Apple Computerが2000(平成12)年1月5日に発表し、2001(平成13)年3月24日に発売された次世代Mac OS。UNIXベースのコア "Darwin" を採用し、プリエンプティブマルチタスクとメモリー保護の機能を持ち、従来のMacintoshアプリケーションとの互換性も確保し、クリアで透き通ったデザインの新しいGUIを備える。開発コードネームは "Cyan" または "Siam"。
MachマイクロカーネルとFreeBSDを元にしたUNIXベースの新型カーネル "Darwin" をコアにし、かねてよりMac OSの念願だったメモリー保護とプリエンティブマルチタスキング、TCP/IPネットワークを実現した。従来のMacintosh用アプリは互換API "Classic"(Blue Box)上でほぼ全部がそのまま動作するが、OSの機能をフル活用するにはClassicに似た新APIである "Carbon" を利用することになる。Classic APIで動作するアプリはメモリーの保護はされず、クラッシュ時には従来のMac OSと同様、他のClassicアプリごと異常終了する可能性があるが、このような場合でもCarbonアプリは保護されるようになっている。また容易にOSの機能を活用できるNextの技術を利用した新型API "Cocoa" (Yellow Box) も備えている。
画面描画技術として、Adobeの開発したPDFに準拠した2D用のエンジンである "Quartz" を備え、PDFで記述されたテクスト/グラフィック複合画像のWYSIWYG表示、画像の合成、透明度の設定、アンチエイリアシングなどの機能をシステムレベルで持つ他、3D描画用の "OpenGL" とマルチメディア用の "QuickTime" がDarwin上にシームレスに統合して搭載されている。
新しいユーザーインターフェイスとして "AQUA" を搭載し、光り輝く半透明のボタンやスライダーなどの部品を備え、ダイアログやメニューも半透明で裏のウインドウが透けて見える。LAN/インターネットと統合されWebブラウザー風の表示方法もサポートする新型の "Finder" や、マルチウィンドウでのユーザーの作業を管理・整理し、シングルウィンドウモードなどを提供する "Dock" などが装備されている。なお、AQUAのインターフェイスを利用するにはCarbonまたはCocoaのAPIでソフトが組まれている必要があり、Classic APIでは従来のMac OSと同じ概観となる。
このように、殆ど別物と化したMac OSであるが、譬えるならMac OS 9までとの違いはWindows 3.1からWindows 95への変化とほぼ同じ内容の改良が施されていると言える。
1994(平成6)年からのCoplandや 1997(平成9)年からのRhapsodyなど、"次世代Mac OS" の開発は結果的に当初予定から大幅に遅れることとなったが、これがApple Computerにとり致命傷となったかと言うとそうでもなく、かつての "OSで成功しない限りAppleの未来は無い" といった見方から "iMacをはじめとするハードの魅力でAppleは普及率を拡大できる" という状況に変化してしまっており、今回のMac OS Xもハードや操作性を含むデザイン中心の流れの一環として位置付けられるような格好となったようだ。
従来、Mac OS Xとして開発されていたRhapsodyとこのMac OS Xは別物である。ただしRhapsodyのための技術のいくつかは採用されている。