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アイヌ語
辞書:文化用語の基礎知識 言語編 (LLN)
読み:アイヌご
外語:Ainu Language
品詞:名詞

かつて北海道にいた部族、アイヌの用いていた言語。なお、アイヌとはアイヌ語で人間のこと。

目次
基本情報
概要
由来

日本語と同様、言語学上はアルタイ諸語に属する言語だとする説があったが、現時点ではまだ確立した理論はない。つまり言語学上の系統は不明扱いである。語順などは日本語に近い。

文法上の類似点だけで見れば日本語などに近縁関係を見るが、単語レベルとなると類似性に乏しい。一部に日本語と同じ単語は存在するが、語彙の借用が明らかなもの(殿様のtonoなど)以外では、起源を同じくする語なのか、アイヌ語と日本語間で伝わったものかは、良くわかっていない。

少なくとも、日本語とアイヌ語は別の言語である。日本語とアイヌ語で単語の祖を同じくするものは散見されるものの、言語の祖は異なる。

現状

アイヌが既に存在しないため、アイヌ語も絶滅寸前の言語である。調査した範囲では、話者は十数人しかいないらしい。

有志などが集まりテレビでアイヌ語講座を放送したり、アイヌ語新聞を発行したり等、文化の存続のため様々な活動を行なっているとされる。

だたし、北海道出身の国会議員・鈴木宗男の「(日本は)一国家、一言語、一民族と言っていい。北海道にはアイヌ民族がおりますが、今はまったく同化されておりますから」という発言にもあるように、純粋な「アイヌ民族」というものは既に存在しないと言える状況のため、アイヌ語という言語が絶えるのも時間の問題ではないかとみられている。

特徴
語順

助詞などに違いはあるが、語順はSOV文型であり、日本語とほぼ同じである。

但し日本語は膠着語であるのに対し、アイヌ語は抱合語である。

文字

文字を持たない、口で話すだけの古典的な言語であるとされている。信憑性は不明だが、近年では、実は文字が存在したという研究結果もある。

もともと独自の文字は持っていないとされていたため、現在はこれをローマ字またはカタカナを用いて表記している。ローマ字の方が表記しやすいが、読みやすさからカナが好まれているらしい。

カタカナで子音だけの発音を表現するため、小書きの繚サ繚シ繚ス繚セ繚ソなどの文字が用意されている。これらの文字はJIS X 0213(JIS第3水準)で規格化され、UnicodeではUnicode 3.2.0より対応された。

ローマ字の場合は英語と同じラテン文字で記述可能だが、アクセントを表記する場合はアキュートアクセント付きのラテン文字を使う。

実はカナよりも朝鮮語文字であるハングルの方が表記しやすいという特徴を持った言語である。

発音

日本語との差

発音は、日本語と幾つか顕著な違いがある。

大きな違いとして挙げられるのは、タ行の発音、閉音節の存在、濁音と清音の区別がない、などである。

また複数の単語が連続する場合、連声(リエゾン)する。


母音と子音

母音は日本語と同じく5つ、「a」「i」「u」「e」「o」がある。但し「u」は日本語のウと発音が異なり、ウとオの中間音である。

子音は12種類、「k」「s」「t」「c」「n」「h」「p」「m」「y」「r」「w」「'」がある。'は、IPAの発音記号では[〓]で表わされる声門破裂音である。

このうち北海道本島のアイヌ語では、末尾には「c」「h」「'」以外の9種類の子音がある。


タ行の発音

日本語では、ta chi tsu te to、とタ行は発音される。ti(ティ)ではなくchi(チ)、tu(トゥ)ではなくtsu(ツ)である。他の言語と比較して、chiおよびtsuの発音に特徴がある。

アイヌ語では、ta chi tu te to、とタ行は発音される。chiは日本語と同様だが、ツ音は無く、トゥ音がある。トゥは日本語に無い音なので、アイヌ語をカナ書きする時には、これは「ト繧」または「ツ繧」と書く。

連声(リエゾン)する場合で、t+iとなる場合も、発音はティではなくチ(ci)となる。


閉音節の存在

日本語は、常に開音節である。つまり、常に母音で終わる。

アイヌ語では、閉音節つまり子音で終わる単語も少なからず存在する。例えば、sir=島、pet=川、など。

/k/、/s/、/t/、/m/、/p/は、それぞれ小書きで「繚ー」「繚ア」「繚ウ」「繚コ」「繚キ繧」と書かれるが、/s/音は発音によっては「繚イ」とも記述する。また/t/が促音になる時は「ッ」と書かれることが多い。

/r/は、直前の母音に応じた発音ごとに小書きで「繚サ」「繚シ」「繚ス」「繚セ」「繚ソ」と書かれる。


濁音と清音

アイヌ語では、清音と濁音の区別が無い。ハ行とバ行は同一視される。

但し、半濁音はあり、ハ行とパ行は区別される。


アクセント

語頭が閉音節があればその母音に、さもなくば次の音節の母音にアクセントがくるのが基本となる。

アクセントは日本語と同じく高低アクセントである。


その他

アルタイ語の場合、r音から始まる語がない、母音調和がある、等の特徴を有している。

現行日本語には現在r音があるが、r音で始まる単語は全て外来語由来で、本来のやまとことばには存在しないものである。しかし、アイヌ語にはr音から始まる語が存在する。

また、母音調和については、存在するのかどうかは良くわかっていない。

語彙
主な単語
北海道の地名

北海道や、東北および北陸北部の、日本語的に意味不明な地名は大抵アイヌ語が語源となっている。

例えば石狩(いしかり)はi+sikar「イ」(それ)+「シカラ」(迂回する)、稚内(わっかない)はwakka+nai「ワッカ」(水)+「ナイ」(谷川・沢)、と言った具合である。

リンク
用語の所属
言語
関連する用語
アイヌ
日本語
琉球語
ロシア語
ハングル
関連する技術
JIS X 0213
第3水準漢字

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