ビスフェノール構造をもつ殺菌消毒剤、防腐防黴剤。
- 分子式: C12H7Cl3O2
- 分子量: 289.54
- 比重: (該当資料なし)
- 融点: 55℃〜57℃
- 沸点: 280℃〜290℃(分解)
- CAS番号: 3380-34-5
- ICSC番号: (登録なし)
- 官報公示整理番号(化審法・安衛法): (9)-381
- 化学名: 5-Chloro-2-(2,4-dichlorophenoxy)phenol
トリクロサン
- 外観: 白色から灰色の粉末で、僅かに特異な臭いを有する
- 溶解性: 非水溶性、脂溶性
ダイオキシンは構造が似ているが、直接は無関係である。常温でトリクロサンがダイオキシンになることはない。
抗菌剤として、消毒用石鹸、ローション、歯磨き粉、制汗剤など、いろいろな製品に使われている。
また、化粧品、衣類、家具、あるいはプラスチック玩具などにも使われている。
ENR(エノイール‐アシル運搬蛋白還元酵素)という酵素の働きを阻害する。
この酵素は多くの細菌(バクテリア)と菌類が細胞膜を作る際に働く。
トリクロサンは、ENRの活性部位に結合することにより、ごく微量であっても強力な抗生を示す。しかしヒトはこの酵素を持たないため、ヒトに対する害はない。
この特徴から、トリクロサンは、一般細菌の殺菌力に加え、ブドウ球菌などグラム陽性菌に対する静菌力も優れた抗菌成分となっている。
トリクロサンは抗生物質ではないが、その薬理作用は抗生物質に似ている。
このため、トリクロサンは抗生物質のように耐性菌を生じさせる可能性が存在する。
医薬部外品として承認されている濃度では安全性が高いとされ、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)でも、危険性は最も低い一般化学物質の扱いとなっている。
使用した濃度や信憑性については定かではないが、米カリフォルニア大デービス校などでの実験で、マウスや魚を使った実験で筋肉の活動性を低下させる恐れがあるとの実験結果が出たとして、2012(平成24)年8月に米科学アカデミー紀要(電子版)に発表するとして報じられた。
報道によれば、マウスや、コイ科のヒメハヤにトリクロサンを与えた。与えていない場合と比較して、マウスでは心臓が拍出する血液が最大25%減少、握力が18%低下し、ヒメハヤでも遊泳能力が落ちたとしている。
毒物及び劇物取締法: 該当しない
消防法(危険物の規制に関する政令): 該当しない
労働安全衛生法 (労働安全衛生法施行令): 該当しない
航空法: 該当しない
船舶安全法(危険物船舶運送及び貯蔵規則): 該当しない
港則法: 該当しない
海洋汚染防止法(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律): 該当しない
水質汚濁防止法: 該当しない
大気汚染防止法: 該当しない
悪臭防止法: 該当しない
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法): 該当しない
- 引火点: (該当資料なし)
- 発火点: (該当資料なし)
- 爆発限界: (該当資料なし)
- 刺激
- 腐食性: (該当資料なし)
- 刺激性: (該当資料なし)
- 感作性: (該当資料なし)
- 毒性
- 急性毒性: (該当資料なし)
- 慢性毒性: (該当資料なし)
- がん原性: (該当資料なし)
- 変異原性: (該当資料なし)
- 生殖毒性: (該当資料なし)
- 催畸形性: (該当資料なし)
- 神経毒性: (該当資料なし)
- 規制値
- 一日許容摂取量(ADI): (該当資料なし)
- 暫定耐用一日摂取量(PTDI): (該当資料なし)
- 急性参照値(ARfD): (該当資料なし)
- 暴露許容濃度(TLV): 設定されていない
- 最大許容作業濃度(MAK): 設定されていない
- 分解性: (該当資料なし)
- 蓄積性: (該当資料なし)
- 魚毒性: (該当資料なし)
用語の所属
抗菌剤
関連する用語
酵素
菌
細胞膜