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S2 (いて座)
辞書:科学用語の基礎知識 天文学天体名編 (USTLN)
読み:エス-トゥー
外語:S2
品詞:固有名詞

いて座に見られ、銀河中心であるいて座A*の近傍にある恒星の一つ。別名S0-2とも。

目次
情報
基本情報
物理的情報
詳細情報
主なカタログ番号
特徴
観測状況

いて座A全体に言えるが、周辺の塵により地球からは可視光線で観測することができず、電波観測もプラズマで拡散されるため困難で、観測が難しい天体である。

銀河中心

銀河中心いて座A*の周辺には多数の恒星中性子星白色矮星ブラックホールなどが存在することが知られている。中でも特に目立って調査されている恒星は6星あり、そのうちの一つがS2である。

直接観測できない銀河中心ブラックホールの代わりにこの天体が観測され、銀河中心がブラックホールであることの証拠固めに用いられている。

S2の他に既知の恒星は、S1、S8、S12、S13、S14の5星があるが、S2は公転周期が短くなおかつ明るいため特に念入りに観測されている。

いて座A*の周回軌道を取っていることが確認されており、近星点17光時(約123au)の軌道が観測されている。1992(平成4)年から観測が開始され、16年後の2008(平成20)年に、遂に元の場所に戻った(一周した)ことが確認された。

公転速度

公転速度は諸説あるが、一説では5000km/s(4320.0km/cBeat)にも達するとされる。

近星点距離17光時(約123au)は太陽と海王星の距離(30.06au)の4倍以上あるが、S2の公転周期は約15.6年で、つまり木星の公転周期の3割増し程度という非常に速い速度で公転をしている。

近点移動

S2の軌道が一周することを観測できたことにより、S2がいて座A*に最接近する軌道上の位置である近点が1周ごとに約12分角(0.2度)ずつずれることも観測で明らかとなった。

これはブラックホールの重力に伴う近点移動であり、太陽系でも太陽に近い水星は太陽重力に伴う近日点移動をしている。これは一般相対性理論で説明されるもので、すなわちこの観測結果により、一般相対性理論の正しさが改めて証明されたことになる。

天体

根拠は定かでないが、フランスの太陽系外天体目録SIMBADにはスペクトル型B0-2Vと記録されている。

ここから判断するとS2は太陽の十数倍の質量を持つ明るく青い主系列星(B型主系列星)ということになる。

いて座A*の潮汐力の影響を常に受けており、いずれはいて座A*に飲み込まれるものと思われる。但し、それは早くても数百万年後から数千万年後と見積もられており、それまでにこのS2は超新星爆発を起こすものと考えられている。

天体までの距離

マックス・プランク地球外物理学研究所(Max-Planck-Institut fu¨r extraterrestrische Physik)の観測によると、距離は7.94±0.42kpcとされ、他の観測による値と一致するとしている。

リンク
関連するリンク
[EG97] S2 -- Star in double system @ SIMBAD
用語の所属
恒星
いて座
いて座A
S2
関連する用語
銀河中心
いて座A*

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