遺伝病の一つで、筋肉が痩せて筋力が衰え、運動や歩行、呼吸、心臓の拍動などに障礙(障害)が出る、進行性の先天性の病。
筋力の衰えは全身に至り、最終的には呼吸困難あるいは心筋の衰えによる心不全で死亡する。
進行すると寝返りも自ら打てなくなる。このため24時間の介護を要し、睡眠中でも数時間ごとに体を動かしてもらわねばならない。また喉に絡んだ痰も自ら吐き出せないため、機械で吸い出すなどせねば、窒息して死亡してしまう。
現在は様々なタイプのものが発見されているが、最も多く、そして最も重症なのがデュシェンヌ型と呼ばれるものである。これは1868(明治元)年にフランス人の医師Duchenne(デュシェンヌ)が記載したことにちなむ。
その他に、ベッカー型(Becker型/良性型)、顔面肩甲上腕型(FSH)、肢帯型(LG)、福山型(FCMD)などがある。
その過半数は遺伝子の欠失、一割程度が重複を原因とする。
但し変異に関しては全領域に均等に見られるわけではなく、ほぼ領域は固定されている。特にエクソン45-55近傍とエクソン3-8近傍が欠失のホットスポットとして知られ、全体の過半数がこの場所で、検査も主にこの場所を重点的に行なう。
残りの何割かは他の場所の点変異となっている。
DMDは乳幼児期〜学童期に症状が進行し、著しい筋力低下をみせる。
歩行開始も1歳半程度と遅く、また6歳頃には階段昇降が不可能となり、10歳頃には自力歩行が不可能になる。そしてやがて、呼吸不全や心不全、呼吸器感染などにより死亡する。平均寿命は20〜25歳である。
これに対してBMDの場合、進行が遅い。発病年齢はその臨床的重症度に個体差が大きいため特定できないが、中には60歳を越えてから筋力低下を自覚し病気が発覚する例もある。
両者の差は、DMDがジストロフィンがほぼ完全に消失するが、BMDは若干量が残存するという点にある。
遺伝病ということで現時点では確定した治療法はなく、対処療法に限られる。
但し遺伝子治療も研究が続けられており、合成DNAを投与することで体内でジストロフィンを作ることに成功した研究もある。