遅れ払い戻し

読み:おくれはらいもどし
品詞:名詞

JRの(新幹線を含む)特急急行で、大幅な遅延や、運転の打ち切りが発生した際、特急料金や急行料金を払い戻す決まりのこと。「遅延払い戻し」とも。

目次

日本の鉄道は遅れないことが当たり前になっているが、理由の如何を問わず、遅れを出しても定時に回復させる義務はない。

ただし、遅れた特急は特急ではなくなってしまうため、JRの(新幹線を含む)特急急行では、その列車が2時間以上遅れたり、途中で運転を打ち切った場合、特急料金や急行料金は払い戻される。

なお、実際に最後まで列車に乗車した場合は、払い戻しは特急料金や急行料金のみで、運賃(乗車券の価格)は払い戻しされない。特急のグリーン車を利用していた場合も、グリーン車の料金は払い戻し対象ではないため、一般の特急料金ぶんのみが払い戻しされる。

旅客営業規則第289条などで定められている。

寝台列車

寝台列車に乗った場合の寝台料金は、寝台を朝6時まで使用することができなかった場合のみ払い戻される。

これは、使用できなくなった駅に到着した時刻を元に考えられる。

例えば朝6時ちょうどに到着した駅で列車が運転を打ち切った場合、実際は身支度等のため朝5時半ごろから事実上は寝台が使用できなくなっていると考えられるが、この場合の寝台料金払い戻しは無い。

指定席

快速列車などの指定席では、途中で運転を打ち切った場合は指定席料金払い戻しとなる。

但し、どんなに遅れても目的の駅まで運転されれば払い戻しは無い。

振り替え輸送

時々、新幹線や後続の特急で振り替え輸送が行なわれることがある。

特急が途中で運転を打ち切った場合は、遅れた時間に関わらず、後続の特急に乗り換えた上で料金払い戻しとなる。

また、新幹線と並行する在来線の特急に乗っていて、新幹線に振り替えた場合、その新幹線が目的駅に到着した時刻と、本来乗っていた特急が目的駅に到着するはずだった時刻とを比較して、2時間以上遅れていたら特急料金は払い戻しとなる。

急行に乗っていて新幹線に振り替えた場合は、何時間遅れても急行料金の払い戻しは無い。

遅延特約特急券

特急券発売時点で既にその特急が2時間以上遅れることが明らかな場合、指令の指示で「遅延特約特急券」が売られることがある。

これを買った場合、特急料金は半額だが、いくら遅れても払い戻しは無い。

有効期限は「1年間」

遅れ払い戻しは1年間有効であり、現金で購入した切符なら、JRの駅ならどの駅でも払い戻しができる(クレジットカードの場合は後述)。

遅れ払い戻しになると到着した駅の窓口に長蛇の列ができるが、自宅最寄りの駅などで数日後にゆっくり払い戻しをしてもらった方が、時間も労力も節約できる。

列車が遅れると降りた駅の改札で「遅れ払い戻し証明印」などを押した上でそのように案内することもあるが、証明印は無くても、規則上は払い戻しできる。新幹線であれば、自動改札機で自動的に「遅払証」が刻印される。

払い戻しを受ける方法

新幹線の場合、新幹線改札内であれば「精算所」などと書かれた窓口などで払い戻しが受けられる。但し、一般に長蛇の列となる。1年間有効で、しかもどのJR駅でも払い戻せるので、その日のうちに精算する必要はない。ここに並ぶのは時間の無駄である。

切符を新幹線改札の自動改札機に通せば、出札の刻印の箇所に「遅払証」という刻印が入る。これを降りる駅の有人改札や窓口に出せば払い戻しが受けられるほか、混雑している場合は、その切符を持ち帰り、後日改めて返金を受けることも可能。

全自動で刻印される「遅払証」
全自動で刻印される「遅払証」

切符を持ち帰って後日払い戻しする場合は、最後に降りる駅で、この切符を自動改札機に入れてはならない(その場で回収されてしまう)。必ず有人の改札口で申し出てから改札外に出る必要がある。

クレジットカードで購入した場合

クレジットカードで購入した場合は制限があり、購入した鉄道事業者でしか払い戻しができない。

例えばJR東日本の駅でクレジットカードを使って購入した場合は、原則としてJR東日本の窓口でしか払い戻しができない(つまりこの場合、原則としてJR東海やJR西日本では払い戻しができない)。

前述のように遅れ払い戻しは1年間有効であるので、次回旅行時に、払い戻しを受けることになるだろう。

モバイルSuica+EX-ICの場合

モバイルSuicaにEX-ICサービスを付けると、それを用いて新幹線に乗ることができる。

遅れ払い戻しについては、特別な手続きは不要。精算所の列に並ぶ必要もない。新幹線の自動改札を出た段階で、自動的にカード口座に払い戻す手続きが開始されるため、とても便利である。

EX-ICは、ストレスフリーで非常に先進的なシステムとなっている。

サービス

事故などで数時間以上遅れた場合は、便宜措置として、駅に止まった列車で仮眠を認めたり、お弁当や飲み物が配られたり、タクシー代やホテル代などを負担してくれることがあるが、これは規則で定められているものではなく、あくまでサービスである。

基本的には、乗車した列車が遅れた場合にお客へ取られる金銭的な救済措置は、遅れ払い戻ししかない。

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