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スパイクバックス筋注
辞書:科学用語の基礎知識 薬学・一般薬編 (BPHARI)
読み:すぱいくばっくす-きんちゅう
外語:Spikevax Intramuscular Injection
品詞:商品名

武漢肺炎ウイルス感染症病原体であるSARS-CoV-2に対するワクチンの一つ。メーカーはモデルナ。開発コードネームはmRNA-1273とされる。

目次
基本情報
製品

これを著している時点では薬価収載医薬品ではなく、国がメーカーより直接仕入れ、公費対象として希望する国民に無償で接種している。

効果・効能

SARS-CoV-2による感染症の予防。発症予防効果は約94%と報告されている。

臨床試験において、十分な免疫ができるのは2回接種し2回目の接種を受けてから14日程度経って以降とされている。

またモデルナからのプレスリリースで、ワクチン2回目接種6ヶ月後の有効性が93%で維持されていたと報告されている。

用法・用量

初回免疫は、1回分を0.5mlとし、筋肉注射をする。1回目の接種後、通常は4週間の間隔で2回目を接種する。

追加免疫は、1回分を半分の0.25mlとする。

製品は、初回免疫で10回接種分/1バイアルである。

ファイザーのワクチンとは違い、希釈は不要。

-20℃±5℃で冷凍保存する。使用時には、2℃〜8℃に移行して2.5時間で解凍または15℃〜25℃に移行して1時間で解凍する(解凍後の再凍結は不可)。接種直前に常温で15分放置してから使用する。1バイアル10回分(初回)または20回分(追加)だが、1回針を刺したバイアルは6時間以内に使用する。また吸引後は速やかに接種する。

成分・添加物

成分

添加物

有効成分であるmRNAの他に、次の賦形剤(不活性成分)を含む。なお、上から4つは全て脂質であり、脂質ナノ粒子(LNP)でmRNAをカプセルしている。

薬効薬理

本剤はmRNAワクチンである。

有効成分であるCX-024414はSARS-CoV-2のスパイク蛋白質(ウイルスがヒトの細胞に侵入するために使われる蛋白質)の設計図となるmRNAを脂質の膜に包んだ製剤である。

本剤を接種することによりヒト細胞内に取り込まれると、このmRNAを元に細胞内でスパイク蛋白質が産生される。これを体内の免疫系が異物とみなし、スパイク蛋白質に対する中和抗体産生および細胞性免疫応答が誘導されることにより、仮にSARS-CoV-2が体内に侵入しても免疫系により速やかにスパイク蛋白質が破壊されるため細胞内に侵入することができず、もってSARS-CoV-2による感染症が予防できると考えられている。

名称の由来

国際一般名となるCX-024414の名前の由来は不明。

開発コードネームmRNA-1273の由来も不明。

COVID-19ワクチンモデルナ筋注は旧販売名(=製品名、ブランド名)である。この販売名は見ての通りそのままの命名だったが、その後2021(令和3)年12月16日の特例承認に合わせ製品名は「スパイクバックス筋注」という商標名に変更された。スパイクバックス(Spikevax)の語源は、スパイク(Spike)はスパイク蛋白質のmRNAであることから、vaxは名詞「vaccine」または動詞「vaccinate」を意味するカジュアルな(医学用語ではない)略語である。

補足
開発メーカー

このワクチンは、アメリカのベンチャー企業モデルナにより開発された。

副作用など

アレルギー反応のほかは、一般的な他の疾患向けワクチン接種と大差ない副作用しか報告されていない(順不同)。

痛みは高確率で見られるが、接種後半日ほど経ってから痛み出すことが多く、概ね翌日から数日間は痛む。これは筋肉注射では共通してみられるものである。

発熱は特に2回目の接種後に見られるが、これは体内での免疫反応によるものであり、つまりこの製薬が「効いた」ことを意味している。

重篤なアレルギーについては、7割程度は接種後15分以内に起こっており、その殆どはアレルギーの既往歴がある人である。このワクチンはドラッグデリバリー担体としてPEG化した脂質ナノ粒子(LNP)が使われているが、これが免疫反応を引き起こすと考えられている。

時間経過後の効果について

本ワクチンの接種後約5ヶ月間の有効性と安全性を調べた論文がNEJMに Efficacy of the mRNA-1273 SARS-CoV-2 Vaccine at Completion of Blinded Phase として掲載されている。

本論文では、ワクチンとプラセボで半々で計約3万人が参加した臨床試験で、発症予防効果93.2%、接種後14日目後で無症状感染を予防する効果は63.0%、重症化を予防する効果は98.2%とされている。ワクチンの有効性は、人種、年齢、基礎疾患の有無など様々なグループ間で一貫し高い有効性を維持しており、安全上の懸念も確認されなかった。言うまでもなく素晴らしい成績である。

また従来あったファイザーのワクチンの臨床試験との違いとして無症状の感染者を調べている点が際立っており、本論文では無症状・有症状を含めた感染予防効果は82.0%だったとしている。この臨床試験により、改めてワクチンが「感染自体を予防する効果」があることが確認されたことになる。

リンク
用語の所属
ワクチン
関連する用語
武漢肺炎ウイルス感染症
SARS-CoV-2
コミナティ筋注

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