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三重水素
辞書:科学用語の基礎知識 原子元素・名称編上 (NELEMN1)
読み:さんじゅうすいそ
外語:T: tritium
品詞:名詞

水素同位体の一つで、質量数が3の水素のこと。放射性同位体である。「トリチウム」とも呼ばれる。

目次
情報
概要

陽子1個、中性子2個、電子1個で構成されている。

核融合の実験などで使われる。

核融合発電では、リチウムに中性子をあててトリチウムを作ることが想定されている。

特徴
崩壊

三重水素は、半減期は12.33年で、β崩壊する。

その殆どはβ崩壊し、電子(β粒子)と反電子ニュートリノ( ̄(ν)e)を放出して、ヘリウムの安定核種であるヘリウム3(3He)になる。

3H → 3He + e +  ̄(ν)e

生体への影響

換算

科学技術庁告示第五号 平成十二年科学技術庁告示第五号(放射線を放出する同位元素の数量等)における、三重水素の実効線量係数(ミリシーベルト/ベクレル)は、次のとおりである。

つまり、水で10,000ベクレルを経口摂取した(飲んだ)時の実効線量は0.00018ミリシーベルト(0.18マイクロシーベルト)である。


飲んだとき

例えば、事故のあった原子力発電所周辺の井戸水が1リットルあたり17万ベクレルだったとする。

この時の実効線量は17×0.00018=0.00306ミリシーベルト(3.06マイクロシーベルト)である。

これを毎日2リットル365日飲んでも、実効線量は2.2ミリシーベルトにしかならず、誤差の範囲内である。

この放射線量で健康に影響を与えようと思うとギガベクレル級の量が必要だろうが、水を大量に飲めば、下痢などの健康被害があるだろうし、本当に大量に飲んでしまえば水中毒で死亡するだろう(成人の水の致死量は10リットル程度)。

日常的な量で、トリチウムから健康被害を受けることは極めて難しいと判断できる。

生成

核分裂核融合で生じるのではなく、天然には中性子との反応によって生じる。

太陽のような恒星中でももちろん生じているが、地球でも大気中にて生じており、このため半減期はさほど長くはないにも関わらず、地球上に存在している。

地球には、宇宙から常に宇宙線が降り注いでいる。これによって大気圏上空では様々な反応が生じており、この反応中に発生した中性子と、大気中の窒素が反応し、三重水素が生じる。

14N + n → 12C + 3H

この他、人工的には海水中に多く含まれるリチウムに中性子を衝突させて作られる。

6Li + n → 4He + 3H

7Li + n → 4He + 3H + n

リンク
用語の所属
水素
同位体
放射性同位体
3H
関連する用語
重水素
リチウム

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