ABO式血液型の表現型のうち、AB型の亜型の一つ。10万人に1人の割合で存在するとされる。
この血液型を持つ人の子は時にABO式でありえない血液型を持って生まれ、親子鑑定の訴訟にまで発展することがある。
しかし、シスAB型は特殊なので、親子で特殊な組み合わせがあっても、何ら不思議ではない。
なお、シスAB型かどうかは、遺伝子を解析しないと正確には判断できない。
人間のABO式血液型は、9番染色体上の遺伝子によって決定される。二組ある遺伝子上のそれぞれに、遺伝子は通常一つのみ(A、BまたはO)が乗る。
しかしAとBの両方の遺伝子が同一染色体上に乗る、より正確にはAとBの両方の遺伝子の中間的な塩基配列を持った、言うなれば「AB型遺伝子」を持つ人が稀にあり、このような血液型はシスAB型と呼ばれる。
このAB型遺伝子はA型遺伝子と比較して若干の変異が見られ、A型とB型の両方の糖をH抗原に付加できる中間的な酵素を作り、生成する転換酵素構造中にA型だけでなくB型の物質も付加することができる。
またA抗原・B抗原ともに活性は弱い。
シスAB型の親の子は、もう片方の親の血液型が仮にO型であっても、シスAB型となることがある。
一方がシスAB型で、その配偶者がそうでない場合という、一般的に想定される状況での親子の血液型関係は、次のようになる。
遺伝子は一対で二本あるため、シスAB型の親については、その組み合わせごとに表とした。
| シスAB型の親 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| cis-AB/A | cis-AB/B | cis-AB/O | cis-AB/cis-AB | ||
| その配偶者 | A | AB、A | AB*、B | AB、A、O | AB |
| B | AB*、A | AB、B | AB、B、O | AB | |
| O | AB、A | AB、B | AB、O | AB | |
| AB | AB*、A | AB*、B | AB、A、B | AB | |
強調したものは、通常のAB型での交配ではありえない血液型である。
*が付いたAB型は、通常のAB型と、シスAB型の両方がありうることを示す。