電子計算機
読み:でんしけいさんき
外語:computer

 電気的に動作する計算機のこと。一般には「コンピューター」「コンピュータ」ともいうが、日本の法律では「電子計算機」の名が使われている。
目次

概要

由来
 人間がしていたのでは時間が掛かる大量の計算を、機械的に高速に、かつ正確に行なうべく開発が始まったものである。従って狭義には、計算の要求を与え、その結果を返すまでを、人力を介さずに電気の力だけで行なうことができる装置を電子計算機という。
 実用的なディジタル式電子計算機(ディジタルコンピューター)の登場は、第二次世界大戦の始まった1940年代である。
 アメリカの裁判によれば、世界初の電子計算機は1942(昭和17)年に完成した「ABCマシン」と称される装置である。
 しかし、より本格的な電子計算機は、1943(昭和18)年に開発が始まり、終戦後の1946(昭和21)年に完成した汎用電子計算機ENIACである。これはアメリカ陸軍のプロジェクトで、大砲の弾道計算を目的としていた。

アナログ・ディジタル
 電子計算機は大きく二種類に分けることができる(できた)。
 ディジタル式電子計算機とは、半導体素子などによる論理回路を組み合わせて作られている。演算対象も、演算結果も、共に2進数である。
 アナログ式電子計算機とは、アナログ電子回路を組み合わせて作られている。演算対象も、演算結果も、共に電圧の高低で表わされる。
 かつては、アナログ式電子計算機の方が高速であった。しかし計算を変えるためには回路を変える必要があった。またアナログ回路であるため精度にも限界があった。
 やがて、ディジタル式電子計算機が高速化されるに伴い、アナログ式電子計算機は使われなくなっていった。

ノイマン・非ノイマン
 ディジタル式電子計算機は、大きくノイマン型非ノイマン型に分けられる。
 パーソナルコンピューターをはじめ、現在の主流はノイマン型電子計算機であり、これはメモリー上に格納された命令(プログラム)を順次呼び出して一つずつ実行(逐次処理)する方式の電子計算機である。
 近年は、量子計算機(量子コンピューター)のような非ノイマン型の研究が進められており、いくつかの分野では実用化されている。
 なお、量子計算機に対して従来型の計算機は古典計算機という。

世代
 使用される論理素子の種類によって世代が分けられている。
 電子計算機の素子は真空管から始まり、トランジスタ、IC、LSI、VLSI、と進化した。
 第5世代の電子計算機には超々LSIが使われることになるが、日本の場合は少し事情が異なっている。
 なぜなら、かつて通商産業省(現・経済産業省)が、10年以上の歳月と570億円という国費を投じた国家プロジェクト「第五世代コンピュータ」なるものを、実行に移したからである。これは、人間の思考と同じような推論に基づいて答えを出すもので、設計思想が第4世代までと根本的に異なっている。

特徴

機構
 電子計算機という名があるが、ここでいう計算とは四則演算などに限らず、論理演算、比較、分岐、入出力といったあらゆる意味を含んでいる。
 そして現在の殆ど全ての電子計算機は、チューリングマシンの原理に則って動作する。
 チューリングマシンに準拠した電子計算機は非常に単純明快であり、原理的には次のような動作をする。
 この動作をするために定期的なパルス信号であるクロックが入力され、各動作はこのクロックに同期して動作する。
 この目的のために、電子計算機は入力装置記憶装置制御装置演算装置出力装置という五つの大きな要素で構成されており、これらは「五大装置」と呼ばれている。
 以下、たびたびチューリングマシンという語が現われるが、現在の電子計算機の基本概念であるとして判断されたい。

命令
 チューリングマシンは、命令を与えることによって動作する。この命令は2進数によって記述されており、これをいくつかの組(バイト)として束ねて用いる。現在の一般的な電子計算機では1バイトは2進数8桁(8ビット)であり、これをオクテットという。
 命令は1バイトから数バイトで記述され、この中に命令の種類、オペランドイミディエイトなどが記述される。
 各命令は非常に単純であり、「指定した番地のメモリーの内容を読みレジスターに入れろ」「レジスターの内容を1増やせ」「レジスターの内容が100以上か判断せよ」「もしそうなら所定の番地に分岐せよ」といったような内容である。この各命令には番号が付けられており、命令番号と引数を含め、数バイトの命令として電子計算機に与えることになる。
 但し、この2進数の命令を人間が直接記述することは殆どなく、各命令に英単語を対応付けしたアセンブリ言語を用いて記述したり、あるいはより抽象的な記述を可能とした高級言語(CBASICCOBOLなど)を用いて記述され、それを最終的に2進数の命令に変換し、実行することになる。

ハードウェア
 電子計算機の機械部分をハードウェアという。

記憶装置(メモリー・ストレージ)
 五大装置の一つ記憶装置は、主記憶装置補助記憶装置に分けられる。
 このうち主記憶装置は、プロセッサーから直接参照される記憶装置であり、現在の電子計算機は半導体(メモリーセル)を用いている。
 このメモリーは一定の小さなサイズ(バイト)で区切られ、それぞれに番地が付けられる。この番地単位で、データや命令が格納されることになる。

処理装置(プロセッサー)
 五大装置のうち制御装置と演算装置を合わせて処理装置という。
 現在は、この目的のためにマイクロプロセッサーが使われており、中でも中央処理を行なうものを中央処理装置または中央演算処理装置といい、英語CPUという。

演算機能
 CPUには特に、演算機能(算術演算、論理演算など)が搭載されており、「計算機」としての本来の仕事が行なわれる。
 プロセッサーの設計にもよるが、この演算機能は一般に整数のみであり、小数点以下を含む実数計算は必要に応じて搭載される拡張機能とされていることが多い。

制御機能
 チューリングマシンなので、逐次命令を読む機能がある。これを制御する機能も、通常はCPUに存在する。
 次の命令があるメモリーの番地はプログラムカウンターに格納される。命令を読み取ったら、自動的に次の番地へと移動し、また途中の比較や分岐命令に伴って、指定された番地へと移動することもある。

入出力装置(I/O)
 五大装置のうち入力装置と出力装置を合わせて入出力装置という。
 電子計算機に対して情報を与えたり、電子計算機の演算結果を外部に出したりする装置である。
 パーソナルコンピューターを例とすれば、入力装置はキーボードマウスなどが代表例で、出力装置はディスプレイプリンターなどが代表例である。

ソフトウェア
 電子計算機(チューリングマシン)に与える「命令」の列を、ソフトウェアという。また、命令だけでなく、それに付随するデータ類も、ソフトウェアの一つである。
 その目的に応じて、どのように入力を得るか、どのように画面に表示するか、といったものが記述されており、電子計算機は、ここに書かれたとおり忠実に動作をする。この、電子計算機に処理をさせるための一連の流れを記述したものを「プログラム」といい、これは人間が作る。
 人間が作る以上、間違いも少なからずあり、これをバグという。かくして、ソフトウェアは必ずしも人間の思った通りには動かない。格言として「プログラムは思ったとおりには動かない。書かれたとおりに動く。」というものがある。
 現在は、ソフトウェアの動作を管理したりするソフトウェアとして、オペレーティングシステムと呼ばれるものが使われており、多くのソフトウェアは、このオペレーティングシステムの上で動作する。

種類
 その使用目的に応じ、様々なものが研究・開発・使用されている。

設置型
 大型のものから、小型のものまで、次のようなものがある。

携帯型

研究中の電子計算機
 研究中の電子計算機には、次のようなものがある(50音順)。

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