古来、文化が海を渡ってやってきたとき、その支那語の音を日本語にしたものが音読みとなっている。大きく区分けて、呉の言葉で読まれた"呉音"、唐代の長安地方の言葉で読まれた "漢音"、その後時代が下り、鎌倉以降に音が伝わったため数が少ない "唐音"(もしくは "宋音") に分けられる。
まず日本に入ってきたのが、百済から伝わった漢字の読み方である呉音である。支那南北朝時代の南朝の発音であるが、この頃日本では南朝を"呉(くれ)" と言っていたために "呉音" と呼ばれるようになった。
その後日本が遣隋使、遣唐使を送る時代になると支那の長安の発音が伝えられた。これが本当の支那の発音であるということから漢音と呼ばれるようになり、792(延暦11)年に桓武天王はこれを正式な字音にするよう勅命を下すが、既に呉音も広く普及していたので、日本では呉音と漢音が併存することになったのである。同じ漢字文化を持つ朝鮮やベトナムではこのようなことなく、一字一種の原則が存在する。
日本語の通例として、訓読みと区別する際にはカタカナで示す。
コラム(呉音・漢音・唐音) 「行」いく 呉音:ギョウ 行列(ギョウレツ) 行幸(ギョウコウ) 漢音:カウ(コウ) 進行(シンコウ) 夜行(ヤコウ) 唐音:アン 行灯(アンドン) 行脚(アンギャ) 「頭」あたま 呉音:ズ 頭痛(ズツウ) 頭巾(ズキン) 漢音:トウ 頭角(トウカク) 没頭(ボットウ) 唐音:ジュウ 饅頭(マンジュウ) 「明」あかるい 呉音:ミョウ 明星(ミョウジョウ) 明日(ミョウニチ) 漢音:メイ 証明(ショウメイ) 明暗(メイアン) 唐音:ミン 明朝体(ミンチョウタイ)