15族の窒素族に属する典型非金属元素。
一般情報
原子情報
- 原子量: 14.0067(2)
- 電子配置:
- 電子殻: 2、5
- 原子価: 3
- 酸化数: −3、0、+1、+2、+3、+4、+5
物理特性
- 相: 気体
- 融点: 竏209.86℃
- 沸点: 竏195.8℃
- CAS番号: 7727-37-9
- ICSC番号: 1199
質量数は、10から25までが確認されており、その中に核異性体も存在する。安定同位体は二つある。
同位体核種 | 天然存在比 | 半減期 | 崩壊 | 崩壊後生成物 |
10N | ‐ | | 陽子放射 | 9C |
11N | ‐ | | 陽子放射 | 10C |
11mN | ‐ | | | |
12N | ‐ | | β+崩壊 | 12C |
13N | ‐ | 9.965秒 | β+崩壊 | 13C |
14N | 99.635% | 安定核種(中性子数7) |
15N | 0.365% | 安定核種(中性子数8) |
16N | ‐ | 7.13秒 | β−崩壊 | 16O |
17N | ‐ | 4.173秒 | β−崩壊 | 17O |
18N | ‐ | | β−崩壊 | 18O |
19N | ‐ | | β−崩壊 | 19O |
20N | ‐ | | β−崩壊 | 20O |
21N | ‐ | | β−崩壊 | 21O |
22N | ‐ | | β−崩壊 | 22O |
23N | ‐ | | β−崩壊 | 23O |
24N | ‐ | | 中性子放射 | 23N |
25N | ‐ | | | |
質量数が16以上になると複雑な崩壊をする。
単体は大気中に78.08%存在する、無色/無臭/無害の気体。
窒素は、炭素と同様に様々な化合物を作る。特に重要な有機物としてアミノ酸、各種アミン類、DNAやRNAを構成する塩基(芳香族のベンゼン環の炭素の一つないし幾つかを窒素に置換するヘテロ芳香族を含む)など、また無機物としてアンモニア、硝酸及びそれらの塩が知られている。ただし、窒素単体の反応性は高くない。
アンモニアや肥料の合成のほか、冷媒、寒剤などにも使われる。
実験室的製法は、亜硝酸アンモニウム水溶液の加熱(70℃)で得る。
NH3NO2→H2O+N2↑
工業的には液化空気の分留や空気の膜分離によって得る。
今では膜分離もかなり安価になってきている。それほど純度が求められない場合は、研究所レベルでも(低純度)N2が必要な装置の手前に空気の膜分離装置をつけて使うことがある。
- 引火点: この物質に燃焼性はない
- 発火点: この物質に燃焼性はない
- 爆発限界: この物質に燃焼性はない
- 刺激
- 腐食性: (該当資料なし)
- 刺激性: (該当資料なし)
- 感作性: (該当資料なし)
- 毒性
- 急性毒性: (該当資料なし)
- 慢性毒性: (該当資料なし)
- がん原性: (該当資料なし)
- 変異原性: (該当資料なし)
- 生殖毒性: (該当資料なし)
- 催畸形性: (該当資料なし)
- 神経毒性: (該当資料なし)
- 分解性: (該当資料なし)
- 蓄積性: (該当資料なし)
- 魚毒性: (該当資料なし)
この元素は、かつて物が燃える原因と考えられた元素「燃素」の研究過程で偶然見つかったもので、発見者の特定は困難である。
イギリスの科学者Daniel Rutherford(ダニエル・ラザフォード)が1772(安永元)年に有毒空気(noxious air)と命名した。これが最も古い記録として、現在の化学史に於いては発見者はラザフォードとされている。
スウェーデンのシェーレも遅れて酸素を火の空気、窒素を駄目な空気と命名した。
フランスの科学者ラボアジェは1775(安永4)年に窒素が元素であることを確認しazoteと命名した。azoteはフランス語で、「生きられないもの」や「生命を支えないもの」の意味がある。
化学名のNitrogeniumは、ギリシャ語で「硝石を作るもの」を意味する語、νι'τρον(ni'tron、硝石)をγει'νομαι(gei'nomai、作る)から付けられた。
- アンモニア (NH3) (7664-41-7)
- 窒素酸化物
- 一酸化二窒素(亜酸化窒素) (N2O) (10024-97-2)
- 一酸化窒素(笑気ガス) (NO) (10102-43-9)
- 二酸化窒素 (NO2) (10102-44-0)
- 三酸化二窒素 (N2O3)
- 四酸化二窒素 (N2O4)
- 五酸化二窒素 (N2O5)
- 尿素 (CH4N2O) (57-13-6)
- 尿酸 (C5H4N4O3) (69-93-2)
- 硝酸 (HNO3) (7697-37-2)
- 亜硝酸 (HNO2)
- 次亜硝酸 (H2N2O2)
- 酸化数−3
- 酸化数+1
- 一酸化二窒素(亜酸化窒素) (N2O) (10024-97-2)
- 次亜硝酸 (H2N2O2)
- 酸化数+2
- 一酸化窒素(笑気ガス) (NO) (10102-43-9)
- 酸化数+3
- 酸化数+4
- 二酸化窒素 (NO2) (10102-44-0)
- 四酸化二窒素 (N2O4)
- 酸化数+5
窒素ボンベはグレーである。他に水素は赤、酸素は黒、二酸化炭素は緑、ヘリウムなどはグレーとなっている。また、ボンベのバルブが左ネジ(メタンなどの可燃性ガスは全て同様)。
6 炭素 ‐ 7 窒素 ‐ 8 酸素
関連するリンク
ICSC 国際化学物質安全性カード用語の所属
元素
典型非金属元素
窒素族
関連する用語
窒素分子
アンモニア
尿素
混合物
ニュートリノ
窒素固定
窒素冷却