ABO式血液型

読み:エイビーオウしきけつえきがた
品詞:名詞

血液型分類法の一つ。赤血球の血液型。赤血球の表面上の抗原性の違いによって、A型B型AB型O型に区別される。

1900(明治33)年にオーストリー出身の医学者Karl Landsteiner(カール・ランドシュタイナー)が発見した。

日本人の血液型比率は、およそA∶O∶B∶AB=4∶3∶2∶1である。但し、世界的にはO型が一番多い。

赤血球抗原血清抗体日本支那
O型なし抗A・抗B抗体30%35%46%47%41%
A型A抗原抗B抗体38%27%40%42%45%
B型B抗原抗A抗体20%26%10%8%10%
AB型A抗原・B抗原なし10%12%4%3%4%

比率については時期等により変化するため、この数値は参考とするべきである。

本当の親子でも、ABO式血液型が合わないことは良くある。

アメリカのみならず、日本でも、不倫相手の子なのではないかと訴訟にまで発展したケースはあるが、例えば両親がA型だからといって子供が常にA型とは限らない。

突然変異や、特殊な血液型(後述)などの例外、または「誤判定」を除けば、父親・母親と子供のABO式血液型の組み合わせは、次のようになる。以下の何れかであれば、親子関係は肯定も否定もできない。

 父親の血液型
ABOAB
母親の血液型AA、OA、B、O、ABA、OA、B、AB
BA、B、O、ABB、OB、OA、B、AB
OA、OB、OOA、B
ABA、B、ABA、B、ABA、BA、B、AB

このようになる理由は、ABO式血液型には「表現型」と「遺伝型」というものがあり、通常用いる1文字の表現型では表現しきれない特徴がABO式には存在するからである(詳細は後述)。

また誤判定となる理由も、決して医者が手抜きをしているわけではなく、血液型は必ずしもA、B、O、ABなどという4種類には単純化できないことによる。亜型(後述する)と呼ばれるものは、検査から漏れ、異なる血液型に判定される可能性があるのである。

糖鎖

赤血球には多数の糖鎖があり、そこに「A抗原」「B抗原」と呼ばれる糖があり、これによって型が決定される。

A型の赤血球上にはA抗原が、B型ではB抗原が、AB型ではA抗原とB抗原の双方が存在し、O型の赤血球にはA抗原・B抗原共に存在していない。

血球膜〜糖鎖〜H抗原〜抗原
血球膜〜糖鎖〜H抗原〜抗原

抗体

ABO式血液型の特徴は、自分の赤血球とは反応しない抗体(規則抗体)を血液中に常に持つことである。

A型の人は抗B抗体、B型の人は抗A抗体、O型の人は抗A抗体と抗B抗体を持つため、異なる血液型の血液を混ぜると固まってしまう。

なお、AB型の人は抗A抗体も抗B抗体も持たない。

亜型

なお、A型やB型と一言で言っても、それには多くの亜型(バリエーション)があることが知られる。

具体的には、赤血球上にA型抗原はあっても、その量が少なかったり、あるいは通常とは形状が異なっていたりするものがあり、それらを総じて亜型という。

亜型は通常の血液型検査では血液型がはっきりと分からなかったり、あるいはオモテ検査(赤血球上の抗体検査)とウラ検査(血漿中の抗体検査)の結果が一致しないことがある。

輸血

昔はO型の血液はA型・B型の人に輸血できる、などと言われていたが、血清抗体の発見により、現在これは否定されている。

また同様に昔はAB型の人はAB型だけでなくA/B/O型全ての人から輸血を受けられるとされていたが、現在ではこのような輸血は行なわないことが前提となっている。

法則

血液型はメンデルの法則に従って遺伝する。それは即ち父と母の性質を受け継ぐということである。

DNAは対になっていて、遺伝で用いられる細胞は減数分裂によって片方のDNAのみが使われる。親がAB型とOO型であるなら、片方ずつの組み合わせにより、通常、子はAO型またはBO型となり、両親がAO型であれば、同様に通常、子はAA型、AO型、OO型のいずれかとなる。

シスAB型

ごく希に、一つの染色体上にAとBの両方(に近い)の遺伝子が乗る場合がある。

このため、AB×OからAB型が生まれることがある。このような血液型はシスAB型と言われる。

遺伝型

人間のABO型の血液型を決める遺伝子は9番染色体に記録されており、ここにA、B、Oの3種類の遺伝子がある。

AとBは優劣がなく、A/Bは共にOに対して優性なので、結果的にAA・AO→A型、BB・BO→B型、AB→AB型、OO→O型となる。2文字で表記するのを遺伝型、1文字で書くのを表現型という(但しAB型を除く)。

なお、糖(A抗原・B抗原)が接続するH抗原は19番染色体に記録されている。

血液型の歴史

人間における血液型は、当初はA型のみであった。その起源は数百万年前、ヒトとサルの分岐以前にまで遡ると考えられている。

後にA型から遺伝子欠損による突然変異でO型が産まれ、更にその後、A型からB型が産まれた。

塩基配列

A遺伝子やB遺伝子は共に354個のアミノ酸からなる転移酵素をコードしている。

A遺伝子とB遺伝子はコドンの176、235、266、268番目が異なっており、その結果4個のアミノ酸がそれぞれの転移酵素で異なる。

その一方、O遺伝子のcDNAの塩基配列はA遺伝子と類似するが、88番目のコドンのG塩基が欠失しているためフレームシフト突然変異となり、117個のアミノ酸からなる別の蛋白質が産生される。この蛋白質には転移酵素の活性はない。よってH抗原に糖が付加されないためO型となる。

また更に、O遺伝子のcDNAの塩基配列の研究が進んだ現在、B遺伝子と類似のcDNA配列や、特異的なG塩基の欠失を伴わないO遺伝子も発見された。