-17の性能にソ連首脳は満足し、これを東側諸国や第三世界諸国に幅広く輸出した。このため非常に多くの国で使用され、実戦でも多く用いられている。R-17が初めて実戦に使われたのは1973(昭和48)年の第4次中東戦争である。この時、エジプト軍はイスラエル軍施設にスカッドBを発射したが1発も命中しなかった。1980年代にはイラン・イラク戦争でお互いが保有していたスカッド・ミサイルを打ち合っている。この際には両軍各型合わせて600発以上を発射したと言われている。アフガニスタン戦争では、反政府ゲリラに向けて2,000発以上が発射されている。1991(平成3)年の湾岸戦争ではイラクがR-17の改造型であるアル・フセインをイスラエルめがけて発射している。それ以外にも1994(平成6)年のイエメン内戦でもR-17は使用されたという。

R-17は各型合わせてソ連では約7,000基が製造されたと見られている。そして、数十ヶ国に輸出され、中国、エジプト、イラン、イラク、北朝鮮などでは改造型が開発されている。その中でも北朝鮮は開発に力を注いでおり、自国で製造したスカッド、あるいは自国で開発した派生ミサイルをイランやパキスタン、イエメンなどに輸出している。現在弾道ミサイルの拡散が問題となっている。弾道ミサイルを保有している国は42ヶ国あるが、その大半がR-17ないしその派生品のみを保有する国である。実際よく紙面上に「スカッド」の名は出てくるが、これはその裏付けとなろう。

コラム(R-17ミサイルの各国の改造・派生ミサイル)
エジプト…プロジェクトT
イラク…アル・フセイン、アル・アッバス
イラン…シャハブ1、2
北朝鮮…火星
コラム(R-17の主なスペック)
   開 発 国    ソ連
    設  計     マケイエフ設計局
   配 備 国    ロシア、アゼルバイジャン、アフガニスタン、アルジェ
               リア、イエメン、イラク、イラン、エジプト、カザフス
               タン、北朝鮮、グルジア、シリア、スロバキア、セルビ
               ア、チェコ、ハンガリー、ブルガリア、ベラルーシ、
               ポーランド、リビア、ルーマニア
    種  別     短距離弾道ミサイル
プラットホーム TEL(JS-3重戦車シャーシ、MAZ 543P)
    全  長     11.25m
    直  径     0.88m
  発 射 重 量  5,900kg(スカッドB)、6,400kg(スカッドC)、
               6,500kg(スカッドD)
  命 中 精 度  CEP 450m(スカッドB)、700m(スカッドC)、
               50m(スカッドD)
  誘 導 方 式  慣性(スカッドB,C),
               デジタルシーン照合付慣性(スカッドD)
  推 進 方 式  1段式液体(UDMH+IRFNA)
    射  程     300km(スカッドB,D)、550km(スカッドC)
    弾  頭     単弾頭985kg(HE、核、化学)(スカッドB,D)、
               単弾頭600kg(HE、核、化学)(スカッドC)