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マストドン

辞書:電算用語の基礎知識 サーバー編 (PNSVR)
読み:ますとどん
外語:Mastodon 英語
品詞:商品名
2017/09/06 作成
2017/10/20 更新

オープンソースによる、Twitterに似たインスタントメッセンジャー兼ミニブログサービスを提供する実装の一つで、ソーシャルネットワークを実現する手段の一つ。

用途

Twitterの代わり」を、オープンソースかつ分散型として実現させようとする実装である。

プロトコルは、W3C勧告のオープン標準、OStatusActivityPubを採用している。

由来

これまで、ミニブログサービスはTwitterにほぼ一極集中していた。

それでもあまり困ることはなかったが、ただ、Twitter社の恣意的な運用、大反対を押し切ってのシステム改悪(★→♥など)の強行、内容を確認もせずに機械的にアカウントの凍結をするなど、運営とユーザーとの乖離は日に日に激しさを増していった。ユーザーはFacebookではない世界を求めているにもかかわらず、運営はFacebookになりたがっていたからである。なぜなら運営はTwitter「なんか」は使っておらず、日々Facebookを使っているからである。

結果としてTwitterは大赤字のまま改善の見込みもないような状況になると、泥船Twitterからの脱出先となる「代わり」も渇望されるようになってきた。

またこれまではTwitter社の一存によって投稿は容易に削除、改変、監視などの検閲を受けていた。これは代わりに別の会社が同様のサービスを始めたとしても状況は変わらない(検閲は受け続ける)ということを意味している。これに対抗するには、利用者全員がサーバーを持ち、互いを連携すれば良い。しかし現在は、IPv4アドレスの枯渇、NATなどの技術的事情や、セキュリティ、および日本の法規制などにより、サーバーを設置することは難易度が高い。つまり、サーバー運用にはコストが掛かり、かつ高度なスキルが必要になる。

それでも、出来る人から始めれば良いということでマストドンが開発された。

トゥート

Twitterの場合は「ツイート」(ぶつやき)であるが、マストドンの場合は「トゥート」(吠える)で投稿する。

これは、Twitterのマスコットが鳥であるのに対して、象やマンモスに似た古代生物マストドンなためと思われる。

インスタンス

マストドンが実際に動作するWebサーバーを「インスタンス」という。

インスタンス間を相互に通信プロトコルで繋ぐことで、異なるインスタンス間での通信を可能としている。

つまり、単にトゥートするだけではそのインスタンスにしか流れないが、リモートフォローなど特定の条件を満たす場合は他のインスタンスにもトゥートが転送される。

こうして、そのインスタンス内でのトゥートは「ローカルライムライン」、リモートフォローなどによって他のインスタンスから受信したトゥートも込みのトゥートは「連合タイムライン」として表示されている。

自身が所属するインスタンスが何ヶ所のインスタンスと相互に繋がっているかは、「このインスタンスについて」(サーバー情報のページ)に表示されている。

公開範囲

マストドンにもTwitterと同様にダイレクトメッセージ機能があり、他にもトゥートごとに細かく設定ができるようになっている。

種類機能範囲
連合TLローカルTL非フォロワーフォロワー指定アカ
公開誰でも閲覧可能
未収載誰でも閲覧可能、TLには流れない××
非公開フォロワーのみ閲覧可能×××
ダイレクト指定ユーザーのみ閲覧可能××××

これを著している時点では、ローカルTLに限定したトゥートをする機能は公式には実装されていない(改造されたインスタンスでは可能なことがある)。

返信

ある人の「吠え」に対して、「吠え」で返信することも出来る。

返信する元の「吠え」を指定して操作するか、相手のプロフィールからも送信できる。画面上には、原則として元発言者のユーザー名が、自インスタンス内であれば「@username」の形式で、他インスタンス内であれば「@username@servername」の形式で表示される。

技術

バージョン1.5までのプロトコルOStatus、バージョン1.6以降のプロトコルActivityPubはともにW3C勧告であり、仕様は公開されている。また文字の符号化にUTF-8を用いているため言語の縛りもない。

投稿は各インスタンスごとのWebサイトからの他に、公開されたAPIを用いた様々なアプリケーションから可能となっている。

APIは、Twitterと同様にRESTが採用されており、OAuth 2.0で認証をする。

オープンソース

オープンソースなので改造も可能である。各インスタンスごとに、独自の色を出すことができる。

そういったインスタンスを利用するかどうかは、その管理人の信頼性を確認する必要がある。

改造にも様々あるが、例えばLaTeXで数式を書けるmathtod.onlineのようなインスタンスがある。

  • 2017(平成29)年4月: 日本だけでいきなり流行
  • 2017(平成29)年10月: 初のメジャーバージョンアップ(2.0公開)

更新履歴はGithubのtootsuite/mastodon/releasesにある。

バグ修正以外の仕様変更点などを記載。

  • 2.0 ‐ ActivityPubプロトコルへの全面移行
  • 1.6 ‐ OStatusプロトコルからActivityPubプロトコルへの移行
  • 1.5 ‐ 管理機能の改良
  • 1.4 ‐ 普及期の改良版
    • 1.4.7 (2017(平成29)年7月1日)
    • 1.4.6 (2017(平成29)年6月24日)
    • 1.4.5 (2017(平成29)年6月23日) ‐ 1.4.4の修正によるパフォーマンス低下を修正
    • 1.4.4 (2017(平成29)年6月21日) ‐ トゥートの回転の禁止
    • 1.4.3 (2017(平成29)年6月15日)
    • 1.4.2 (2017(平成29)年6月15日)
    • 1.4.1 (2017(平成29)年5月28日) ‐ タイムラインの言語フィルター、プロフィールにメディアライブラリーを追加
  • 1.3
    • 1.3.3 (2017(平成29)年5月6日)
    • 1.3.2 (2017(平成29)年4月29日)
    • 1.3.1 (2017(平成29)年4月27日)
    • 1.3 (2017(平成29)年4月27日) ‐ IDN URL対応、GNU Socialとの互換性向上、UTCから現地時間表示への変更
  • 1.2
    • 1.2.2 (2017(平成29)年4月19日) ‐ ユーザー数は、メール認証済みのアカウントのみカウントし表示するように
    • 1.2.1 (2017(平成29)年4月19日)
    • 1.2 (2017(平成29)年4月16日)
  • 1.1
  • トゥート ‐ 投稿(吠える、吠え声の意) (Twitterでいうツイートに相当)
  • ブースト ‐ 他者の投稿を再投稿する機能 (Twitterでいうリツイートに相当)
  • ホーム ‐ 自分のタイムライン (Twitterでいうタイムラインに相当)
  • ローカルタイムライン ‐ そのインスタンスの全ての単独投稿(リプライは除外)が流れるもの。LTLとも略される
  • 連合タイムライン ‐ LTLに加え、リモートフォローによって得た外部インスタンスのトゥートを加えた投稿が流れるもの

主なインスタンス

インスタンスの一覧をまとめているWebサイトは幾つかあるが、日本のインスタンスはcoron.techなどが情報が多い。

インスタンスは膨大な数あるため信頼できるものを任意に選択すればよいが、代表的な日本のインスタンスは次の通り(順不同)。

日本

マストドンは、日本でしか流行っていない。

日本だけでも膨大な数のインスタンスと会員数があるが、これだけで本家(mastodon.social)の規模を軽く超えてしまっていることからも分かるように、日本以外ではそんなに流行っていないのである。

分散SNSの今後

分散SNSには賛否両論がある。

Twitter独占を嫌う層は一定数あるが、「人のいないSNS」ほど無価値なものもない。分散化は一社が独占しようとする力に対して非常に強いが、しかし分散化によって人は必然的に少なくなる。そういったSNSを作るメリットを疑問視する声がある。

ただ現状、特に日本では、新しい物好きと、エンジニアを中心として、マストドンは使われ始めている。今後、一定の勢力を有するのか、静かに消えていくのかは、今はまだ分からない。

プロトコル

マストドンは、バージョン1.5まではOStatusというプロトコルを用いている。これは、かつてのStatusNet、現在のGNU Socialが提唱したマイクロブログの更新通知のためのプロトコルである。

GNU Socialの前身であるStatusNetは2010(平成22)年より開発が始まったが、主流にはならなかった。マストドンはその主流になれなかった実装が用いたものと同じプロトコルを用いていたことになる。

マストドン1.6.0rc1からは、OStatusの後継である新しいプロトコルActivityPubが採用された。OStatusはバージョン2.0で廃止された。

Ruby on Railsという欠点

利用面での問題点は、StatusNetがPHP、マストドンはRuby on Railsで実装されており、このため運用にはWebサーバーの運用と同等レベル以上のスキルが必要となるため敷居が高い点である。

そうなると、誰かが運用しているサーバーを使わせて貰う、というTwitterと同様の手順に至ることになる。ここでの問題点は、そのサーバーの運用者が不正を働こうとすれば簡単にできるということである。例えば、その管理者はメールアドレスとパスワードのペアを大量に入手し、それで不正を働くことも簡単ということである。従って、身元不明サーバーのマストドンは絶対に使ってはならない。

分散型SNSという欠点

マストドンは分散型SNSであることが利点であり特徴だが、それ自体が欠点でもある。

分散型SNSは、中央集権がない代わりに、そのアカウントが本人である保証をする機関を作れない。つまり「なりすまし」が容易である。

技術的にこれが解決できるのかどうかは未知数である。

改善の方法

問題点を技術的に改善するのは非常に難しい。

遡ることマストドンから約10年、2003(平成15)年頃には既に、Winnyのネットワークを使ったWinnyBBSなどが試みられていた。データはP2Pメッシュネットワークに点在しているため力による検閲には強いという利点はあったが、弱点も多々あった。

Winnyに限らず、当時のP2Pメッシュネットワーク実装はどれも非公開のプロトコルとソフトウェア実装となっており、自由度が低く、このため普及もしなかったのである。

マストドンはオープンソースでありプロトコルも公開されているため、実装自体は第三者による改良も期待はできるものの、各インスタンス(ノード)の信頼性を担保することまではできず、持つ欠点はP2Pメッシュネットワーク実装の時代とあまり変わっていない。

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