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平成の詔勅 (平成28年)
辞書:文化用語の基礎知識 民俗学東洋・神道政治編 (LFOLKESP)
読み:へいせいのしょうちょく
外語:the video message in 2016
品詞:固有名詞

2016(平成28)年8月8日15:00(@291)、天皇陛下が約11分間の映像として臣民に発布されたお言葉とその映像の通称。

目次
概要

宮内庁は「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」として発表している。

NHKが、天皇陛下が「生前退位」を希望している、などという捏造報道をしたため、心をお痛めになられた天皇陛下が、直接、映像として現在の気持ちを公開するに至った。

映像としてお気持ちを渙発されたのは、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震のさいの「平成の詔勅 (平成23年)」以来、約5年半ぶりである。

内容

戦後70年という大きな節目を過ぎ、2年後には、平成30年を迎えます。

私も80を越え、体力の面などから様々な制約を覚えることもあり、ここ数年、天皇としての自らの歩みを振り返るとともに、この先の自分の在り方や務めにつき、思いを致すようになりました。

本日は、社会の高齢化が進む中、天皇もまた高齢となった場合、どのような在り方が望ましいか、天皇という立場上、現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら、私が個人として、これまでに考えて来たことを話したいと思います。

即位以来、私は国事行為を行うと共に、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来ました。伝統の継承者として、これを守り続ける責任に深く思いを致し、更に日々新たになる日本と世界の中にあって、日本の皇室が、いかに伝統を現代に生かし、いきいきとして社会に内在し、人々の期待に応えていくかを考えつつ、今日に至っています。

そのような中、何年か前のことになりますが、2度の外科手術を受け、加えて高齢による体力の低下を覚えるようになった頃から、これから先、従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合、どのように身を処していくことが、国にとり、国民にとり、また、私のあとを歩む皇族にとり良いことであるかにつき、考えるようになりました。既に80を越え、幸いに健康であるとは申せ、次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています。

私が天皇の位についてから、ほぼ28年、この間(かん)私は、我が国における多くの喜びの時、また悲しみの時を、人々と共に過ごして来ました。私はこれまで天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが、同時に事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました。天皇が象徴であると共に、国民統合の象徴としての役割を果たすためには、天皇が国民に、天皇という象徴の立場への理解を求めると共に、天皇もまた、自らのありように深く心し、国民に対する理解を深め、常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました。こうした意味において、日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として、大切なものと感じて来ました。皇太子の時代も含め、これまで私が皇后と共に行(おこな)って来たほぼ全国に及ぶ旅は、国内のどこにおいても、その地域を愛し、その共同体を地道に支える市井(しせい)の人々のあることを私に認識させ、私がこの認識をもって、天皇として大切な、国民を思い、国民のために祈るという務めを、人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは、幸せなことでした。

天皇の高齢化に伴う対処の仕方が、国事行為や、その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには、無理があろうと思われます。また、天皇が未成年であったり、重病などによりその機能を果たし得なくなった場合には、天皇の行為を代行する摂政を置くことも考えられます。しかし、この場合も、天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま、生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません。

天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、これまでにも見られたように、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。更にこれまでの皇室のしきたりとして、天皇の終焉に当たっては、重い殯(もがり)の行事が連日ほぼ2ヶ月にわたって続き、その後喪儀(そうぎ)に関連する行事が、1年間続きます。その様々な行事と、新時代に関わる諸行事が同時に進行することから、行事に関わる人々、とりわけ残される家族は、非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが、胸に去来することもあります。

始めにも述べましたように、憲法の下(もと)、天皇は国政に関する権能を有しません。そうした中で、このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ、これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました。

国民の理解を得られることを、切に願っています。

特徴
NHK報道のうそ

約11分間にわたり、これまで象徴天皇として務めてきて感じてきたこと、高齢による体の衰えについて、そして万が一があったときにも自粛するのは良くないということ(昭和天皇の崩御前後の萎縮ムードの再来は望んでいないことの表明)などをお話になられた。

なお、陛下は譲位については何一つ述べておられない。また、NHKが再三用いた「生前退位」などという日本語はなく、正しくは「譲位」である。これもNHKによる造語であり、捏造の一つである。

このような当たり前の内容を、陛下がわざわざ述べねばならなくなったというのは、異常な事態である。

天皇は国政に関する権能を有さない

詔勅の中で陛下自ら述べておられるが、憲法上、天皇が国政に意見を言うことは許されていない。

そこで、国政への意見ではない「おことば」という形式を取りながら、実質的には国政に意見するという、かなりの離れ業を成し遂げた。

のみならず、憲法上は天皇の地位は国民の総意に基づいて決められるが、この詔勅は天皇の地位を天皇陛下自らがお決めになり、それを国民に伝えた。これはある意味、親政の宣言とも取ることが出来る。

この文章自体は恐らくは陛下の意向を汲みながら宮内庁の官僚が書いたもので、陛下の直接の著ではないと思われるが、すれすれの線を行ったり来たりする非常にきわどい内容であり、ある種の文学であり、ある意味で傑作である。

自粛ムードはよくない

約11分の映像であるが、陛下が言いたいことは、「自粛ムードはよくない」ということであった。

昭和天皇は、年末に体調を崩し、年始にお隠れになられた。このため年末年始には自粛ムードにより、クリスマスからお正月までの華やかなイベントはことごとく中止となり、社会が停滞した。

天皇陛下はそれを直に見ておられるが、自身の時には同様のことがあってほしくないと考えておられ、いかにしてこの自粛ムードの再来を防ぐかを考えておられることが、この詔勅により分かった。

詔勅では、天皇として崩御すると大喪は一年続き自粛が広がり社会に大きな影響を与えるが、太上天皇となり薨去となれば薄葬で済むため影響も少ない、という趣旨の、かなり踏み込んだ発言もされておられる。崩御と薨去の差違がいかに大きいかまでを論じている。

また摂政を置く方法でも、天皇は天皇のままであるので解決ではないと釘を打っていることも特徴的である。

その上で、これからも皇室が国民と共にあり続けられるような方法を国民に考えて欲しいという趣旨の発言をされている。

背後の皿

映像では、陛下の右後ろに、飾り皿が置かれている。

一説によれば、柿釉と縄文象嵌の技法などから、益子焼の人間国宝、故・島岡達三の作品ではないかとされている。

Windows Media Player

宮内庁で公開された詔勅の映像は、Windows Media Player形式だった。あまりの古さにTwitterなどで話題となった。

帯域として1Mbps用と300kbps用が用意されていたが、うち1Mbps用の映像の仕様は次の通りであった。

ITU-T H.264(MPEG-4 AVC)などが主流の中でWMV、しかも画面も640×360と非常に小さい。宮内庁には古いパソコンしかないのかもしれない。

リンク
関連するリンク
http://www.kunaicho.go.jp/page/okotoba/detail/12
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終戦の詔勅
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