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おむつ
辞書:文化用語の基礎知識 生活と文化編 (LLIFE)
読み:おむつ
外語:diaper
品詞:名詞

排泄された大小便を取るために腰の下に巻く衣類。古来より、襁褓(おしめ、むつき)、湿布(しめし)、などと呼ばれ、うち「むつき」が変化して「おむつ」となった。

目次
概要
用途

一般には、排泄の制御能力のない赤ちゃんや子供、老人、あるいは障害者、または、前立腺や膀胱などの尿路の術後の尿漏れ対策として用いる。

古来から赤ちゃん用として使われて来たが、近年では老人介護用として医療控除が受けられるようになったことから、老人用も広く普及してきた。

以下は、赤ちゃん用と、老人介護用の両面で説明をする。

素材

かつては布製のものが普通だった。洗って使うことから大変だと忌諱されるようになっては来たが、使い捨てではないため出るゴミが少ないという利点はある。経済面では実際は紙おむつと大差はないが、長く使えばその分布おむつの方が得となる。

近年は使い捨て可能で、かつ一度吸収した程度では漏れない便利な使い捨ておむつ(紙おむつとも言うが、しかし実は紙ではない)も一般に使われ広く普及している。

関連する用品
市販製品

大きく「布おむつ」と「使い捨ておむつ」がある。

布おむつ

材質

昔は布なのが当たり前だったので、布おむつなどという呼称はなかったが、使い捨ておむつの普及により、区別するためこのように呼ばれるようになった。

最近ではめっきり少なくなったが、今でも布おむつの市販ブランドは存在する。

材質は、綿(コットン)、または綿+ポリエステルの混紡などが使われている。綿は着心地が良く吸湿性にも優れるが洗濯後にしわになるという弱点がある。一方で合成繊維ポリエステルは吸湿性が低いがその分乾きやすく、また洗濯しても型崩れしにくい利点がある。綿とポリエステルの混紡は、吸水性が高くしわにもなりにくいという両者のいいとこ取りになるが、割合によって肌触りなどは変化する。


用法

布おむつは、唯の布であるので、おむつカバーによって身体に固定される。

またこのおむつカバーは一般に水分を通しにくい材質でできており、尿をせき止める働きもある。

新生児では1枚を四つ折りにして使うことが多い。生後1ヶ月くらいになると尿量も増えてくるので、三つ折りを下、四つ折りを上と、二枚を使うようにする。

尿漏れを防ぐためには、男の子は前を厚く、女の子は後ろを厚くして当てる。

また、排泄後は速やかな交換が必要である。


利点と難点

最大の利点は、おむつも、おむつカバーも、洗って再利用できる点にある。

また小便後、濡れたおむつは不快なので、これがおむつ離れを促進する働きもあると言われている。

難点としては、洗濯の手間がある。単に洗濯機に放り込めばよいというものではなく、特に大便が付いたものは丁寧に手洗いをしないと繊維の中に入り込んでしまう。そして乳幼児はとにかく枚数勝負となり、大量に布おむつを用意しても不足しがち、一日を赤ん坊の世話とおむつの洗濯で終えるようなことになりかねない。

また唯の布であるので、吸収しきれない時には漏れてきてしまうほか、排泄後は速やかに交換しないと尿や便で肌荒れを起こしてしまう。夜間や外出時には向いていないといえる。

更に、おむつやおむつカバーは赤ちゃんにとっては比較的重量があるため、重く、歩きにくいという問題もある。

このように、大変であるため現代では布おむつは廃れ、代わって使い捨ておむつが普及している。現代であれば、布おむつを使う場合でも、無理はせず使い捨ておむつと併用というのが現実的である。なお、誤って使い捨ておむつを洗濯機で洗ってしまうと大変なことになるので注意が必要である。

使い捨ておむつ

名称について

量販店で一般に市販されているのは、この使い捨ておむつである。俗に紙おむつと呼ばれるもので、使用後は燃えるゴミ等として廃棄する。

登場した当時は、名の通り本当に紙製だったが吸水性が悪く、後に吸水性ポリマーが実用化されてからはそちらに移行した。従って今では材質はではないが、名前だけは「紙おむつ」として残ってしまった。


利点と難点

特徴は、布と比べ通気性や防水性が優れており、軽く、嵩張らないため布おむつと違って歩きやすいという点である。

難点は使い捨てであることで、廃棄物の問題が常に存在する。

また、尿を速やかに吸収するため排泄後の不快感が少ない。介護用としては利点であるが、赤ちゃん用としてはこれがおむつ離れを遅らせてしまうという指摘もある。


弱点

吸水材を用いた使い捨ておむつは、意外と「勢い」に弱い。大抵の製品は、乳幼児の排尿や、またはシニアの頻尿あるいは尿漏れのために作られていて、少量の尿や、あるいは少しずつちびるものを吸収する想定で設計されている。このため例えば若い健常者の通常の放尿速度に耐えられるものは殆どない。吸収速度が遅いおむつの場合は許容量に全く達していなくても通常の放尿速度で放尿した場合、案外簡単に漏れてしまう。従って、使い捨ておむつをトイレの代わりに使用して放尿する場合は、ゆっくり、少しずつ放尿する必要がある。

とはいえ痴呆があるなどでそういった判断が難しい人のために、容量を犠牲にして吸収速度にステータスを全振りした製品もある。

また介護のシーンにおいては、特に男性では尿取りパッドを陰部に巻く「陰部巻き」+おむつ、というダブルで攻めていくスタイルが多く、こうしておかないとほぼ確実に漏れる。


用途別

子供用から大人用まで、製品の幅は広い。

子供用は、乳児用から、比較的大きな子供の夜尿症対策用まで様々売られている。

最近では老人介護用として大人用のおむつも売られている。当初は子供用と比べると店舗が限られていたが、現在では少子高齢化の影響か、老人介護用のほうが子供用よりも広く売られている。業界最王手のユニ・チャームによると、2013(平成25)年3月期には、ついに大人用おむつの売上が子供用おむつの売上を超えたという。


種類

分類

用途に合わせ様々な製品があるが、「おむつ」と呼ばれている製品は次のように分類できる。呼称は様々あるので、代表的なものを幾つか並べる。


テープタイプとパンツタイプ

使い捨ておむつに2種類があるのは、それぞれに利便性があるためである。


テープタイプ

テープタイプの利点は次の通り。

赤ん坊がねんね状態でじっとしている場合は、広げて使えるテープタイプの方がおむつ替えが楽なため、新生児はテープタイプを使うことが多い。これは要介護老人などでも同様である。


パンツタイプ

パンツタイプの利点は次の通り。

赤ん坊がじっとしなくなる年頃になると、立ったままでも履かせられるパンツタイプの方が楽になる。このため市販のパンツタイプは、新生児用使い捨ておむつが卒業できる体重6kg以上からのものが一般的である。介護老人でも自力で着替えられる場合は、パンツタイプを使うことが多い。

パンツタイプの場合、立った状態であれば脱がせることが出来るが、大便時の交換などではおむつが汚れているため、脱がせ方を間違えると足を汚してしまい無駄な手間が増える。

実はパンツタイプは横からちぎることができるため、大便の時は無理に脱がさなくてもテープタイプのように広げることができる。


移行と併用

価格面については、テープタイプは安く、パンツタイプはそれよりもやや価格が高い。

テープタイプからパンツタイプへの移行については、特に○ヶ月から、といった決まりはない。母親が、その方が楽だと思ったときが切り替えの時期であると言える。経済面から、寝ている時の交換はテープタイプ、起きている時はパンツタイプ、のように併用することもある。


パッドタイプ(尿取りパッド)

パッドは、尿を取るために使うもので、女性の生理用ナプキンと同様のものから、パンツに取り付けて使うものまで様々なものがある。

一般には老人介護用などとして使われており、赤ん坊には不要(なことが多い)。

パンツタイプのおむつの場合、股下に吸水材があるが、腹側は吸水も防水も弱いことが多い。女性の場合は真下から後ろに向かって尿が出るが、男性の場合は性器の向き次第となる。男性器が上を向いている安静状態で排尿すると当然尿は腹側に向かうことになり、結果おむつから尿が漏れてしまう。そこで腹側の吸水性と耐水性を強化するため、尿取りパッドをおむつに貼り付けたり、時に性器に巻いたりして用いる。


素材

その素材は様々で、随時改良が続けられている。こうして様々な材質が使われていることから資源再生も困難なのが、難点とも言える。


表面材

表面材は、自身が濡れにくくサラッとした肌ざわりを維持したまま、尿を速やかに吸収体へと送ることができる素材が使われる。

最近では、次のような素材が多いようだ。


吸水材

尿を吸収し、一度吸収したら確実に取り込み後戻りさせないような素材が使われている。

最近では、次のような素材を組み合わせることが多いようだ。

うち、高分子吸水材は、主としてポリアクリル酸塩を原料としたもので、自重の50〜100倍の尿を吸収でき、押してもしみ出にくい性質を持っている。


防水材

おむつの外側を覆う防水シートである。これがおむつカバーと同様の役割を果たすことになる。

基本的には、尿が漏れないよう水分を通しにくい物質が使われるが、蒸れると不快なため、水分を通さず通気性のある材質が研究されている。

なお、移動しやすさを求めた薄型パンツタイプなどの場合、水分を軽々と通してしまったりもするので、注意は必要である。


使用後の廃棄

使用後は、自治体の指示に従った方法で廃棄する。

家庭から出されるものは、全国の大半の自治体では「可燃ごみ(燃えるごみ)」として回収しており、焼却場にて焼却処理している。

奈良県生駒市のように、(ペット用を除く)子育て・介護用紙おむつは無償回収(有償ゴミ袋に入れなくても良い)とする自治体もある。外から見えるよう透明または半透明の袋に入れて出すとしており、この生駒市の場合も、出す日は燃えるごみの日である。

介護施設や医療機関から出されるものは、感染性かどうかで分類し、非感染性のものは事業系一般廃棄物、感染性のものは特別管理一般廃棄物となり、いずれも焼却処理している。

一般的に廃棄の際には、大便についてはトイレに捨て取り除き、汚れた面を内側にして小さく丸める。臭いが漏れないように新聞紙などで包んだりし、ゴミ袋などに入れる。但し、外からおむつが見えるようにして捨てるよう指定する自治体の場合は、その限りではない。

なお、使い捨ておむつ、尿取りパッドなどは水に溶けないので、決してトイレに流したりしてはいけない。トイレが詰まってしまう。

おむつ商戦
需要の変化

高齢化によって老人用・介護用おむつが売れ行きを伸ばす中、少子化によって子供用、特に新生児向けの製品は売れ行きが年々縮小中である。この傾向は、今後も続くと考えられている。

その一方、近年では子供のおむつ離れは遅くなっているとされる。

報道によると、ユニ・チャームの調査では2003(平成15)年度では生後28〜29ヶ月程度でおむつ離れしていたが、2007(平成19)年度では生後32〜35ヶ月程度となった、としている。その理由は、使い捨ておむつの履き心地の向上が理由ではないか、とされている。

大きな子供向け

製品

近年では小学生でもおねしょ対策とし、就寝中だけはく子が増えている。

これに対応するため、大手各社は大きなサイズの商品を販売する、開発競争となっている。新製品で更新される可能性はあるが、例えばこれを著している2021(令和3)年6月時点では、本来は乳幼児向けブランドの大きな子供向けとして次のような製品が確認できる。

なお、体重25kgは7歳〜8歳の平均体重、体重35kgは10歳〜11歳の平均体重となる。


企業戦略等

最近になっておねしょする子が増えたのか、昔から多かったが使い捨ておむつが便利なので使われるようになったのかは、定かではない。

製品で体重35kgまで対応するユニ・チャームによると「ムーニーマン スーパーBig」は小学3・4年生までを想定して作っている、としている。この製品は小学生向けなので色は白地に薄い色のデザインとし、一目ではおむつと分かりにくいよう配慮してあり、普段日中でも安心して利用できる、としている。

なお、これら見るからに子供用以外にも、アテントはじめ介護用おむつのSサイズなどは、ヒップサイズを鑑みるに実質小学生向けと考えられる。

大人用

大人用の場合、大人の夜尿症対策としての需要もないことはないだろうが、高齢者の介護用としの需要が主である。

大人のおむつ交換は1日平均6.6回で、つまり健常人のトイレの回数そのままである。これは、おむつがトイレの代わりになるからである。そのままだとおむつの必要枚数も膨大になるため、おむつはそのまま、尿取りパッドだけ随時交換して対応することもある。

その他の用途としては、自動車工場のラインで働く人は勤務中にトイレに行く事ができないため、使い捨ておむつを使用するという話が存在する。

リンク
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おねしょ

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