Mozilla Firefox 9
読み:モジラ-ファイアーフォックス-きゅう
外語:Mozilla Firefox 9

 Mozilla Foundationが開発したWebブラウザーMozilla Firefoxのバージョン9。
目次

概要
 Mozilla Firefox 8の後継として2011(平成23)年12月20日に公開されたWebブラウザーである。
 JavaScriptエンジンに型推論(Type Inference)と呼ばれる技術を導入することで、Firefox 8に比べて最大で45%、Mozilla Firefox 3.6に比べて最大10倍に高速化された。
 レンダリングエンジンであるGeckoはバージョン9.0である。

特徴

沿革

ユーザー向け変更点
JavaScriptエンジンの高速化
 元々、JavaScriptはJavaやCと違い、変数の型が動的であるため実行速度が遅くなる。
 Firefox 9では、コードを解析して変数型を推測し、型固有のコードを生成する型推論(Type Inference)技術で、JavaScriptの実行速度が向上する。公称、Firefox 8に比べて最大で45%、Firefox 3.6に比べて最大10倍に高速化する。
 これに伴い、Firefox 3.5でベータ版、Firefox 3.6以降から本格的に使われるようになったJITエンジンのTraceMonkeyはその役割を終えた。Firefox 9ではブラウザのユーザーインターフェイスや拡張機能のJavaScript実行時にのみ使われ、そしてFirefox 10ではTraceMonkeyは削除される。
 Firefox 9では、SpiderMonkeyでのコード解析と実行時の変数監視から得られた変数の型推論情報をJ〓gerMonkeyのJITコンパイルで活用し、最適化されたコードを生成するのが改良の柱。この技術を応用して、将来的に搭載予定の次世代JITコンパイラー「IonMonkey」で型情報の活用範囲を広げ、更にパフォーマンスが改善されるとしている。
HTML5動画再生の改善
 ウィンドウサイズよりも小さなビデオファイルを読み込んだ場合、従来は白背景の左上でビデオが再生されていた。
 Firefox 9からは、灰色背景のウィンドウの中央で再生される。

Web開発者向け変更点
Eclipse Orionの統合
 Eclipseプロジェクトが開発しているJavaScriptベースのエディタOrionを、Firefox開発者ツール「スクラッチパッド」に統合した。
chuncked XMLHttpRequest
 JavaScriptオブジェクトXMLHttpRequestでchancked dataに対応。大型のデータでAjaxアクセスする場合でも、その全ての受信が完了するまで待たず、受信した部分から随時処理することで、応答性を高めることが可能。
Media Fragment URI対応
 従来、HTML5の<video>や<audio>において、動画や音響のファイルを指定することはできたが、そのファイル内の一部分のみを指定するということはできなかった。
 Firefox 9では、Media Fragment URIのTemporal Dimensionに対応し、10秒目から20秒目、といったファイル内の一部分のみを参照することが可能となる。
Do Not TrackのJavaScriptインターフェイス
 Firefox 4から、ユーザー追跡の拒否を示す「Do Not Track」ヘッダーの送信に対応している。
 これに対し、WebサーバーはDNT HTTPヘッダーを確認することで処理を変更できるが、WebアプリケーションのJavaScriptが参照する手段がなく、設定に応じて処理を変えることができなかった。
 Firefox 9からは、navigator.doNotTrackプロパティの値が「yes」かどうかを確認することで処理の変更が可能となる。

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